自転車に乗る前のチェック
こんなことありませんか
「久しぶりに自転車に乗ろうとしたら、自転車から異音がする・・・。」
最後に乗ったときが雨だったとか、
もしくは保管場所が屋外で雨風のあたるところだったとか。
いずれにしても、どこの調子がどう悪いのかを調べない限りは乗れません。
チェック方法① ABCDチェック
乗る前の最低限の点検をする方法に「ABCDチェック」というものがあります。もし不具合が見つかれば、必ず修理や調整をしてから乗ってください。(最低限の修理や調整の方法は後述します。)
A:Air = 前後タイヤの空気が適正に入っているか
B:Brakes = 前後ブレーキが利くか、ホイールの回転を妨げていないか
C:Chain = チェーンがちゃんと回るか
D:Direction = ハンドルやサドルがまっすぐ進行方向を向いているか
*ちなみに以前はDは「Drop(落とす)」で、自転車を10-20cm持ち上げて、落として、異音がないかを確認するものでした。
チェック方法② Mチェック
長距離を乗る前など、ABCDチェックよりさらに入念に点検したい場合は、「Mチェック」という方法があります。これは自転車を横から見た際に”M”の字に沿って点検するため、このように呼ばれています。
簡単な修理や調整と、必要な工具
最初の「自転車から異音がする」に戻るのですが、原因は、通常であればスムーズに回ったり動いたりする箇所が、サビていたり、潤滑油が切れていたり、変形していたり、緩んでいたり、調整がズレていたり、壊れていたりなど、何かの異常があるから異音がします。
・クランクかペダルが、潤滑油が切れている等で”きしみ音”がする
・ブレーキパッドがホイールやブレーキディスクに擦っている
・ヘッド(ハンドルの根本)やサドル(イス)が緩んで、鳴る
前述のABCDに沿って、簡単な修理・調整の方法と、必要な工具等について書いてみます。
A:Air
空気入れで前後のタイヤの空気を適正値まで補充する。適正値はタイヤに書かれているものか、もしくは購入したショップで確認してください。
なお、チューブのバルブの種類は英式、米式、仏式の3種類あるので、空気入れもご自身のチューブのバルブに合うものを選んでください。
B:Brakes
まずはきちんとブレーキが前後とも利くかをブレーキレバーを引いて確認してください。そのあとでブレーキパッドがホイールやブレーキディスクに擦ってホイールの回転を妨げていないかを確認してください。
ワイヤー式のブレーキの小さな調整であれば、ブレーキレバーのワイヤー根元にあるアジャスターを手で回すことでできますが、大きく調整する場合は六角レンチやスパナやドライバーで、ブレーキワイヤーの長さを調整する必要があります。
C:Chain
クランクを逆回転させて、スムーズに回るか確認します。チェーンがサビていたり伸びていたり汚れすぎている場合や、転倒した際にディレイラー(変速機)をぶつけて、位置がずれた場合などは、スムーズに回りません。
チェーンは洗浄と注油の必要があります。 チェーン専用のクリーナーもしくはCRC(潤滑スプレー)でチェーンの洗浄とサビとりをした後、できればチェーン専用のグリス、なければ汎用グリスで注油します。
注意点は、チェーンクリーナーやグリスをブレーキの部分に付けないこと、最後に余分なグリスをチェーンからふき取ることです。あと、CRCは油を切らせるものですのでCRC使用後はかならず注油しないとサビます。
ディレイラーの調整はショップにお願いするか、ご自身で挑戦したい場合はサービスマニュアルをメーカーのサイトからダウンロードしてください。
あと、チェーンではありませんが、ボトムブラケット(クランクの根本。BBとも言います)やペダルの、回転部分のグリスが切れていたり、最悪はベアリング(回転部分の軸受け)が壊れていることもありますので、この修理が必要な場合もショップにお願いしましょう。
D:Direction(進行方向)
ハンドルやサドルが曲がって付いていたり緩んで動いたりガタがある場合は六角レンチやスパナで調整や増し締めする必要があります。
各ボルトに規定トルク(適切な締めつけ強さ)があるので、トルクレンチを使用して規定トルクまで締めるか、わからなければショップにお願いします。規定トルクは部品に刻印されていることもありますし、サービスマニュアルをダウンロードして調べることもできます。
以下の工具や潤滑油があると、最低限の整備を自分ですることができます。優先順に並べますと:
・空気入れ:ご自身のバルブに合うもの。大きい方が楽に空気が入ります。
・パンク修理セット:100均のものでも十分です。
*タイヤレバーは余裕があればショップでちゃんとしたものを。
・六角レンチ(最低 3、4、5、6mm)もしくはマルチツール
*ちゃんとしたもの。安いものはネジ穴を痛める恐れがあります。
・汎用グリス(スプレーかチューブ)
・チェーングリス
・CRC(潤滑スプレー)*サビとりと潤滑のため「油を切らすもの」です
子供でもできること
お子さんにご自身の自転車を大事に乗ってもらう意味も含めて、これらを出来るようになると、より大事に乗ってもらえるでしょうし、お子さんだけでの外出にも自信が付くと思います。
洗車
大事に乗ってもらうためにはまず洗車から始めます。定期的もしくは泥汚れや雨天走行後に、ホースの水と洗剤でジャブジャブと。高圧洗浄機の使用は回転部分の内部に水が浸入してサビる原因になるので、できれば使用禁止。
タイヤの空気入れ
空気は自然に抜けますので定期的にチェック。不足していたら入れましょう。空気が少ないと、パンクしたり、自転車が重く進みにくくなります。
サドル高さの調整
低いと足つきが良くて安心できますが、こぎにくいいので疲れます。
高いとこぎやすいのですが、足つきが悪くなるので、停止時に不安定です。
いつでも、ちょうどよい高さに調整してから乗りましょう。
*マウンテンバイクで不整地を下るときは、立って乗るので、低くします。
*街中で見るシティサイクルの人たちのほとんどは低すぎです。
外れたチェーンを元に戻す
ショップや知っている人に、チェーンが外れた際の戻し方を聞いておきましょう。戻し方を知らないと、戻すのに相当な時間を費やしたり、最悪は指を切ったり自転車を壊すこともあります。
注油
「自転車から異音がする」前に定期的に。洗車のあとも必ず。
パンク修理
これができるとヒーローです!是非できるように練習してみてください。
ブレーキの調整
本当はタイヤの空気と同じぐらい大事な項目なのですが、まずは大人がチェックしてあげて、慣れたらお子さん自身でも出来るようになってください。
最後に:自転車にも愛を
日本では多くの人が、自転車は、自動車よりも安い消耗品で、歩くのと変わりない気軽なもの(歩道も車道も好き放題に進める)だと思っていると思いますが、自動車同様に、公道を、道路交通法に則って走行する車両です。
もしあなたが自動車で出かけようとした際に、自動車から異音がしたり、ハンドルが曲がっていたり、ブレーキの利きが甘かったりしたら、そのまま乗らないですよね? 自転車だって同じです。
自動車が走行中に故障したら、路上で動かなくなるだけかもしれませんが、自転車は走行中に故障した場合、転倒して、自分や他人を傷つけてしまうことだってあります。
ちゃんと整備された自転車は、安全なだけではなく、
本来の性能を発揮しているので、乗っていても気持ちが良いです。
自転車も自動車同様、常に100%の状態で乗ってあげてください。
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