「リクラブを志望致します」
リクラブ 【名詞】
就職活動中に知り合った就活生と運命的な恋に落ちること。
コンコン。
「どうぞ」
失礼します。
リクラブを志望致します、仁志みなみです。
本日は宜しくお願い致します。
「はい。どうぞ座ってください」
はい。ありがとうございます。失礼致します。
「まず、なんでリクラブしたいのか教えてくれませんか」
そうですね、わたしがリクラブしたい理由は大きくわけて2つあります。
一つ目は、将来の自分をイメージしたときの理想像と擦り合わせた結果です。
(読み飛ばしジャスティス)
わたしは遅くとも30歳までには第一子を出産したいと考えております。あ、そうですね、第一子です。理想は第一子は女の子で、第二子が男の子なんですけど。一姫二太郎ってやつですね。やっぱりそういう言葉が残ってるってことはその組み合わせが一番いいってことなんですよね。先人に学ぶといいますか。弟がいればお姉ちゃんはしっかりするでしょうし、弟は紳士的に育ちそうですし。理想は山田優、山田親太朗姉弟ですね。知ってますか? あの姉弟、小さい頃から割り箸を唇に挟むことであひる口を作ったらしいですよ……どうでもいい? すみません。それでですね、そこから逆算すると29歳で妊娠となりますよね。でも結婚してすぐに妊娠なんてできないですし、子は授かりものですから少し余裕を持って2年くらいほしいですね。2人の期間も楽しみたいです。だから、27歳で結婚かなって。1年は同棲したいから26歳から同棲で、同棲までにも1年くらい欲しいから、25歳で付き合うことにします。わたしはすぐには付き合えなくて、友達から入るタイプだから、余裕を持って1年友達期間を置くと考えると……24歳ですね。
つまり、30歳で出産したいと想像すると、29で妊娠、27で結婚、26で同棲、25で付き合うと考えて……逆算してって、24歳で出会わなければいけないんです。
わたしの母は27歳で姉を出産したから、わたしも30歳ではなくて27歳で出産したいなあ、と思うと、24から3年引いて……あ、あれ?
ま、まあ、とりあえず早急に出会いたいわけです。
二つ目の理由としましては、好物件と出会えるラストチャンスだからです。
好物件だなんて言い方したくないですけど。
例えば、社会に出たあと大手の商社だとかメーカーだとか、そういうところに勤務している人と出会うのって困難ですよね。
困難じゃない人もいるでしょうけど、わたしよように何のスキルもスペックも持ってない、持たざる者からすると毎日住所を刺繍したハンカチを落とし続けて1390426804日目にやっと出会えるかなっていうレベルでして。
多分出会っても、わたしは肩書きでビクつくチキンなので眩しすぎてまともに話せません。
だから、学生の、対等な内に出会っておきたいんです。
大手の説明会なんて参加しようものなら、もう宝石の原石がゴロゴロいるわけですよ。ウハハッ! ハンカチに刺繍しないと。
専業主婦になりたいとは思いませんが、高収入で悪いことはありませんからね。
お金に困らない人生を送りたいので。
まあ、大手の説明会はもう終わっているわけですが。ウハハッ!
どこで出会えるんだろう……。
「そこまでリクラブに情熱を持ってるのに、なんでリクラブできてないんですか?」
そうですね、おかしいですよね。
……実はですね、一度いい空気になりかけたことがあるんですよ。
説明会の後で飲み行くことになりまして。2人で。もうこれは押せばいけるんじゃないの!? と恋愛偏差値3のわたしでも思いましたよね。
でもね、だめだったんです。
いい空気になった瞬間、わたしの口から出た言葉は「明日試験だ! 帰ろう!」
恋愛って、どうやってするんですか……。
「内定を貰ってない内から恋愛に腑抜けるのはどうなんですか」
ウッ
「リクラブできるのは、結局魅力的で余裕のある就活生なのではないですか」
ヒッ
「就活は企業との結婚とも言います。企業と恋愛を優先すべきではないですか」
ンンン
「本日の面接は以上です。何か言いたいこと、聞きたいことはありますか?」
どうやったら内定貰えますか……。
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