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ゲームとことば#103「見つけたよ。誰にも渡さないよ。これで大金持ちだよ!」

強欲な人の哀れな末路。
ロマンシングサガのリメイク作である『ロマンシングサガ ミンストレルソング』(通称:ミンサガ)で追加された、とあるサブイベントのラストを飾るセリフだ。
イベントの内容をかいつまんで説明する。

海の神ウコムの持つニンフ像が、何者かによって盗まれる。
主人公は、港で出会ったマリーンという名の娘に、像を探してほしいと鬱陶しいぐらいしつこく頼まれるのであった。
各地を巡り事件を追っていくと、盗んだ犯人が像をあきらめきれず、魔物に襲われて死んでしまうといった不幸が続く。
遺された犯人の兄妹はニンフ像をあきらめ、海の神に返そうとする。
像を崖から海に投げ返そうとしたところで突然、兄妹の「母ちゃん」が表題のセリフを吐きながら、とりつかれたように像に向かって走ってくる。像をつかんだ母ちゃんはそのままノンストップで海へとダイブ。
といった内容である。

突然現れた「母ちゃん」が、あっという間に海に飛び込む姿は、シュールで怖くて、不謹慎だがどこか可笑しい。
そのダイブは、まるで下手な鳥人間コンテストみたいな軌道だ。一切ブレーキをかけない。
「欲におぼれて身を滅ぼす」といった寓話的なストーリーなのだが、セリフ回しや勢い、絶妙なカメラアングルなどが絡み合ったこのラストシーンがとても印象深い。
ロケーションがサスペンスドラマのような切り立った断崖なのも、「これでこの話はおしまい!」感が強く出せていると思う。

「見つけたよ。誰にも渡さないよ。これで大金持ちだよ!」
あらためてセリフを確認する。
①見つけた(報告)②誰にも渡さない(意思表示)③これで大金持ち(希望的観測)と、母ちゃんは現状と希望を一息で説明している。
説明臭いセリフを勢いつけて言うから、このシーンはどこか怖くて面白いのだ。
これが「ニンフ像は私のものだ!」ぐらいだったらパンチに欠ける気がする。
みっともないほどにがめついから罰が当たった感じが出るし、セリフの長さから正気を失っていることもわかるので、とても良い不気味なシーンだと思う。

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