渡瀬氏4月1日付け文章 について
(https://note.com/nishiharima/n/na1d82ab8695e について です)
・斎藤/渡瀬問題については、
3月初旬渡瀬氏が告発するまでの問題と
それ以後の問題があります。
4/20にH課長が、7/7に渡瀬氏がなくなったことについては「以後の問題」の比重が大きいのに、それが正確には取り扱われてなかった面があるのではないか。
さて、渡瀬氏は「2 経緯」を書いています。
☆出発点:一部の職員による専横、違法行為の存在。
(違法であると告発できなくとも、公務員である以上、市民のためというのとはズレた方向性の仕事は本来好ましくない。)
② 自分の処遇への不平不満からでたものではない。
告発書には、そう読める箇所はないのに、むりやりそう読み取ろうとした人々がいたということだろう。
③内部告発の文書作成:勤務時間内に行っても「職務専念義務違反」にはならない。なぜなら、例えば「おねだり」が存在したのならそれは県庁として正していくべきものであり、それについての告発は職務の範囲であると考えることが当然できる。例えば人事課職員であれば当然の職務であるが、一般職員であっても是認できるものである。
この点についての渡瀬氏の認識の弱さはおかしな感じがする。
・・上司の命令には盲従するべきだそれ以外のことはしてはいけないといった仕事についての観念に基づいて「職務専念義務違反」という言葉が使われているようだ。公務員の仕事は上司の命令に従うことではない。市民の福祉のために働くことだ。
⑤「保護権益が働く公益通報制度を活用すればよかった」、という認識もおかしい。兵庫県公認の窓口を使おうが使うまいが公益通報に該当すれば公益通報である。したがってこれは報道機関に配布された時点で公益通報と考えるべきだ。
「公益通報をすれば当該通報対象事実に係る証拠が隠滅され、偽造され、又は変造されるおそれがあると信ずるに足りる相当の理由がある場合」などはマスコミへの通報も公益通報になる。
⑥「中には一部事実でないものもあるかもしれない」、このような誠実な態度は、斎藤氏のような不誠実な権力者に対しては書かない方がよかった。
彼はまず「真っ赤な嘘」と大きな声で言い切った。そしてその後で、「真っ赤な嘘が含まれる文章だ」と大幅に発言内容を後退させた。いくらかでも「真っ赤な嘘が含まれていれば」それは許される文章になるだろか?不注意な聞き手は「真っ赤な嘘」という強い言葉のイメージだけが残る。
・・ここで、内部告発中の真実が「守秘義務違反」に該当するか、という問いを書き留めている。
・名誉毀損の問題については公益性の観点から問題がないだろう。
・しかし「守秘義務違反」に該当する可能性はある。ただし、文書配布は県庁内部及びマスコミであり、その人たちが配慮すれば世間に出回ることはないと考えた。
「3 手続き・記者会見での問題点」の部分が最も重要であるのに、重視されてこなかった部分と思われる。
・・・処分の前提としての告知・聴聞の不在
・・3/25 11.00ごろ? 職場のPCが押収された。
11.30ごろ 井筒職員局長へ電話で「告発文は自分一人で作成した。他に関係者はいない」と伝えた
・・3/27 9.30からの人事異動の辞令交付の時、
渡瀬から、片山副知事、小橋総務部長へ「内部告発文にある内容をきちんと精査してから対応してくれ」と要請。
・つまり処分(退職届不受理、降格処分)の前提として、事情聴取と内部告発の内容の調査がなされなかった。
告発の当事者である斎藤氏による「真っ赤な嘘」という感情的反応に基づいて、人事的処分がなされた。
公平・公平になされるべき人事処分が、その「適正手続き(デュープロセス)」抜きになされた、一方的に公平性を欠いた立場においてなされたことは明らかであり、不当・違法な処分と判断できる。
・特に、狭い県上層部内部で起こった事件であり、渡瀬氏から詳細な聞き取りを実行することは充分可能であったにも関わらず、それを一切行わずに処分したのは、「渡瀬氏からの反論には耐えられないような質の」処分だったからなのではないかという疑問をぬぐいえない。
・3/27に斎藤氏は「告発文書を誹謗中傷・事実無根と一方的に決めつけた」。
しかし、いままで書いたとおり、知事のその発言は第三者として公平に物事を判断するべき人事当局の名目上のtopとしての知事からの発言という質を持ったものではなく、告発された上司が告発に対して反射的に激怒して行った(つまり知事としてではなく斎藤個人が行った)発言と理解しうるものだった。
④MBSネットニュースの問題点。不詳
⑤「ありもしないことを縷縷並べた内容を作ったことを本人も認めている」と知事発言があった。これは明らかに虚偽であり、名誉毀損である。
このことを知事は公に訂正しないまま、渡瀬氏は死去した。知事の責任は明らかだ。
・・「私が人事課に在籍していた頃はこのような事務処理はあり得ませんでした」
「公務員に対する懲戒処分について事前に告知・聴聞の機会を付与しなければならない」という、デュープロセス重視の考え方がある。それがなければ違法かというとそこまでは言えないという判断が1992.7.1最高裁であった。https://sskdlawyer.hatenablog.com/entry/2020/02/29/171018
しかしながら、人事当局ができる限り公平公正に事実を確認した後に処分すべきであることは当たり前である。この当たり前が今回はなされていないと、渡瀬氏は告発している。
・・「知事が必要な情報の開示を全くせず、曖昧かつ誤解を与える発言を行うことにより事実とは異なる内容をそれこそ〈流布〉したことになります。このような杜撰な会見で、人間が一人、社会的に抹殺されようとしています。そのことを十分に理解すべきです。」
と渡瀬氏は冷静に述べている。
この文章を読めば、これまでのこの問題に関わってきた記者はどちらに真実があるかよく分かったはずだ。にもかかわらず、処分問題についての記者たちの根本的認識は改まらず、斎藤氏のくちさきだけの言い訳を許し続けてしまった。
・・「守秘義務違反」を、真実を明らかにしない方向で最大限活用しようとする当局の考えがかなり通用してしまった。(一部の職員は丸尾氏のアンケートに答えるなど勇気ある行為をしたが)
・・「元気に楽しく仕事ができる健全な職場」を求めるという渡瀬氏の思想がよく分かる文章だった。
八木孝三 2024.8.4