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松本人志のいた頃

大阪生まれの僕はもちろん子供の頃からどっぷり吉本でした。今のNGKができる前のなんば花月と呼ばれていた場所にも子供の頃、たまに連れて行ってもらいました。
まだ漫談をしているさんまちゃんや、やすきよも出てました。
消防法の厳しい今では考えられないですが、床にもお客さんが隙間なく座っていて、みんな休憩時間に売りに来るモナカを食べながら笑っているザ、演芸場っていう空間でした。

それから少し経ち中学生になった頃でした。漫才ブームも一段落してテレビでいつもの様に少し古びた演芸番組を見てると、見た事のない若いガラの悪い感じの2人が出てきました。
一人が言いました「ダラダラ出てきてすいません。しんどいんです」
衝撃でした。それまで漫才と言えば半ば早歩きで出てきて、笑わせまっせ感満載でしたから。
笑わせる気がほとんどない2人。けれど今まで見たことのない漫才で一瞬にして中学生の僕はとりこになりました。
それがダウンタウンでした。

その辺りから大阪の中学生の喋り方が、一気にダウンタウン化していったのを覚えています。

根暗で引っ込み思案だった僕が、ダウンタウンに会いたいがため、彼らの公開番組「4時ですよーだ」の素人が一発芸をするコーナーのオーディションも受けて、出演しました。
中学卒業したらNSCに行くといって教師を悩ませたりもしていました。

貪るようにテレビ、ラジオでダウンタウンを見続けました。あの頃はダウンタウンも現会長の大崎さんとの話も色々してました。
まだ売れていない頃、3人で心斎橋の劇場の前でずっと掃除していた話が大好きでした。

松本さんの最近の政権寄りのコメントや、吉本自身の国との距離感には少し違和感も感じていますが僕は彼の笑いが大好きです。

時代は流れます。残酷なほど色々なモノをなぎ倒しながら流れます。

遠い昔、心斎橋筋2丁目劇場の前で、朝からホウキを持って掃除していた3人。

道を掃きながら、笑いの事だけをグダグタ喋っていたダウンタウンと大崎さんの物語が、残念なエンディングを迎えない事を願うばかりです。


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