ゼロから始める個人開発

ChatGPTなどの登場で参入障壁が低くなった個人開発。
それでも気軽に手を出せるレベルではない…ような雰囲気もある。

  • 作りたいサービスがある

  • 稼げそうだからやってみたい

  • 面白そうだから

  • などなど…

個人開発を始める理由は人それぞれだが、実際にサービスを作る際の流れはだいたい同じ。
そこで、個人開発仲間が増えることを願って、2018年から複数のWEBサービスを個人開発してきた僕が、企画からリリースに至るまでの流れを紹介しようと思う。


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なにを作ろうか?

個人開発を始めるとき、まず最初に考えるのがこれ。
ここが最も個性が表れる部分だと、周りの個人開発者を見ていて感じる。

■ ”きっかけ” を考えてみる

僕がアイデアを思いつくきっかけは大きく分けて2つ。

  • めんどくさいな〜

  • なんか面白そう!

言語化するのは難しいのだけど、自分の感情が動いたときに思いつくことが多い気がする。

■ それで生まれたのがこのサービス

  • Asked Q&A(「めんどくさいな〜」から生まれた)

  • Phantom News(「なんか面白そう!」から生まれた)

今回の記事では、Asked Q&Aを例にして説明していく。


この記事では、Phantom Newsについて触れませんが、Zennに「ノリと勢いに任せて書いた記事」があります。
興味のある人はそちらを読んでください。


Asked Q&Aを例にリリースまでの流れを解説

※下の画像をクリックすると、具体例として紹介するAsked Q&Aのサービスページに移動できます。

■ 同じ機能を実装するのが面倒…という ”きっかけ”

「新しいサービスを作るたびに、同じような機能(FAQページ)を実装するなら、それを一つのサービスとして切り出せばいいじゃん!」というシンプルな発想。
そして、「ついでに他の人も使えるようにしよう!」というアイデアが加わり、CGM形式の”FAQページ作成サービス”の案がぼんやりと誕生。

■ 需要あるのかな?

サービスをリリースしても、使われなければ意味がない。
だから、作り始める前に需要を確認することが大切。
Asked Q&Aの場合は、「みんなホームページにFAQを載せているから、需要はありそう」という軽い調査だけで、「少なくとも自分が使うからOK」と判断。

■ 市場規模はどうだろう?

実はこれ、とても重要。
Asked Q&Aは国内向けのサービス。
まずは、これをリリースして獲得できるユーザーの理論値を考えてみる。

Asked Q&Aのターゲットは以下の通り

  • 中小企業

  • スタートアップ企業・ベンチャー企業

  • 個人事業主・フリーランス

  • イベント・サークル・コミュニティ

これらを合計すると潜在的な顧客は1,000万人ほど。これが市場規模。
※個別の数値に興味ある人は自分で調べてください。

■ マーケットシェア(市場占有率)を考えてみる

市場規模である1,000万人すべてを獲得できれば理想的だが、それは現実的ではない。というか不可能。
そこで、全体の何%を獲得するか?を目標として設定することが大切。

僕個人としては、「1%くらい獲得できれば十分じゃないかな?」と考えている。
個人開発だからこそ、自分一人で1%のユーザーを獲得できれば大成功。大黒字。幸せな未来が待っている。
1,000万人の1%である10万人を目標に設定。

■ ビジネスモデルを考えてみる

Asked Q&Aと相性が良さそうなのは、次の3つのビジネスモデル。

  • 広告モデル

  • フリーミアムモデル

  • サブスクリプションモデル

そこで、まずは広告モデルを軸に運営してみることに決めた。


「急にビジネスモデルなんて言われてもわからないよ…」って人も多いと思うので、ChatGPTにざっくり紹介してもらう。

【広告モデル】
Webサービス上に広告を掲載し、その広告収入を主な収益源とするモデル。
ユーザーは基本的に無料でサービスを利用できるため、アクセス数が増えるほど広告収入も増加する。
例)Google検索・YouTube・ブログなど
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■ メリット
・多くのユーザーを集めやすい
・大規模なトラフィックをもとに収益を得ることができる
■ デメリット
・広告の品質や量によってはユーザー体験を損なう可能性がある
・トラフィックが少ない場合、十分な収益を得にくい

【サブスクリプションモデル(定期課金モデル)】
月額・年額などの形で、ユーザーが定期的な料金を支払ってサービスを利用するモデル。
例)Netflix・Spotify・Dropboxなど
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■ メリット
・安定した収益が見込める
・将来的な収益予測が立てやすい
■ デメリット
・ユーザーが継続的に価値を感じられるサービス提供が必要
・退会率(チャーンレート)を低く抑える努力が求められる

【フリーミアムモデル】
基本的なサービスは無料で提供し、追加機能やプレミアムなサービスに対して課金をするモデル。
多くのユーザーに無料で利用してもらうことで認知を広げ、特定のユーザーに対して追加機能や特典を提供することで収益化を図る。
例)LinkedIn、Slack・Discordなど
----------
■ メリット
・無料ユーザーを多く獲得することで認知を拡大できる
・特定のユーザーに追加機能を販売することで収益化できる
■ デメリット
・プレミアムユーザーへの移行率(コンバージョン)が低いと、十分な収益が得られない

【トランザクションモデル(手数料モデル)】
取引ごとに手数料を徴収するモデル。
ECサイトやCtoCプラットフォームなどが多く採用。
ユーザーが取引を行うたびに、その金額の一部を手数料として収益化。
例)Amazon・楽天・eBayなど
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■ メリット
・取引量が増えれば増えるほど収益が増加する
■ デメリット
・取引が成立しない限り収益が得られない
・取引数を増やすためのマーケティングやユーザー満足度向上が重要

【マッチングモデル】
サービス提供者と利用者をマッチングさせるプラットフォームを運営し、その過程でマッチング手数料や成約手数料を収益とするモデル。
クラウドソーシングサイトやシェアリングエコノミー関連のサービスが該当する。
例)クライドワークス・Uber・Airbnbなど
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■ メリット
・取引の成功に応じて手数料が得られる
・運営側のリスクが少ない
■ デメリット
・マッチングの成立率が低いと収益が安定しない

【ECモデル(電子商取引モデル)】
自社商品やサービスをオンラインで販売するECサイト運営のモデル。
例)個人事業者の小規模ECサイトなど
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■ メリット
・商品の販売量に応じて直接的な収益が発生する
■ デメリット
・在庫管理や配送、顧客対応などの運営コストがかかる

【ライセンスモデル】
企業や個人に対して、ソフトウェアやサービスをライセンス契約によって提供し、利用料を収益とするモデル。
例)Microsoft (Office 365, Windows OS)・Adobe (Creative Cloud)など
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■ メリット
・一度ライセンス契約を結べば、安定した収益が見込める。
■ デメリット
・契約の更新がないと収益が途切れる可能性がある
・長期的な関係構築が重要

【データ販売モデル】
ユーザーから得られたデータを分析し、第三者に販売したり、マーケティングに活用したりするモデル。
大規模なユーザーベースを持つWebサービスでよく見られる。
例)Google・Facebook・Amazonなど
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■ メリット
・大量のデータが大きな資産となる
・継続的な収益が期待できる。
■ デメリット
・プライバシー保護の規制が厳しくなっている
・倫理的な問題が発生しやすい

【クラウドファンディングモデル】
サービスを通じてプロジェクトやアイデアに対する資金調達を行うモデル。
ユーザーが資金を提供し、その一部を手数料として収益とする。
例)Kickstarter・Makuakeなど
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■ メリット
・大規模な資金調達が可能
・成功すれば手数料収益が得られる
■ デメリット
・多くのプロジェクトが失敗に終わる
・プロジェクトの成功率を上げることが重要

■ マネタイズを考えてみる

広告モデル主体のAsked Q&Aで、違和感なく使える手軽なマネタイズ手段は次の2つ。

  • Googleアドセンス

  • Amazonアソシエイト

もちろん、これらは迷わず即採用。

具体的には、ユーザーがコンテンツに興味を失いそうな箇所にGoogleアドセンスの広告を配置し、コンテンツ内のAmazonリンクを自動的にAmazonアソシエイトのリンクとして表示するだけ。

【Tips】
実は、個人開発で使える手軽なマネタイズ手段は、個人ブログとほとんど変わらない。
Stripeなどの決済サービスを使えば、法人(組織)が運営するサービスと同等の柔軟なマネタイズ手段を得られるが、ユーザーに課金(決済)してもらうのは非常に難しい。
せっかく実装しても、誰も使ってくれない…なんてことも、よくある話。


他にも個人開発で使えるマネタイズ手段はいくつかある。
Asked Q&Aで採用したものも含めて、ChatGPTの力を借りながら有名なものをざっくりと紹介。

【広告系】
■ Google AdSense
世界的に有名な広告ネットワーク。
コンテンツにマッチした広告が自動的に表示されるため、ユーザー体験を損なわずに収益化できる。
■ 忍者AdMax
国内向けの広告サービス。
アフィリエイトや広告主と提携しやすい。
広告の種類も豊富で、クリック報酬型、インプレッション報酬型、成果報酬型の広告が用意されており、ニッチなサイトでも利用しやすい。
■ 純広告
サイト運営者と広告主が直接契約を結び、広告枠を販売する形式。
広告の期間や料金が事前に取り決められているため、安定した収益が期待できる。
バナーやテキストリンクを特定の場所に掲載するケースが多く、広告主にとってはターゲットユーザーに直接アプローチできる点が魅力。

【アフィリエイト系(ASP)】
■ A8.net
国内最大級のアフィリエイトプラットフォーム。
商品やサービスを紹介し、購入や申し込みが発生すると報酬が得られる。
幅広いジャンルの商品やサービスがあり、初心者でも始めやすい。
■ バリューコマース
A8.netと並ぶ有名なアフィリエイトサービス。
特にECサイトやクレジットカード、金融商品など高単価の案件が多い。
個人開発だけでなく、ブログやSNSなどを通じて商品を紹介できる。

【アフィリエイト系(大手EC)】
■ Amazonアソシエイト
Amazonの商品を紹介して、そのリンク経由で商品が購入されると紹介料がもらえる。
商品のラインナップが非常に豊富で、多くのユーザーに利用されている。
■ 楽天アフィリエイト
楽天市場の商品を紹介して、そこから売上が発生すると楽天ポイントや現金で報酬が支払われる。
楽天ユーザーが多いことから、商品紹介のしやすさがある。

【直接決済系】
■ Stripe
クレジットカード決済をはじめ、Apple Pay、Google Pay、銀行振込などの多様な支払い方法に対応。
APIが豊富で、サブスクリプションや一括決済の管理がしやすい。
■ Pay.jp
日本国内向けのシンプルなクレジットカード決済API。
特に日本市場に特化しており、日本円での決済に最適。
セキュリティ面も強化されている。
■ PayPal
国内外で広く利用されている決済サービス。
PayPalアカウント同士の送金や、クレジットカードを利用した決済が可能。
国際的な取引にも対応。
■ Square
簡単にクレジットカード決済を導入できるプラットフォーム。
物理的な店舗やオンラインショップの両方で利用可能。
特に店舗型ビジネス向けに強みがある。
■ GMOペイメントゲートウェイ
大手企業が利用する総合的な決済サービス。
個人事業主向けプランもあり、銀行振込やクレジットカードなど多様な決済手段に対応。


【Tips】
個人開発をするなら、直接決済系のサービスを1つは使えるようになっておきたい。
無理に最初から導入する必要はないが、サービスが成長したときに決済機能を簡単に追加できるのは大きなメリット。
紹介した中では、個人的にはStripeがおすすめ。
他と比べて手数料は少し高めだが、ドキュメントが丁寧でわかりやすく、管理画面も使いやすい点が好印象。

■ 売上を考えてみる

市場規模の1%、つまり10万人(10万アカウント)と、マネタイズ手段(Googleアドセンス)を元に、月間の売上をざっくり計算してみる。
※不確定要素が多いため、Amazonアソシエイトは計算に含めない

少なく見積もって、1アカウントあたり毎月100PVを集めるFAQページを作成すると仮定。
Googleアドセンスの平均PV単価は0.2円という噂。
これを計算すると…

100,000 * 100 * 0.2 = 2,000,000

毎月200万円の売上!!!!!!!!

これにAmazonアソシエイトも加えると、年間で2,400万円以上の売上になる可能性。
サーバー費用などのランニングコストを考えても、黒字になりそうな予感。

■ 実際に開発してみる

素早く作ってリリースすることが大事。
技術的な説明は長くなるのでここでは割愛。
もし需要がありそうなら、Zennに開発についての記事を投稿するかもしれない。

【Tips】
僕がよく使う組み合わせを紹介します。参考にどうぞ。
・React (Next.js)
・Ruby on Rails
・Google Cloud Platform
※スタートアップでよく使われていて、「スピード開発するならこれかな〜」という理由で使ってます。

■ 期待に満ちたリリース初日

バズを期待しながら震えて過ごす。
きっとハッピーエンド(?)が待っているはず!

■ リリース翌日、絶望の始まり

バズらない。うん、知ってた。
GA4(アクセス解析ツール)を確認すると…
誰も使っていないという現実に直面し、絶望。
これが毎日のように続く。


ようこそ、個人開発の沼へ

リリースがゴールだと思っていた皆さん、ようこそ個人開発の沼へ。
実はここからがスタートラインです。

  • どうして誰も使ってくれないのだろう?

  • ユーザーが定着しないのはなぜ?

  • UI/UXが良くないのかも?

  • そもそも集客できてるの?

  • あーーーーーー、赤字だぁ…..

安心してください。
これは個人開発者なら誰もが通る道です。

みんな苦しみながらPDCAを回してます。
共に立ち向かいましょう。

ビジネスとして考える

「個人でサービスを作れた自分、すごくね?これはもう成功するっしょ!」と、最初は自分を特別視しがち。
しかし、実際は全く特別ではない。
たとえ特別だったとしても、ユーザーはそんなこと気にしない。

サービスを運営する以上、比較対象となるのは法人(組織)の運営するサービス。
「個人開発だから少し使いづらくても許してね」といった甘えは通用しない。

ビジネスという戦場に立つ以上、目指すべき道は2つしかない。

  • ジャイアントキリング(大手に挑む)

  • ニッチ領域のパイオニア(新たな分野を切り開く)

法人化した方が便利ではある

個人開発をしていると、ユーザーから問い合わせが来ることがある。
その際、法人名義があると何かと便利。
必須ではないが、ユーザーの信頼を重視するなら、法人化しておくと安心できる。
また、サービス利用時に法人プランを選択できるようになるメリットもあるし、節税の選択肢が増えるのも大きい。

個人的に、法人化の最大のメリットだと感じるのは「有限責任」になること。
これが法人化した一番の理由といっても過言ではない。それくらい重要。

【ChatGPTの解説】
個人事業主は、事業上の債務に対して無限責任を負います。
つまり、事業の負債を個人資産で返済する義務があります。
一方、法人化(例:株式会社や合同会社)すると、法人と個人が法的に別人格となり、事業上の債務は法人が負います。
これにより、出資者(株主や社員)は出資額の範囲内で責任を負う有限責任となります。
つまり、法人化することで、個人としての財産に対するリスクを限定することができます。

■ 株式会社は面倒

設立費用が高く、合同会社と比べて決算も面倒。
できることは増えるが、役員の任期なども考える必要があり、個人開発のための会社としてはオーバースペック。
しかし、株式を使って資金調達ができる点は、合同会社にはない株式会社のメリット。

僕は株式会社にして後悔している。
おすすめはしない。

それでも「俺は株式会社にするんだ!」という人向けに、かわんじ大先生の神記事を貼っておきます。熟読しましょう。

■ 合同会社がおすすめ

合同会社は株式会社よりも設立費用が安く、手軽に法人名義を得られる。
個人開発をするだけなら、これで十分だと思う。
仕組み的に代表取締役と名乗れないのがデメリットかな(?)

■ これが株式会社な弊社

最後に

この記事を読んで個人開発を始める人へ。
FAQページに Asked Q&A を使ってくれると嬉しいです。
あと、成功して潤沢な資金が貯まったらお仕事ください。

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役に立たないことばかり呟いてますが、興味ある人はフォローよろしくお願いいたします。
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