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ゲームとことば#104「ゴミ捨て場」

その時代の人にとっては、ただ食べ物の残骸を捨てるだけの場所。
だが、後の時代でそれは「貝塚」と呼ばれ、さらに時を経るとその場所に「大樹」が育ち、それぞれの時代において新たな価値を持つようになる。

『シムシティDS2』は、おなじみ街づくりシミュレーション『シムシティ』をニンテンドーDS用に開発した良作である。
携帯ゲーム機の良さを発揮したシンプルな遊びやすさだけでなく、本作は他のシリーズと異なる特徴を持つ。
それは、古代、中世、近代、現代へと歴史をつないでいくシステムである。

古代から始めると、当然ながら立てられる設備が少ない。
だが狩猟採集が盛んになり、人口が増えていくとゴミが増えていく。
本作を古代でプレイすると「ゴミ捨て場」というものが設置できる。
食べ終わった後に残る貝殻などの生活廃棄物を捨てる場所だ。
そして集落を発展させゲームが次の時代へと移ると、その場所は古代の遺跡「貝塚」と呼ばれるようになるのである。

ゲームとしては数あるランドマークの1つでしかないのだが、長時間プレイしている間に呼称が変わっていくのがなんだかとても興味深い。
街を作って見届けるという、神の視点を楽しむゲームに起こるささやかな変化。
そんなことで、ゲームをより一層楽しく感じる。

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