「ハンス・オフトのサッカー学」は今読んでも面白い
これまで仕事終わりに実施していたランニングを、仕事開始前に実施することにした。仕事終わりにランニングをやっていたのだけど、夜に打ち合わせが入ることも多く、なかなかランニングの時間が確保できず、ストレスを溜めていました。そこで、仕事開始前にランニングすることにしたら、気分がすっきりして、仕事にも集中できること気がつきました。
仕事開始前にランニングしたことは何度かありましたが、ランニング後の疲労で眠気を感じたりして、仕事に影響があるように感じました。ところが、最近はランニング時の速度を遅くして、ゆっくり、のんびりランニングしているので、これなら仕事にも影響は少ないのではないかと思ったら、そのとおりでした。今後もランニング続けていこうと思います。
ハンス・オフトのサッカー学
最近、この本を繰り返し読んでいます。
僕はサッカーの分析するにあたって別に何か特別なトレーニングも勉強もしたわけではありません。ふと、自分の原点はなんだろうと考えたとき、この本のことを思い出しました。
本書「ハンス・オフトのサッカー学」は、92年から93年までサッカー日本代表監督を務め、ダイナスティカップ優勝、アジアカップ優勝、そしてワールドカップ出場まであと一歩までチームを成長させたハンス・オフトのコーチングに関する考えをまとめた書籍です。
僕がこの本を手にしたのは、中学生くらいだと思います。オフトが提唱していた「アイコンタクト」「トライアングル」「スリーライン」「スモールフィールド」といった言葉は当時は新鮮な驚きをもって迎えられました。今でいうと「ハーフスペース」とか「5レーン」といった言葉が該当するのかもしれません。
ただ、僕はオフトのサッカーを観て、これまでパスも満足につなげなかった日本代表が、なぜここまで急成長したのか。僕は当時中学の部活でサッカーをしていましたが、部活のサッカーと何が違うのか。その秘密が知りたくて手にとりました。
そして、2020年。ビジャレアルから帰ってきて、僕が考えるサッカーについて想いを巡らせているうち、僕にとってのサッカーとは何か。そんなことを考えているうちに思い出したのが、オフトの本でした。
本書の冒頭にはこんな言葉が書いてあります。
コーチングとは、ゲームの中で状況を伝える指示の声を意味する。
1つの声によってチーム全体が同じピクチャーを描き、
何をするべきかを同時に判断しなければならない。
そして、何より大切なのは、
その声を正確に聴き取り、正しく理解することである。
本書は「コーチ論」「戦術論」「技術論」の3つのチャプターで構成されているのですが、読み直して、改めて僕はハンス・オフトに強く影響を受けているのだと感じました。
戦術とは「タスク(役割、任務)を分担、配置すること」
本書に掲載されている言葉をいくつか紹介したいと思います。
コーチにとっての最大の使命とは何なのか。もちろんチームを勝利に導くことも大切だ。しかし、それはあくまでも結果である。すべての試合で勝利を収めることなど不可能であり、多くの敗者も存在する。私は勝利がすべてだとは思わないし、敗者のすべてを否定することなどできない。
まず最初にコーチが考えなければならないこと、それはいかにして選手たちにサッカーへの愛情、情熱をめばえさせ、目覚めさせるかということである。
多くの日本のコーチは、えてして自分が正しいと信じ込んでいることが多い。
選手にトライさせるのではなく、最初から答えを与えてしまうから、選手はそれをコピーするだけで終わってしまう。コピーの中に新しい発想はない。
選手に対し「それじゃ、ダメだ」と言うのも実に簡単なことである。ではなぜできないのか。何が悪いのかを論理的に説明できて、初めて選手は「なるほど」と理解し、改善しようとする
戦術とは「タスク(役割、任務)を分担、配置すること」である。言い換えれば、だれとだれを組み合わせ、それをどうやって組織として機能させるかということだ。
タスクのアレンジメントとは、それぞれの選手の持ち味をいかに引き出し、弱点をいかにして覆い隠すかということ。それが「戦術」なのである。
抜粋した言葉は「コーチ論」「戦術論」のチャプターに書かれていた言葉の一部ですが、今でも十分読む価値があることが分かります。むしろ、今のサッカー本に書かれていることの多くは、本書に書かれていることではないか。そう感じるほどです。
僕は中学校のときに本書を読み、サッカーのみかたが変わりました。オフトは規律を重んじる監督だと言われていましたが、決して「個性」を潰す監督ではありませんでした。
本書の戦術論で印象に残ったのは「スターティングポジション」という考え方です。選手にはそれぞれプレーするのが得意な場所があり、得意な場所を基に、相手と照らし合わせつつ、戦術を組み立てていく。戦術の基本的な考え方を改めて学ぶことができました。
オフトが提唱していた「アイコンタクト」「トライアングル」「スリーライン」「スモールフィールド」というキーワードを、風間さんが提唱していた「背中を取る」「止める」「運ぶ」「外す」「受ける」といった個人の技術と組み合わせ、相手とどう戦うのか、スターティングポジションを調整しながら、戦術を組み立てていきます。こういう基本的な考え方を教えてくれたのが、オフトでした。
noteサークルではマニアックなスポーツの話をします
オフトは「型が決まっている」監督だと言われていましたが、本当は状況に応じて選手がアイディアを出し合って状況を打開していくようなサッカーを志向していたような気がします。オフトに言葉が足りなかったのか、選手にアイディアが足りなかったのか、僕はどっちもだと思います。
サッカーという競技は、ボールを扱う技術が向上し、ボールが動くスピードが速くなり、選手が移動するスピードが速くなり、身体が大きくなり、フィールドがどんどん狭くなる一方で、原則というものはあまり変わっていないと思います。本書にもフィールドを区切って説明しているページがあるのですが、フィールドを区切って考えるという考え方は、30年近く前から存在する考えで、細かく区切られるようになったのは、フィールドが狭くなったが故だと、僕は捉えています。
こういう少しマニアックなサッカーの話は、これまであまり話さないようにしてきました。でも、ブログを立ち上げて7年目になりますので、そろそろ話してもよいかな、と考えています。誰が読むのか全く想像がつきませんが、僕がコントロール出来る範囲の言葉で、サッカーのことを、スポーツのことを考えたい。そう考えています。
取り急ぎ、noteサークルでマニアックなスポーツの話をしたいと思い、第1回は佐々木クリスさんとバスケットボールの原則の話をします。
2020年は、表では「Jリーグ非公式勝手未来ミーティング」のような場所でスポーツの発展に貢献しつつ、個人の活動としては、マニアックなサッカーの話、スポーツの話を存分に話したいと思います。