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ルッキズムがテーマのある作品の虚無さ
注意:性被害は誰もが遭うものです。容姿も性別も関係ありません。あくまで私自身の経験と感情を述べたものであることに留意願います。
作品名を明言はしないが、あるルッキズムをテーマにした作品の「それぞれの辛さがある」描写に、私はある意味驚いた。全く共感できなかったからだ。
美人の辛さ、というくだり。
ある女性が、「私の地獄もある」というようなことを言う。回想されるその内容は、
「高校生になって男子にモテるようになって女子に嫉妬されるようになった」
というもので、正直、そんなことまじでどうでもいいだろ、と思った。
その「男子にモテる」も、同じ学校のよく知らない人に、容姿だけで告白されるというもので、高校生には「告白」イベントはまあ、ありがちなことであり、嬉しくはないとはいえ、恐怖を伴うものとして描写されているわけではなかった。
戸惑いのメインは、女子生徒からの嫉妬だった。
しかも、それを言った相手は、容姿を理由に、ひどいいじめをうけていた同じクラスの女子生徒なのだ。「ブスだ」とクラスメイトに笑われ、いじめられてた人に、よくそんなことが言えるものだ、と怒りが湧いた。
美人と言っても顔の傾向は違うから、色んな経験があるだろうが、「モテるから女性に嫉妬される」なんて、なんだかミソジニーを感じるし、一般論として、女性も美人が好きだ。
ひどいいじめを目撃していながら、美しさという、教室という密室での武器を持ちながら、いじめを止めようともしなかった人が、そんなことを辛さだと言い放つのはひどすぎると思った。
それに、家庭で容姿を貶される精神的虐待を受けてるなら別だが、自分が美人だと高校生で気づくのも変だと思った。もっと前から、嫌味なく、友達から容姿を褒められるだろうし、高校生で急に容姿が変わったという描写もないし、しかも、親も美人だという設定なのだ。それならば、身を守る術はもっと早く伝えるだろうし(高校生になって、「妬まれることもあるよ」と言い出す、どのタイミングなんだ)、あまりにもおかしすぎる。
世の中は、顔がいいとされる子供に対して遠慮なく容姿を褒めたり、舐め回すように見たり、子供だと思ってやりたいほうだいする。
性被害すれすれの接触を行う場合も多々あり、それは美しさのせいだとされる。
「美人親子だ」という、褒め言葉が、気持ち悪くない場合もあるが、ねっとりとした視線とともに、恐怖を感じる場合がある。
私はミックスルーツなので、容姿が整っているいうより、目立つ、ということが大きかったと思うし、日本ルーツに見える容姿の人とは経験がまた違うかもしれないが、まず、幼少期から、自分の容姿がしつこく話題にされることが、世の中の「美人あるある」だと思ってたので、その作品の描写はあまりにもトンチンカンに思えた。
容姿を褒められることが得だとは限らないが、めったに貶されないことは、そりゃ得だろう。
ひどい経験をした人に対して、私も辛かったというには薄すぎるエピソードに、虚無感を感じたのであった。いじめの傍観者のくせに何様なのかと思った。
続きは怒りで読んでいない。
追記
のですが、ここまで怒りが湧くということはなにかある!ときちんと最後まで読むことにしました。
次記事に続きます。