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HiOLI 経営体制を大幅アップデートします

今回のシリーズCとスイングバイのファイナンススキームを進めるに至った背景

HiOLIは2019年にクラフトアイスクリームブランド「HiO ICE CREAM」の工房を東京自由が丘にて創業し、2020年には姉妹ブランドとしてクラフトバタースイーツブランドの「Butters」をスタートしました。
両ブランドとも一貫してバターの副産物である脱脂乳のアップサイクリングを開発テーマに据えて参りました。具体的には、「脱脂乳(脱脂粉乳)を使うことでより美味しいお菓子に仕立てること」×「一食お召し上がり頂くことに意識せずとも社会貢献の輪に自動的に参画できる仕組みを社会実装させること」です。

この取り組み・ビジョンを多くの方に共感いただき、多数の方にご支援いただいてまいりましたが、中でも起業早々からオイシックス・ラ・大地グループのCVC「Future Food Fund」は私ども可能性を高く評価してくださり、シリーズA・Bのリード投資家として多大なサポートをいただいて今日の成長があります。創業期から私どものプロダクトを高く評価いただいた松本取締役、そしてファンドマネージャーでありトップバイヤーでもある村田さんには心から感謝・感謝・そして感謝です。感謝しかありません。

これらサポートのおかげもあって、日本各地の酪農家様、農家様、製菓企業様とのコラボレーションが進み、HiOLIが提供する全プロダクトの創業来累計販売数は1,000万食を超えるまでに成長することができました。さらに今月からは「Buttersの新作商品:バターミルクケーキ」がJAL国内線ファーストクラスに期間限定で採用されています。また今後も大手企業様とのコラボ案件やグローバル展開など様々な施策が動く中、より一層の経営基盤を強化し大きく羽ばたくことを目指したいという思いから、スイングバイを志向する方針のもと、リード投資家であったオイシックス・ラ・大地グループとの資本提携関係のより一層強化を目指し、グループジョインさせて頂く機会をいただきました。
今回のシリーズCによって、累計で15億円規模の調達となりますが、今後は商品開発、ブランドマーケティング、店舗・EC運営チーム、IPOを見据えた経営管理チームなどの体制強化に加え、特にクラフトスイーツ製造力の強化を企図したM&Aも今後複数件を実行する計画を新たに立てております。

そして、この新計画のプランニング並びにシリーズCの資本政策などを全て舵取りしてくれた取締役の平岡晃さんにこの度、代表取締役社長をお任せする新体制を発表しました。私は会長として中長期戦略・新規事業開発の立案等などを担当してまいります。

指定難病:重症筋無力症の発症

なぜこのタイミングで私が社長→会長職に、また平岡新社長に移行する経営体制変更の判断に至ったのかについても少し書かせていただきます。昨年夏に突然目の焦点が合わず、重なって見えてしまう『複視』という症状が発生しました。その後、脳や血液の病気など様々な可能性を視野に入れて検査を重ねるも原因がつかめず、経過観察が続きました。その間、アポイントのキャンセルなど様々な方にご迷惑をおかけしてしまいました。
半年ほど経過した今年の2月、全身の力が急に入らなくなり転倒してしまうなどの症状が発生したことをきっかけに、「重症筋無力症」という自己免疫疾患であることがわかりました。

「重症筋無力症」は末梢神経と筋肉の接合部で筋肉側の受容体が自己抗体により破壊される病気で、他の方に伝染するようなウィルス性などの病気ではなく、突然変異的な自己免疫疾患なのだそうです(40代の男性だと10万人あたり数名程度の罹患確率という珍しい病気とのこと)。非常に難しいことに、なぜ発症したのか解明されておらず、また完治させる治療法も確立していないため、厚生労働省にて難病の一つとして指定されています。
さらに進行してしまうと腕や足の筋力低下のみならず、喉周辺の筋力低下で固形物の食事が取れなくなり、呼吸に関わる筋力まで低下してしまう可能性もあるようです。そこで、現代医療では原因不明につき完治のための治療方法も確立されていない難病である事実は受け止めつつも、「進行を抑制する」そして「少しでも良化を目指す」治療を進めていく方向となりました。

とはいえ、全国でも3万人弱、かつ50歳以下の若年発症はかなり事例が少なく、現代医療では完治できない難病であることから、自分の意思と力で最低限の身体のコントロールを回復させた状態で、生きることができる時間を少しでも長く確保できるかの闘いになります。突然、この歳でまさか自分がこういった病気になるとは……という想いを、この約一年ほど抱えてきました。
ようやく病名がわかり対応策がみえてきましたので、これから数年は治療を優先させてもらいながら、亀のようなゆっくりとした歩みだとしても、少しでも元気を取り戻せる可能性を信じて頑張って治療と向き合っていきたいと考えています。

新経営体制

この度、スイングバイでの新たな事業拡大戦略を描き今回のスキームをまとめ上げてくれた平岡さんに社長就任をお願いいたしました。私は前述の治療を優先しつつ、10年単位での長期戦略の立案や新商品企画など、HiOLIグループ全体に対して、長期目線で大きなインパクトを生み出すプランを描き続けることに特化・集中させていただき、数年単位の中期目線での経営戦略・組織戦略全般から日々の経営実務のマネジメントは全て平岡さんにお任せさせてもらいます。(代表権は、平岡・西尾の2名で保有します)

平岡さんはMIXI在籍時代に同じチームで働いていた同志であり、MIXI卒業後はカラダノート社をCFOとして、未上場→グロース市場への上場に導いた素晴らしい実績をお持ちで、地方創生に強い興味を持ってくれてHiOLIにジョインしてくれました。共同創業した取締役の玉井さんとも、「次の成長ステージを目指すためには、IPO経験を持った経営者にマネジメントを託したいから、次の社長は平岡さんにお願いしたいね」と話しておりました。ですので、私の難病発症は想定外ではあるものの、サクセッションプランとしてはある意味では想像していた流れでもあります。
平岡さんのマネジメント力の高さには日々学ぶことばかりで非常に心強く思っており、また中長期的に見て、HiOLIがこのタイミングから更に大きく成長していける転機となるものと確信しております。

最後に

快く迎え入れてくださるオイシックス・ラ・大地グループ関係者の皆様、一緒にここまで頑張ってくれたHiOLI社員の皆さん、創業以来支えてくださった投資家・取引先など全ての関係者の皆様に、改めてお礼を申し上げます。

これから一段と大きな成長・飛躍を目指してオイシックス・ラ・大地グループにジョインの機会をいただけることになりました。フード系スタートアップとしてスイングバイを狙ったファイナンススキームは非常に珍しい事例かと思いますので、そういった意味でもHiOLIの事例が今後のフードスタートアップ業界のひとつの新しい形になれたら嬉しく思います。
平岡新社長を中心とした新しい経営体制となりますが「乳の価値のアップデート」を通じて、もっともっと社会に貢献できるよう挑戦と進化を追求してまいります。

そして、今後の個人的な活動目標として、フードビジネスのスタートアップをはじめ、ブランド創りからはじめるBtoCスタートアップの皆様に向けて、私自身の起業やファイナンスなどの経験が何か役に立つことがあれば、少しずつからですが可能な範囲で応援させて頂くような活動にもチャレンジできたらと考えております。

残念ながら、私自身は重症筋無力症という完治が見えない難病を発病してしまいましたが、病状を悪化させずコントロールしていく道は残されていそうなので、しっかりと病気・治療と向き合い、完全な社会復帰は難しくとも自分が生みだせる価値を少しでも発揮できるよう頑張りたいと思います。
また、体力維持向上のため、投薬と投薬の間は外に出歩ける時もありそうですので、もしご都合が合う方はぜひティータイム、ランチ、夕食などもご一緒いただけると嬉しいです!(「西尾さん、元気~??」と気軽に声をかけて頂けると治療の日々の励みになりますので、ぜひぜひお願いします)

最後になりますが、株式会社HiOLI、そして西尾個人としても、今後ともご指導・ご支援のほどを何卒よろしくお願いいたします!!


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