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『許容』のススメ

最初に言っておくと、「ありままの自分を受け入れよう」とか「あなたはそのままでいい」とか、そういう話ではありません。
もう少し優しくなくて、実践的な話です。

先日、絵に描いた餅を破り捨てるという「できもしない方法に執着するな」という内容の記事を書きました。
しかし、努力している最中でも満足できない現状に対して「耐えねばならんのだよ」とひたすら我慢し続けるのも、結構なストレスになります。
そしてそのストレスに耐えきれず、焦って継続できない負荷の高い努力に取り組み、挫折してしまったりするわけです。

このように、『我慢』によってもたらされるストレスは、目標に向けた継続的行動にとって結構な障害となります。
そこで『許容』という考え方を取り入れることで、単純な『我慢』よりも楽な状態を目指そう、ということを考えてみるわけです。

許容とはなにか

まず許容とは何かというと、『満足』でも『我慢』でもない状態を指します。
順に見ていきましょう。

まず『満足』とは、現在の状況を無条件に受け入れることを指します。
やりたいけどできないこと、欲しいけど手に入らないものがあったとしても、「それで良い」「今あるもので十分だ」と考えるのです。
なんだか悟りの境地っぽい感じですね。

とはいえ、そう簡単に「吾唯足知」(われただ足るを知る)みたいな気持ちになれるわけもありません。筆者のような凡人はまず無理です。
こういう考え方が必要な場面もあるかもしれませんが、なんでもかんでも「あるがままで良い」とはなかなか思えないでしょう。
だからこそ、我々は勉強したり練習したり色々と努力をするのです。

続いて『我慢』と『許容』についてです。
これらはどちらも「今のままじゃ駄目だ」という考え方なのですが、『許容』の方がやや考え方の解像度が高いイメージです。

『我慢』は「今こうである」ことを無条件に許さない考え方です。
太っていること、絵が下手であること、英語が読めないこと等、様々な今の自分に対する不満を「許さない」のです。
かといってその許せない現状を急になんとかする能力はないので、不満をそのまま丸呑みする羽目になるわけです。
この状態は非常にストレスが溜まるのですが、かといって『満足』の境地に至るのは難しいでしょう。

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そこで、『満足』よりは簡単でストレスが軽くなりそうな『許容』を目指してはどうかということを考えて見るわけです。
『許容』は「ずっと今のままである」ことは許さないが「今こうである」ことは許す、という考え方です。

つまり、何らかの具体的行動を取っていることを条件に「そこに向かって進んでいるのだから、今は駄目でも許しといてやろう」という考え方です。
「今日のところは、このくらいでカンベンしてやらあ!」ということですね。

これによって巨大な不満を丸呑みするよりはストレスがマシになるのではないか、というわけです。
それぞれ並べると、以下のような感じです。

・我慢:現状を良しとせず、ただ拒絶する
・満足:無条件に現状のままで良い、と完全に受け入れる
・許容:条件付きで現在の状態を認める

何を許容するか

では『許容』はどのように使うべきかという話に移りますが、ここでは自分のショボさを『許容』することについて述べていこうと思います。
先日の記事で提案したような「できること」に立脚した計画の遂行において、ストレスとなるものは自分のショボさです。
自分のショボさとは、「継続的にできること」がショボい、あるいは理想の状態からあまりに遠い自分の姿が情けない、といったことです。

例えば色々とやってみた結果、今の自分が「継続的にできること」は「毎日500mくらい散歩」とかだったとします。
こういう時に「毎朝3kmのジョギングくらいできてほしかった」などと自分にがっかりしてしまうわけです。

とはいえ、実際にやってみて続かなかったのであればそれは今のあなたにとって「できない」ことなのです。
それはもう、事実として認めるしかありません。

まあ何らかの工夫を施せば可能になる可能性は多少あるにはあります。
ですが、そんなあるかどうかもわからない工夫を探し求めるよりはさっさと「できること」を見つけるほうが手っ取り早いと思います。
ここでよくあるパターンとして、自分のショボさを『我慢』するストレスに耐えられず、闇雲に運動の負荷を上げてしまって続けられなくなったり、単純に自分に嫌気がさしてやめてしまったりするわけです。

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そこで、ストレスを軽減するために『許容』をつかってみることを考えるのです。
つまり、「今は500mの散歩しかできないが、この散歩によって毎日外に出る習慣を作っているのだから、ジョギングが毎日できる状態には近づいてる」と考えるのです。
「なりたい状態に近づいている」ということをしっかり認識することで、今の「できない」自分を許しやすくなるのではないか、ということですね。

もちろんあまりに変化が緩やかだったりすると『許容』すら難しくなるかもしれません。
ですが、無条件に「今の自分は駄目だ!」と考えるよりは継続的行動の妨げになるストレスが大分軽減されるのではないかと思うのです。

まとめ

今回は「今できないこと」を条件付きで許すことで、自分のショボさを認めるストレスを軽減させよう、ということについて書きました。
この考え方も決して万能ではなく、ストレスはゼロにはなりませんし、「条件」として使える継続的行動が必要になります。

そして継続的行動も、あまりに負荷が軽いと「条件」としてちゃんと機能してくれないのです。
(どの程度の負荷なら良いかは個人差が大きいと思いますが)
なので、継続的行動として設定するタスクは徐々にバランスの良い場所を探っていく必要があります。

最初は「続けばOK」くらいで良いと思いますが、『許容』の条件としてあまりに負荷が弱いと感じたら継続できる範囲で負荷を上げていくことも考えてみましょう。
継続できることが第一条件であることは変わらないので、そこは十分に注意する必要がありますが。

では、またいずれ。

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