書き重ねる:2020/11/14
書き重ねるとは同じテーマで文章を毎日書きはじめることである。実行するにあたっては、期間をきめてその中で文章の移り変わりを観察する。
予想される文章の変化は、文章の質が高くなる、あるいは複雑性が高くなることである。
なぜ同じテーマで毎日書くのか。今まで毎日別のテーマで書いていた。しかし、テーマが違うと文章のなかで言葉がどんな働きをしているのか見えづらい。また、毎日続けているゆえ、いつの間にか「書けばいい」といいかげんな態度になってしまった。そこでは、テーマと書く量の釣り合いが取れていなかったのだろう。書く量の方が多いとテーマを無理やり作り出すような形で書いてしまうため、内容がしっかりしない。内容がしっかりしていないと、文章を書くことを味わうよりも、文章を成立させることや、テーマを探すことにエネルギーを使ってしまうのだろう。だから、毎日テーマを探して書くやり方は、書いている私が飽きてきたり疲れてきたりした。
テーマを少なく、そして極端に一つに絞って書くことで、内容をしっかりさせていく。文章を成立させるためにかかるエネルギーをなるべく少なくする。一ヶ月で最終的には完成すればいいと考える。だから、そもそも成立している必要もない。テーマも、一度決めたら変えない。そうしたら、ほとんど無抵抗で書き始めることができる。そして、毎日書き続けることができる。
初めは文章を読み直して、添削をするのが苦手で、別の方法がないかと模索していた。書き直すやり方も、文章をよくするための一つの手段だと知っていた。一つの文章を作るのに、頭から書き直すことの方がはるかにめんどくさいが、毎日書き続けることを優先したら、書きっぱなしで投稿して、明日頭から書き直して質を上げていくやり方の方が楽だと思い始めている。
添削することの代わりに文章の質を高める手段として期待している。添削する以上の効果もあるのではないかと思っている。添削することは修正に過ぎなくて根本にある考えや文章の構造までもをいじることができない。しかし、毎日書き直すとなると、昨日のやり方を忘れて、テーマと出会い直すことができる。添削するより時間がかかり、一ヶ月に一つの内容しか語れないが、より色々な視点からテーマを語るやり方を発見できている。
書かれた文は、偶然の産物である内容について語っていても、いくらでも別の手段がその裏に隠されている。何度も同じテーマについて語り直すことは、文が出来上がる背後にある無数の可能性を掘り起こす作業なのだと思う。