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The VOCALOID Times #200

2024年11月12日発行  発行者  ドロイド


【1】はじめに

 こんにちは、ドロイドです。お陰様でTimesは、今回で通算#200を迎えました。ここまでまさか続くとは…という心境です。皆様、ありがとうございます。今回は記念号ということで、特別企画をお届けします。

【2】Times#200&4周年記念 クリエイターが選ぶ最強ボカロ曲

 今回、#200という節目とまもなく4周年というタイミングが重なることを記念した企画となっています。今まで、Timesで関わらせていただいたクリエイターの皆様に最強ボカロ曲を1曲選んでいただく企画を立ち上げ、40名以上の方々にご協力いただきました。ありがとうございます。

 今回は、自薦・他薦問わず、最強だと思うボカロ曲を1曲だけ選んでいただくという企画として実施しました。かなり1曲に絞るのが難しいという中、無理を言って皆様にご協力いただきました。では、ここからは、ご協力頂いたすべてのクリエイターの皆様の推薦理由と共にご紹介致します。


暖炉P さん


お餅 さん


霄 さん


コバヤシ ケイ さん


ツキミカド さん

とってもキャッチーなメロディで、聞いた瞬間から元気が出る曲です。過去のことに囚われて、何も変わらないし何も変えられないちっぽけな自分に嫌気がさす日々を送っていた時、ちょうどこの曲に出会いました。めっちゃ可愛い宇宙人が色んなところに現れて、優しい歌詞を歌ってくれているようで当時ダメダメだった自分は号泣しました。本当にこの曲に救われました。自分自身が過去に歩んできたもの、感じてきたこと。それを思い出してクヨクヨしがちだけど「もう今は過去じゃない」ってフレーズで今生きている自分は確実に前に進んでいると感じさせてくれるし「みんなの過去じゃない?」ってフレーズでさらに自分は独りじゃあないんだと温かさを感じさせてくれます。自分が隠したがっている、恥ずかしがっていることでも、案外周りからしたら笑い飛ばせるようなことかもしれない。昨日より今日の自分。過去より今の自分。独りじゃあない。そう笑い飛ばしてくれた気分になります。曲、イラスト、映像、全てみんなのでっかい愛が詰まったすごい作品です。絶対聞いてください。


彩 さん


ちとせとら。さん


ユゥレイの怪奇譚 さん


asanuko さん


すぴぃちゃん さん


睦月Mutsuki さん


夜桐蒼 さん

人生を変えてくれた一曲です。何もせずにただ流れるように毎日を繰り返して過ごしていた僕と同じ年齢の人間が、ここまで人を感動させる作品を作れるなんて、という気持ちになって自分も音楽をしてみたいと思わせてくれた曲です。
この曲と、SAKURAmotiさんがいなかったら、僕は何をしていたんだろうとゾッとするほど、この曲に動かされました。紡ぐ音楽が、歌詞が、ただひたすら真っ直ぐ貫いてくる。でもどこかちょっとひねくれてる部分も、人間らしくて良い。
素直に良い曲だった、素敵だ、と感動して涙を流せる曲ってそう出会えないものだと思うのですが、この曲はそのパワーを持っていると思います。イラストの田雲イチカ(現名義:梓)さんの描くラスサビのアップの笑顔に何度泣かされたか。
映像のKakulyさんの演出する空気感に何度包まれて泣かされたか、SAKURAmotiさんのこの最高の音楽に泣かされたか。僕が人生の中で最もと言えるほどに何度も繰り返して聴いている楽曲です。爽やかに奏でられる音楽に乗せる、痛く辛く苦しくそれでも前向きな歌詞をただ聴いて、見て、感じて欲しいです。


Oda Kogane さん


1:09 さん


Kish. さん

僕の大好きなボカロP、ブブゼラ氏の楽曲です。 音楽に限らず、表現、あらゆる作品の大前提として、「既知の物」の上に成るという性質があります。 「オリジナル」と銘打てども、結局その制作や視聴体験は生まれてから現在に至るまで見聞きしてきたものとの相対的な位置関係によって成立するものです。 (例えば、 ドレミファソラシドは 我々は幼い頃から“見聞きしているためある種の気持ち良さ”を感じますが、 レミファソラシドの概念のないある部族に聞かせた場合、全く理解されなかったという話もあります)
さて本題に戻り、この 「ジュゲム」 という作品は、古典落語の「寿限無」から歌詞を引用した作品であり、一説には平賀源内が著したものともいわれます。
日本人なら誰しも一度は耳にしたことのある寿限無を、リリックとして楽曲内で採用し興味を引くフックとしているわけですが、そのフックを使うには相当の工夫が求められます。そうでなければ、ただの"有名作品への便乗"に成り下がってしまうわけですね。 そんな中、この楽曲では寿限無の元の印象とは対照的な歪んだキックや電子的なサウンド、言葉が持つ「意味」は切り離し、音韻的な音楽の"気持ちよさ"を思い出させてくれます。加えて、構成的な遊び心や合いの手の楽しさもさらに視聴者を楽しませてくれます。
また、シクSiK氏による映像も面白く、イラストと映像の両方を一人で手がけるクリエイターだからこその表現の自由度、独特の色遣いや世界観に終始飽きることが ありません。 例えば、シューリンガンを「シュークリーム写輪眼」、グーリンダイを「グーでリンチしDie (orグーで蹂躙してDie)」と解釈していたり (と私は解釈している) 鳥獣戯画の切り抜きが用いられていたりと、 楽曲同様に繰り返し視聴したくなる魅力があります。
その後、この 「ジュゲム」 をきっかけにブブゼラ氏本人とも仲良くさせてもらっていますが、3日くらいでサクッと作ったと言っていた記憶があります。勘弁して。


A2clip さん


ukebako さん

1選ということで非常に迷ったのですが、ボカロPとして活動しはじめてから聴いた楽曲の中でもっとも心が動かされた本作を選ばさせていたださました。
砂の惑星へのアンサーソングという意見が最も多いですが(もちろんその側面もあると思っていますが)、音楽全体やVOCALOIDというフィールドすべてに対してのアンサーソングのように捉えています。

可不の歌声をメインに置きながら、コーラスに初音ミクやご本人・ご友人の歌声を入れる点にも強い意味を感じます。
また、後半のメロディー「命の唄を貴方へ送ろう」でかなり高い高音が入る部分にこの楽曲がボカロ楽曲である意味を強く感し、感銘を受けました。(個人の感想ではあります)
こんなに優しく愛が溢れている歌を紡げる一員に、自分もなりたいなと、そんな人間になれているかなと、どこか絶望をおぼえながら、本作を聴く度に涙を流してしまいます。


砂乃未時 さん

私が音楽を受け取る側から送る側になったきっかけを与えてくださった椎乃味醂さん。活動当初から味醂さんのような曲を作りたいと無心で彼の作風を学び、形にできるように精進してきました。

その最中、この楽曲が投稿されました。苦しかったです。
開幕から「レプリカばっか溢れたこの街」という歌詞に心を抉られ、私はレプリカの一部であることを認めざるを得ませんでした。
まさに憧れを免罪符にし、味醂さんが必死に創り上げてきた世界を裏切ろうとしていたのでした。

それ以降、今では自分の世界を紡ぐために精進しています。尊敬の念は尽きませんが、いつか自分の色で想いを届けてみせます。
この作品に出会えて心からよかったです。


はるな。 さん


appy さん

最強なため。

(2024 年改めて、音楽家として)
リフ音楽として、ありとあらゆる工夫が詰め込まれていて、中毒性のある繰り返しもありつつ、全然飽きさせない強さがあります。コード進行に対してのエモーショナルの持っていき方も切実さを感じます。語感重視と評されることも多いwowakaさんの作風ですが、言葉の意味に重みを乗せるところをちゃんと踏まえている。
そしてなにより、 VOCALOID を歌わせるのがほんとうに上手いなとも思います。作者本人の感情や歌声がちゃん初音ミクに乗っかって同居している。
いつでも最強だと思うボカロ曲のひとつです。


れとぶき さん


Agate さん


にほに さん


藤宮モカ さん

初音ミクとか鏡音リン・レンとか、そのキャラクターを主役にした楽曲ではないので、まっさらな状態でまず曲を聴けるんですよね。なので、よりのめり込める所が好きです。
次に歌詞で、君の味方だという表現を「そばにいるよ」とかではなく、「共犯者になろう」って言ってくれる所が特に好きです。悪い所も全部含めて、自分という存在を認めてくれてる感じがして。
また、時折強い言葉遣いもあるんですけど、それは責めてるわけではなく、君が大好きだから一緒に生きたい、救いたいという気持ちで溢れてるというのが伝わってきて、一種の愛だなと感しられて大好きです。死にたいという人に生きて欲しいと願うのはエゴなのかもしれないけど、この歌詞を見ると君にとってはこの「生きて欲しい」って思いは救いなんじゃないかなと。個人の考察ですけど、そんな感情を汲み取れる歌詞が本当に大好きです。


カヤP さん


さたぱんP さん

こんな曲が現実世界に存在し得るのかと、当時あまりにも衝撃を受けたことを忘れることはありません。
無調音楽をポップスに取り入れる斬新さ、音楽といつもののの深淵の深さ、全てに恐れ慄き、己の世界の狭さに膝から崩れ落ちた一曲です。

余りにも世界は広いと、音楽が進むにつれて広がる発想と知識の海にいとも簡単に飲まれてしまいました。この音楽を初めて聴いた日から、作曲の為に惰性で続けていたピアノを一からしつかり学び直そうと思い、埃を被ったバイエル(ピアノの教則本)を開いたのを覚えています。

投稿から16年も経っている様ですが、末だにその斬新さは古くなることがなく、これこそがアートなのだと確信しています。

人間が初めて宇宙の外側を知る時って、この曲を初めて聴いた時と同じ気持ちなんじゃないでしょうか。


九七. さん


錦さん


アヒルの天ぷら さん


ふろーた さん


たーちゃん さん

マジカルミライ10t の0曲目、真っ暗な会場がこの曲のラスサビと共に緑の光に包まれた光景はマジミラ初参戦だった私にとてつもない感動を与えました。
この曲があったからこそマジミラ10thが終わったあと自分もボーカロイド文化に関わりたい!広めたい!と思い色々動き出しました。この曲がなければ動画師もボカロ紅白もやってなかったと思います。
また曲も壮大な音に繊細なストリングスが入っていて…本当にせきこみごはんさんのバイオリンに刺されました。
歌詞にも初音ミクへの愛がたくさん詰まっていてどこを切り取っても語れます。
愛を込めても込めきれない様な素晴らしい文化に私を引き込んだ最強の楽曲です。


Toki さん


noncom さん


Tomopilo さん


まかぎ さん


XCAT / かけるねこ さん

僕はいつか必ず歌いたい曲として決めている、ピノキオピーさんの『きみも悪い人でよかった』を選ばせていただきました。
本を捲るような優しい速度で、少し歪な優しい世界が展開されていさます。
登場人物の二人に感情移入しながら、ボカロ曲で初めて泣きそうになりました。(泣いてないもん)本当に何でも出来るピノキオピーさんに感動と、ボカロの可能性と…色んな感情を爆発させられたこの曲は、僕にとってラスポス的最強曲であることにいありません。

6分を超える長尺曲で、歌い手としてカバーさせていただく際は世界観を終始キープ出来るかをものすごく試される高難易度の楽曲だと思っています。
いつかこの壁を越えれるような歌い手になりたい…!


自炊 さん

「最強の曲」を1曲だけ選んでほしい、とのことなので「世界最弱のヒーローの曲」を選ました。まず、サウンド面では、梨本うい氏特有のご機嫌なガレージロックサウンドです(この曲はバンドメンバーで制作したそうですが)。とにかくボップで耳に残る四つ打ちのサビが印象的。シグネチャーサウンドとも言うべき歪んだべースの音がかっこ良過ぎる。自炊はベーシストなので、個人的には真似したくて仕方ない音をしています。そして、音だけでもう十分に最高なんですが、個人的には最も特筆すべき点は歌詞だと思います。

※注:以下の歌詞解釈は自炊の1リスナーとしての個人的な解釈です。
この曲「シャドーマンショー」はタイトルにもある"シャドーマン"をコンセプトにしています。シャドーマンは自称ヒーローなんですが、所詮影なので出来ることが「見守る」のみです。善悪の区別もなく、害も益もなく、簡単に消えてしまう。付きまとって見守ることしかできない存在で、世界最弱と言って差し支えないです。ただ、それでもシャドーマンがヒーローたる所以は「どんな暗闇のなかにいても少しの光があれば駆けつける」ところにあります。影って一般的には「自分自身の後ろ暗い部分」とか割とダークな比蝓で用いられがちだと思うんですけど、この曲では対照的に「少しでも光(希望)があれば現れて、闇に飲まれぬようにただそばで見守るもうひとりの自分」というポジティプなモチーフとして表現されています。そこが個人的にはかなりグッときます。(ちなみに2Aのセリフパートは動画版では死にたい「君」をシャドーマンが激励していますが、アルバム版は全く違うので、個人的には動画版聞いてからアルバム聞いたほうが歌詞の解釈としては良い気がします)
全然関係ない曲の話を急にして申し訳ないんですけど、THE BLUE HEARTSの「人にやさしく」って曲あるじゃないですか。あの曲は「自分は歌を歌うことしかできないけど、それでも気が狂うほど優しい歌が好きで、他の人にも同様に優しい歌を聞かせたくて、必死汗水たらしてただただ歌う」って歌詞だと思うんですけど、シャドーマンショーにも同様の趣を感じています。この歌詞も「自分自身の影」という見方だけじゃなくて、梨本うい氏自身がリスナーに向けた言葉なのかな、とも捉えられる気がします。無力感を抱えつつ、それでも誰かのために歌う様はなんにせよ憧れます。[幸福な明るい日々を生きる人々には目に入らなくても、暗い気持ちに飲み込まれそうな誰かが自分の曲を聞いて救われてくれれば構わない]という意志が詩の裏側に潜んでいるように感じます。

画像より引用

竹椅子 さん


ふみえーる さん


しの抹茶 さん


芽々子 さん


【3】最後に

 #200。いかがだったでしょうか?皆様にとって、少しでも気になる楽曲との出逢いに繋がれば幸いです。次回はインタビュー企画を掲載予定です。ここまで続いているのが不思議な感覚となっております。今後も続けられるかはわからないですが、細く長く更新できるように頑張りますので、今後ともよろしくおねがいします。クリエイターの皆様には感謝の言葉しかありません。今回の企画にもご協力いただいた皆様、本当にありがとうございました。クリエイター支援の為にこれからもTimesを発信しつづけられるように頑張ります。今後ともよろしくお願いします。

 次回もお楽しみに。それではまた、#201でお逢いしましょう(`・ω・´)ゞ

エディター(執筆者&構成&発行等) サポーターNO.118 ドロイド