産業・システム工学科の紹介【過去記事】
みなさんこんにちは!
NiSCでは2021年から前の公式ウェブサイトでシンガポール国立大学についての記事を投稿していました。今年からこのnoteに移行して記事配信を行なっていますが、過去の記事もこちらに随時移行していきます!少し古い情報もあるかもしれませんが、随時内容更新も行なっていきます。
ぜひこちらの過去記事も読んでみてください!
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投稿日付:2021年8月8日
筆者:YUKI
こんにちは。NiSCのYukiです。
この記事では僕が専攻している工学部の産業・システム工学科について紹介していきます。
1. 得られる知識・スキルセット
何を学ぶのか?どのような知識・スキルを得られるのか?
まず名前にシステム工学とありますが、一般的に知られているシステムエンジニア(SE)になるための勉強をするのかといえばそうではありません。
SEと呼ばれる人たちはクライアントの要求に合わせたソフトウエアの設計を考えたり、開発チームの管理をしたり、実際にコードを書いたりするのですが、NUSの工業・システム工学科(ISE)が重点をおくのは「データと経験に基づいたソリューションやプロセスの最適化」という所です。
なんのこっちゃ。僕も最初はよく分からなかったです(笑)
では次のような例をみてみましょう。
あなたの会社はセミコンダクターの製造を受け持っています。ただ最近業績が伸び悩んでいて、より利益をあげるために上司からこのような相談を持ち掛けられます。
1.既存の工場を拡大するべきか、
2.新しい地点に工場を建てるべきか。
予算面からどちらかしか選べないとすると、あなたはどう立ち向かいますか?
この問題には少し考えただけで沢山の要素があることが分かります。
例えば、
1.新しく工場を建てるのは土地代などによって高く値がつきますが、より広い地域にセミコンダクターを配達でき、顧客が増えます。
2.既存の工場を拡大する工事の方が速くできるので、セミコンダクターの製造量を手っ取り早く増やすことができます。
3.新しく工場を建てると、現地から働いてくれる作業員を探さないといけず、完全に稼働できるまでに時間がかかってしまいます。
ISE の人間はこれだけある要素を一つ一つ慎重に考慮し、データの分析やシミュレーションを行った上で、根拠に裏付けられた提案をつくっていきます。
基本的な理念として ISE ではこうした問題を二つの要素に帰着させ、解決していきます。
1.目的関数(Objective Function):名前の通り、何を目的としているか。
・金銭的、時間的コストの最小化
・供給量の最大化、など
2. 制約(Constraint):現実面で満たさないといけない条件。
・トラックが一度に運べる最大量、
・一つの機械が一度に製造できる最大量、など
なので ISE の学生は「多方向からの分析」と「現実的かつ最適な解決策の立案」に長けていると言えるでしょう。
もしあなたも、何か問題に直面したとき、あらゆる角度から問題を分析して制約を満たしながら最適な解決策を考える癖があれば、ひょっとしたら ISE 向けなのかもしれませんね。
2.カリキュラム
どのようなステップで進学する?
他の工学部の学科と同様に ISE では最初の二年間くらいは Engineering Core Modules と呼ばれる、学部共通の必須単位を履修していきます。
三年目から Technical Electives という ISE に特化した授業を履修していきます。執筆当時(2021年8月)にあるものとして、【IE4220 Supply Chain Modelling】や、【IE4243 Decision Modeling and Management】などがありますが、沢山ある中で卒業単位に到達するように選んで履修します。(実際はそれより多く履修する強者もいます)
また ISE の大きな特徴として【Systems Design Project(SDP)】なるものがあります。これは簡単に言うと Industrial Attachment よりも ISE の分野にフォーカスした長期インターンです。実際に会社に派遣され、管理職から提示された課題に取り組み、最終的に解決案を発表します。SDPを終えた人の話を聞くと、やはり大学で学んだことを実際の問題の解決に役立てることが一番の醍醐味みたいです。
そして4年目に【Final Year Project】と呼ばれる、卒論のようなものに取り組みます。学科の教授に監督をお願いして、自分の興味のある分野について調査してまとめます。これを提出し、履修単位も 160MC に到達すれば晴れて卒業です!
3.授業スタイル(評価基準)
どのような授業がある?成績の構成は?
これは大まかな傾向でしかないのですが、最初の二年間で履修する Engineering Core Modules に関して言えば個人で進める勉強がほとんどです。プロジェクトなどのグループワークよりも、講義を聞いた後 Quiz を解いたり、Tutorials(講義よりも少人数のクラス)の問題に取り組んだりすることの方が多いです。
学年があがり Technical Electives を履修するようになるとプロジェクトが増えてきます。評価基準もテストの成績ではなくプロジェクトやその発表の質がベースになります。
ただそれも基本的に相対評価(bell curve)の対象となります。例えばプロジェクトで全グループがAに値するクオリティのものを発表しても、僅差で何個かのグループはA+(Aより少し上)になったり、A-(Aより少し下)になったりします。こればかりは教授や Tutor の業務上仕方ないと思います。
4.卒業生の進路
学部生に人気の就職先・業種は?
これもISEの大きな特徴なのですが、卒業生の進路は本当に多岐に渡ります。商社に務める人がいれば、銀行、政府関係、物流、IT系の仕事に就く人もいます。
こちらのリンクから直近の就職先を見ることができます。
5.学部内の学科生のイメージ
ISE は例年一学年50人~100人と小さな学科で、工学部の中でも ISE のことを知らない人が多いほどです(笑)
また、Chemical Engineering や Mechanical Engineering のように名前からなんとなく勉強することが推測できる学科とは違い、人に Industrial & Systems Engineering と言ってもピンと来ないことが多いです。
実際僕の印象としても、何か一つの分野に特化するのではなく、問題への色んなアプローチの仕方を勉強するという意味で統計やコーディングやシミュレーションをかじっているイメージで、割とふわっとしている学科です。ただ、3年目くらいになると自分の興味のある分野が分かるようになり、Second Major や Minor をとる人が多いみたいです。
ちなみにある先輩によると ISE で学んだ問題へのアプローチの仕方が実は他の学科と共通している所が多く、応用がきくみたいです。
なので ISE は最初から最後までフレキシブルで、Second Major や Minor をとりたければ割と簡単に両立できる、と言えるでしょう。
長くなってしまいましたが、以上が NUS の産業・システム工学科、ISE の紹介になります。
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最後まで読んでくださりあがとうございました!
これからの新記事も、過去の記事も楽しみにしていてください。それではまた〜