子供がタバコを買えたころ

私が小5か小6のころまでは、子供も酒やタバコを買えた。
令和では信じられないが、平成中期でも、大人のお使いで買いに行かされることもよくあったのだ。

母親の再婚相手、Xに、セブンスターを買ってこい、と言われ、私は外に出る。
コンビニはすぐ近くにあった。マンションを出て、左。右に曲がって、すぐに、ファミリーマートがある。
コンビニで、セブンスターをください、という。

小6頃だろうか、コンビニでタバコを買ったら、紙がついてきた。

「未成年者にタバコの販売ができなくなります」
という、保護者に向けた紙だった。

しかしそれを渡しても、何度もタバコを買いに行かされる。そのたびにコンビニで紙を貰う。だんだん紙はゴミ箱にそのまま捨てるようになった。
とうとう、コンビニでタバコを買えなくなった。売れません、と言われた。

そこで、私は少し遠くの自動販売機までタバコを買いに行くようになった。
遠くと言っても1分くらいだ。マンションを出て、右。1つ目で左に曲がる。

そこに、昔はタバコ屋であったであろう角がある。そこには自販機が並んでいる。
売られているのは、タバコ、酒、そしてコンドーム。

小6の私は身長も高く、中高生くらいにみられることも多かった。
ランドセルを背負っているのに、バスで子供料金で支払ったら注意されたこともある。
自販機でタバコを買う姿は、不良少女だ。
自分で吸うって思われたらどうしようと、不安になりながら毎回購入していた。

その自動販売機で購入するのが嫌だった理由はもうひとつある。
そう、コンドームの自動販売機があったからである。
コンドームを買っていると思われたらどうしよう、とも思った。
中高生くらいに見える少女がその場にいるのは危なく思えた。(実際、そうだと思う。安全では、ない)

ちょうどそんな時期の夏、私たちはXから逃げた。
もしあのまま逃げられなかったら、私はいつまでタバコを買わされていたのだろうか。

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