読売新聞と大阪府との包括連携協定に抗議します。
この度、朝日新聞記者でありルポライターの三浦英之さんの声かけで、しがない絵描きに過ぎませんが、賛同人の一人として名を連ねることになりました。為政者と報道機関が手を組むという、恐ろしい協定に対して、抗議の声をあげてください。シェア、拡散大歓迎です。よろしくお願いします。
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2021年12月27日
#ジャーナリスト有志の会一同
読売新聞大阪本社と大阪府が12月27日、情報発信など8分野で連携・協働を進める「包括連携協定」を結びました。「府民サービス向上」と「府域の成長・発展」を目的にして、教育・人材育成、情報発信、安全・安心、子ども・福祉、地域活性化、産業振興・雇用、健康、環境などの9つの連携事項を掲げていますが、そこには「その他協定の目的に沿うこと」という項目もあり、結局すべてが解釈次第で対象に含まれてしまう危険性があります。
報道機関が公権力と領域・分野を横断して「包括的」な協力関係を結ぶのは極めて異常な事態であるだけでなく、取材される側の権力と取材する側の報道機関の「一体化」は、知る権利を歪め、民主主義を危うくする行為に他なりません。私たちジャーナリスト有志は今回の包括連携協定の締結に抗議し、速やかに協定を解消することを求めます。
27日に示された「今後の主な取組み」には、「生活情報紙などの読売新聞が展開する媒体や、各種 SNS などを活用して、大阪府の情報発信に協力します」という内容が盛り込まれています。
吉村洋文知事は協定締結後の記者会見で「協定締結にあたり、報道活動への制限、優先的な取り扱いがないことを双方確認している」と主張しました。
また読売新聞大阪本社の柴田岳社長は、協定を結ぶことでメディアに自己規制が働くのでは、との質問に「懸念をもたれる向きはわかるが、読売はそうそう、やわな会社ではない。記者の行動規範には『取材報道にあたり、社外の第三者の指示を受けてはならない』『特定の個人、団体の宣伝のために事実を曲げて報道してはならない』と定められ、これに沿って公正にやるとなっている」と反論。一方で、「新聞社にとっては将来的には『ウィンウィン』の関係。萎縮しないかは、『萎縮しないでしょう』というしかない」などとあやふやな発言に終始しました。
連携の主な取り組みには、「地域活性化」として税金の使い道として正しく監視されるべき「万博の開催に向けた協力」も含まれています。万博の開催については賛否両論があり、賛成の立場からも計画の整合性や土壌汚染などに厳しい視線が向けられているなかで、「開催に向けた協力」を打ち出している読売新聞が「主体的に読売新聞が判断し、望ましいと思えば望ましいと書くし、おかしいと思えばおかしいと書く」(柴田社長)ことが果たして可能なのか、疑問が残ります。
我が国における戦後の報道の公正さの担保はこれまで、権力との十分な距離にあったはずです。その距離を見誤り、独立性を失えば、報道は多かれ少なかれ、権力側の情報を流すだけの「広報」になってしまいます。
また大阪府は西日本最大の自治体であるとともに、国政政党「日本維新の会」の副代表がトップを務め、特定政党の影響力も強い自治体でもあります。今回の協定が悪しき前例となり、全国に波及することを危惧します。
読売新聞も加盟する日本新聞協会の「新聞倫理綱領」の前文には、次のように記されています。
「国民の『知る権利』は民主主義社会をささえる普遍の原理である。この権利は、言論・表現の自由のもと、高い倫理意識を備え、あらゆる権力から独立したメディアが存在して初めて保障される」
「公正な言論のために独立を確保する。あらゆる勢力からの干渉を排するとともに、利用されないよう自戒しなければならない」
同協会が出した記者クラブに関する見解(2006年一部改訂)でも、記者クラブの構成員には「倫理の厳守」を求めています。今回の協定はこれらの倫理綱領にも反するものではないでしょうか。
読売新聞大阪本社にはかつて、大阪社会部を中心に、反権力・反差別のジャーナリズムの気風がありました。現在の読売新聞内にも、今回の協定締結に心を痛めている記者が数多くいます。志を持った記者が心折れることなく、尊厳を持ってジャーナリズムに専念できる環境を取り戻す必要があります。
報道機関の存立基盤は公権力ではなく、市民の信頼です。現場で取材を続けている私たちは、疑念を持たれている今回の協定を一刻も早く解消し、報道機関の原点に立ち戻ることを強く求めます。
ジャーナリスト有志の会一同
賛同人(あいうえお順)
明石順平(弁護士)
阿部岳(新聞記者)
青木俊(作家)
青木美希(ジャーナリスト、新聞社員)
青木正美(日本女医会理事)
アルテイシア(作家)
石川泰大(新聞記者)
石丸次郎(ジャーナリスト/アジアプレス)
石橋学(新聞記者)
石原真樹(新聞記者)
伊田浩之(ジャーナリスト)
井田奈穂(選択的夫婦別姓・全国陳情アクション事務局長)
出田阿生(新聞記者)
今西憲之(ジャーナリスト)
井上淳一(脚本家・映画監督)
指宿昭一(弁護士)
岩上安身(ジャーナリスト/インターネット報道メディアIWJ代表)
上西充子(法政大学教授)
宇佐見昭彦(新聞記者・元窓友会会員)
内田樹(武道家、翻訳家、思想家)
おおたとしまさ(教育ジャーナリスト)
大袈裟太郎(ジャーナリスト)
太田啓子(弁護士)
大谷昭宏(ジャーナリスト)
大濱崎卓真(政治アナリスト)
大矢英代(ジャーナリスト)
岡田元治(株式会社リンク代表取締役社長)
奥谷禮子(ザ・アール創業者)
加藤雅司(写真家)
柏崎智子(新聞記者)
上東麻子(新聞記者)
金平茂紀(ジャーナリスト)
川内有緒(ノンフィクション作家)
川内イオ(ジャーナリスト)
菊池康太(株式会社フェイドイン)
北原みのり(会社経営・作家)
木村知(医師)
久保田徹(ドキュメンタリー映像作家)
黒部エリ(著述業)
熊谷伸一郎(月刊誌「世界」編集長)
倉重篤郎(ジャーナリスト)
幸田フミ(FUMIKODA 代表取締役社長)
古賀茂明(フォーラム4代表)
駒井知会(弁護士)
五野井郁夫(政治学者・国際政治学者)
児玉晃一(弁護士)
小林由比(新聞記者)
三枝茂彰(作曲家)
酒井かをり(出版労連中央執行委員長 出版社社員)
坂手洋二(劇作家・演出家)
佐々涼子(ノンフィクション作家)
佐々木芳郎(フォトグラファー)
佐藤康宏(東京大学名誉教授・美術史家)
佐藤直子(ジャーナリスト)
佐藤章(ジャーナリスト)
佐高信(評論家)
佐々木芳郎(フォトグラファー)
鮫島浩(ジャーナリスト)
志葉玲(ジャーナリスト)
清水雅彦(日本体育大学教授)
白井聡(政治学者)
杉原悠人(月刊日本 編集者)
辛淑玉(人材育成コンサルタント)
鈴鹿久美子(株式会社InStyle 代表取締役社長)
鈴木耕(一般社団法人マガジン9代表理事)
鈴木邦弘(絵本作家)
鈴木博喜(フリーライター・民の声新聞発行人)
せやろがいおじさん(お笑い芸人・YouTuber)
添田孝史(フリーライター)
臺宏士(フリーランス・ライター)
たかまつなな(時事YouTuber)
武市正人(東京大学名誉教授)
ダースレイダー(ラッパー)
竹下郁子(Web メディア記者)
高橋済(弁護士)
高田昌幸(東京都市大学教授・ジャーナリスト)
武井由起子(弁護士)
立岩陽一郎(NPOメディア インファクト編集長)
田中龍作(フリージャーナリスト)
田中稔(社会新報編集長)
辻愛沙子(クリエイティブディレクター)
津田大介(ジャーナリスト・メディア・アクティビスト)
豊原功補(俳優)
富岡〝Grico〟義広(ドラマー)
永井愛(劇作家・演出家)
中島岳志(東京工業大学教授)
永田浩三(ジャーナリスト・武蔵大学教授)
中田亮(音楽家)
中村進治(民報ディレクター)
中村信義(ライター)
西山温子(弁護士)
初鹿明博(一般社団法人 地域福祉機構代表理事)
平河エリ(ライター)
平嶋彰英(立教大学特任教授)
前川喜平(現代教育行政研究会代表)
前田佳子(国際婦人年連絡会 共同代表)
町田彩夏(政治アイドル)
馬奈木厳太郎(弁護士)
美内すずえ(漫画家)
三上智恵(映画監督)
三浦英之(新聞記者・ルポライター)
南彰(新聞記者・前新聞労連委員長)
宮嶋みぎわ(音楽家)
宮子あずさ(看護師・コラムニスト)
向井徹(編集者)
村上博(医師)
村山加津枝(ライター)
中野昌宏(青山学院大教授)
野中ともよ(NPOガイアイニシアティブ代表)
西谷文和(ジャーナリスト)
畠山理仁(フリーランスライター)
長谷川宏(専修大学教授)
日比野敏陽(元新聞労連委員長、京都新聞記者)
菱山南帆子(憲法改悪市民連絡会事務局次長)
福島明夫(青年劇場代表)
布施祐仁(ジャーナリスト)
笛美(会社員)
古舘寛治(俳優)
ぼうごなつこ(漫画家)
星川淳(作家・翻訳家)
星野親行(浄土真宗僧侶)
望月衣塑子(新聞記者)
森功(ノンフィクション作家)
山岡淳一郎(ノンフィクションライター)
山口一臣(THE POWER NEWS代表)
山崎雅弘(戦史・紛争史研究家)
山崎桃生(イベントプロデューサー)
山下洋平(テレビ報道記者)
山本宗補(フォトジャーナリスト)
山本和奈(一般社団法人 Voice Up Japan 代表理事)
ヤン ヨンヒ(映画監督)
安田浩一(ノンフィクションライター)
ラサール石井(俳優・演出家)
吉岡正晴(音楽ジャーナリスト)
吉富有治(ジャーナリスト)
吉永みち子(エッセイスト)
和田静香(フリーライター)
渡瀬夏彦(ノンフィクションライター)
若林直子(PRコンサルタント)
和田浩明(新聞記者)
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