ゲームとことば#91「せまるカブ祭り」
ルーンファクトリーのお祭りイベントの1つで、目の前に迫ってくるカブ(野菜)をボールみたいなもので撃ち落とすというもの。
字面から困惑させてくる奇祭。
ルーンファクトリーシリーズは、畑仕事をしながら武器を手にダンジョンに冒険へ行くシミュレーションゲームである。
「牧場物語+RPG」というコンセプトで誕生した、当時としては新機軸のジャンルだった。
畑を拡張して効率よく作物を育てたり、NPCと仲良くなって結婚したりといった要素が人気でシリーズ化。
ナンバリング4作目ではゲーム中、表題のようなお祭りイベントがときどき開催される。
ミニゲームに勝つと貴重なアイテムがもらえたり、街に観光客が増えたりといった恩恵が得られるのだ。
この祭りが近づくと街中のNPCが口をそろえて「せまるカブ祭りですね!」みたいなことを言うので、私はてっきり「カブ祭り」という祭りがほかのイベントよりも待ち遠しいものなのかと勘違いしていた。
「"祭りの日程が"せまってきましたね」と言っているのかと。
いざ祭り当日を迎え、会場に向かうとどうやら「せまる」の意味が違うらしい。
まさか「カブ」がこちらに迫ってくる祭りだとは。
ただ「迫る」ということばは「締め切りが迫る」のように、一般的には少し焦らされるような場面で使われることが多い。
♪迫る~ショッカー♪のように「敵が迫る」という意味でもよく使われる。
いずれにせよ緊張感を呼び起こす単語だ。
カブは煮込むと甘みが出て美味しいし、お漬物にしてもさっぱりして食べやすい。
「せまる」とひらがなで表記されてはいるものの、プレッシャーを与えてくるような食材ではないはず。
いや、調理前のカブは固い。
高速でぶつかってこられたら、前歯の1本や2本は折れてしまうかもしれないな。
「せまるカブ祭り」はファンシーなルンファク世界には似合わない、緊迫感を帯びたイベントなのかもしれない。
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