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ゲームとことば#84「友情はコボルトよりも弱く トーレナ岩よりも消えやすい」

小学生のころ、友達と一番よく遊んだゲームはなんだろう。
それは"友情破壊"ゲーム『ドカポン3・2・1』だったかもしれない。

ドカポンは最大4人で遊べるすごろく型RPG風ゲーム。
サイコロを振ってマップを進み、魔物と戦って成長したり、武器やアイテムを買ったりして各プレイヤーが手番を進めていく。
あの手この手でお金を稼いでいき、終了時に一番資産を持ったプレイヤーが勝利するというルールである。
プレイヤー同士の戦闘(PvP)や、魔法・アイテムでの妨害も可能。というより妨害のいやらしさやが目立つゲームだ。
後半に差がついてしまうと逆転も難しくなり、理不尽さを感じたプレイヤーたちはリアルファイトに発展したとかしないとか。
それが"友情破壊ゲーム"たる所以である。
結局金で順位を決めるという、いささかゲスな世界観が、柴田亜美先生のキャラ絵となんともマッチしている。

表題のことばはオープニングデモに表示されるもの。友情のはかなさを表現しているのだろう。
コボルトは最弱の雑魚モンスターで、トーレナ岩とは数ターンで消える障害物である。友情なんてそんなもの…ということだ。
しかしまあ、のっけからひどい言い草ではないか。
今から友達と楽しくゲームで遊ぼうとスーファミの電源を入れたらこれだよ。
パーティーゲームのオープニングメッセージにしては非常にシニカルで、だからこそとても好きなことばである。

と言いつつも、ゲームとしての面白さはピカイチであったと思う。
冒頭で述べた通り、友達と遊んだゲームとしては個人的にトップクラスのプレイ回数。
すごろくゲームだから複数人で遊べるものの、RPGのように地道にキャラを育てていく過程も魅力的だった。
桃鉄とドラクエが合わさったようなものだから最強だ、そんな風に思っていたと記憶している。
「妨害やPvPも楽しさのうち」と仲間内では納得できていたから、というのもあるだろう。
いずれにせよ「友情は壊れなかった」と思う。多分。

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