[地方議会から]東北の力を結集し誇りある国づくりを(「日本の息吹」令和3年9月号より)
日本会議東北地方議員連盟
会 長
北林康司 秋田県議会議員
幹事長
菊地崇良 仙台市議会議員
東北地方議連設立までの道
― 7月14日に日本会議東北地方議員連盟の総会が開催されましたが、設立までの経緯を教えてください。
北林 私共の東北ブロックは全国で5番目の設立となりました。設立は昨年の11月3日、そして設立総会を12月23日に書面にて行いました。これらの日付をご覧いただくと解ると思いますが、明治天皇と上皇陛下のお誕生日にあたります。その佳き日を選んでいるということからも、私共が我が国の伝統文化を大切にするという想いを根底に据えていることがお分かりいただけるでしょう。
菊地 令和の御代、大震災からの10年にあたり、やはり一同で顔を合わせ、憲法改正等への思いを共有したいと思いまして、特別講演と行政研修を含む総会を企画いたしました。当初は4月の予定でしたが、新型コロナウイルス感染症の蔓延防止のため延期し、今回ようやく開催することができました。
北林 ここでは東北6県すべてからご参加いただいたのですが、それぞれの強い想いをもったメンバーがすべての県から集まったというのは大変有意義なことでした。
実は、地方議員連盟の東北ブロックを設立したいという構想は、東日本大震災の翌年からありました。当時は、すべての県との十分な連携を得るまでには至りませんでした。
それでも東北ブロックを作りたいという想いを強く持っていましたので、5〜6年前に私が各県に足を運び、地元の議員の先生と話を進めてきました。そのあと、菊地幹事長が関係者や自衛隊OB議員などに賛同と協力を求めてくれたことも奏功し、ようやく設立へとこぎつけました。
菊地 大震災からの復興と人口減少・少子高齢化に立ち向かうには、自治体単独では立ち行かないのが現実です。そのため東北の8つの中核市の平成23年度当選議員による超党派の研究会を作っていたのですが、今回の東北ブロック設立にあたっては、地方創生を願うその議員のネットワークも活きました。
北林 それぞれに思いをもって活動している素晴らしいメンバーが集いました。ただ、憲法改正等についての認識が共有できていませんでしたので、目標や勉強会の開催についてなど周到に協議しながら、組織づくりを始めていった次第です。
菊地 特に組織づくりという点では、各県の県議会議員に副会長にご就任いただいた他、県と市町村の連絡を円滑にするために、それぞれの中核市から幹事を選びました。さらに事務局長・次長を各県から選任しました。そうすることで、県から市町村へと縦横斜めに伝わっていく有機的な組織づくりの基礎が出来たと思っています。
併せて、事務局にはできるだけ若い方に入っていただきました。国づくりに対する強い想いがあっても、思うように活動できない若い方々が活躍できる場を作りたい、これからのけん引役として輝いていただきたいという願いもあります。
地方議員の熱が伝わった、安倍前総理との一問一答
― それは素晴らしい体制ですね。他のブロックでも早速、応用し始めているようです。総会では、安倍前総理を特別講師としてお迎えしたということですが、当日の様子を教えてください。
菊地 感染症の拡大防止のため、300名会場の2分の1として150名にご参加いただきました。約70名は地方議員、6名が国会議員でその他は日本会議の関係者の方々です。
特別講演に先立ち、まず私たちが作成した東日本大震災からの歩みのビデオを上映しました。被災直後の状況と当時の天皇陛下の国民に向けたお言葉、その後の復興の過程と今年3月の東日本大震災十周年追悼式における今上陛下のお言葉、そして東北6県の祭りをまとめたものです。大震災から10年経ちますので、それを振り返りながら未来に向かっていこうというメッセージを込めました。ビデオを見終わったあと、全参加者で黙祷を捧げました。
北林 今回の会場は仙台駅の近くのビルの21階だったのですが、会場には大きな窓があります。そこから東の方を見るとちょうど沿岸部が見えるんですね。当日は天候にも恵まれていましたので、青い水平線を見ながら、黙祷を捧げましたが、非常に感慨深いものがありました。これは菊地幹事長の提案でしたが、大きな節目に皆の気持ちを結束し、ぐっと未来に向かっていくよい機会となりました。
― 今回、各県の代表と安倍前総理とで一問一答が行われました。
菊地 安倍前総理から事前に「地方議員の方々と直接言葉を交わしたい」とのご意向がありました。そこで対談的に一問一答をやろう、ということになったのです。各県の代表からは、憲法改正、地方創生、緊急事態条項、安全保障、夫婦別姓、皇統の問題など、多岐に亘る質問、提言がありました。安倍前総理のお話がどんどん熱が帯びて来られるのが、分かりましたね。予定の時間をオーバーしながら、真剣に丁寧にお答えいただきました。
北林 各議員にとって充実感ひとしおでしたが、安倍元総理も嬉しそうだったという印象です。
菊地 私自身、強く感じたことですが、地方議員が自分の自治体のことだけでなく、国の問題も真剣に考え、東北地方の力も結集し、国づくり、地域づくりをしていくことが大事だとの思いが、安倍前総理にも伝わっていったものと思います。
国民の命を守るため憲法改正を
― 最後に、憲法について。(または、「今後の課題と主な取り組みについて」等)
菊地 私は自衛隊の制服組の出身です。自衛官は物言わず国法を遵守する。しかし、「違憲」と言われながら国を守るというのは辛いものです。国民を守るために命を捧げる者への適正な評価と位置付けが必要です。自衛隊が国の最高法規である憲法に明記されることが私たちの念願です。
北林 私たちは東日本大震災を経験しました。そして今は日本中が新型コロナウイルスの危機に直面しています。これらに接して感じるのは、法律にないことは実行できない、ということであり、そのために救えるはずの命が失われてしまうという現実です。法の下に意思決定される枠組みを作り、迅速な判断、運用ができるようにしなければ、国民の命は守れません。周辺国の脅威、自然災害や感染症などから国民を守るためにも、緊急事態条項を設けるなどの憲法改正について、啓発活動を行っていきたいと考えています。
(令和3年7月20日インタビュー)