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「台湾有事」に備えよ! ―九州で進む、沖縄住民の避難受入れ(「日本の息吹」令和6年12月号より)

日本会議九州地方議員連盟  会長
加地邦雄  福岡県議会議員
日本会議九州地方議員連盟 副会長
原田寿雄  佐賀県議会議員
日本会議九州地方議員連盟 副会長
中野一則  宮崎県議会議員

「台湾有事」の際、先島諸島の住民はどうなるのか。山口、九州の各県で進められている先島諸島の避難民受入れの取組みを聞いた―

■「台湾有事」に備えよ!

加地 アジア太平洋地域の安全保障環境は大変厳しい。その中で、世界は我が国に対し、民主主義と専制主義のどちらを選ぶのかを迫っています。「台湾有事」はそのフロントラインです。台湾が中国に統一されれば、政治・言論の自由は徹底的に弾圧され、台湾東岸は軍事化され、西太平洋における軍事バランスは一気に中国に傾きます。中国は、台湾統一の次は日本を中立状態にする目的で動くと私は認識しています。

原田 日本の周辺国、ロシア、韓国、北朝鮮、中国、台湾。この中で民主主義体制をとっているのは韓国と台湾のみで、両国とも対峙する国がある。日本を取り巻く環境は、世界で最も厳しいと、国民皆が共有しなければなりません。軍事による現状の変更は絶対に認めてはなりません。「台湾有事」については政治に関わるものとして冷静に危機を捉え、その危機管理に取組んでいくことが求められていると思っています。

中野 「台湾有事」は必ず起こるという危機感を持っています。それは、中国がアメリカに代わって世界覇権を握りたいと思っているからです。平成19年、中国を訪問した米太平洋艦隊司令に対し、中国海軍の幹部は太平洋を分割管理したいと打診しました。中国は、太平洋の東側をアメリカが、西側全てを中国が管轄する戦略を今日まで進めており、中国が太平洋に出るためには、台湾統一は必要であるという考えを持っているわけです。

山口県・九州各県で進む沖縄の「住民避難」受入れ計画

原田 佐賀県は台湾に一番近い与那国島の島民1700人を受入れるため、第一次計画で健常者の方々を、第二次計画で要介護の方々をと考えています。今年9月、与那国の糸数健一町長が佐賀県の山口祥義よしのり知事を訪れ、この協議を加速させることで合意しました。佐賀県からはすぐさま危機管理を担当する副局長と副課長を与那国へ派遣し、地元の方々と協議を含め、現地調査を行いました。与那国には3つのコミュニティがあって、それを分断しないような受入れをしなければいけないとか、3つある小学校の生徒の受入れがバラけないようになど、地元の方々と共に話を進めていけるようにと思っています。議会からも3名の議員が11月中に与那国を訪れます。

 与那国町民の中には、「住民避難」の際に島に残りたいという方もおられると聞きます。それは行く先がどういった所なのかわからない不安もあるのではと思うわけです。ですので、例えば小学校同士が交流をするなど普段の交流と計画を併せて進めていく必要があると思います。

中野 宮崎県でも先島諸島からの避難計画を具体的に進めています。今年6月3日、九州地方知事会議で内閣官房から沖縄県の住民避難の受入れ計画が提案され、10日には各県に対し計画を作成して来年2月13日までに報告するようにと指示がありました。1ヶ月間の避難者受入れ計画です。先島には、11万3000人の方が住んでおられますが、宮崎県は宮古島の5万5700人のうち約1万人の避難者を受入れる計画で、飛行機で鹿児島空港に到着され、バス等で宮崎県の各避難場所に受け入れる。日本で初めての計画を来年2月に報告できるよう、宮崎県では危機管理課がその準備を進めています。

加地 福岡県では、6月から3回の検討会議を行い、ある程度具体的な計画になってきています。福岡県は、県と福岡市、北九州市、久留米市の4つを中心として、7つの県と市町村で受入れる計画です。

 検討内容としては、輸送手段の確保、収容施設ホテル等の供与、食品、飲料水、被服などの生活必需品の供給、医療提供および助産、通信設備の提供などで、政府の具体的な要望は、ホテルの料金を朝昼晩3食付きで7千円程でというもので、大変厳しい提案です。

 今後、国との折衝になると思いますが、県の担当者は、平常時なので「コロナ対応時」とは違ったものになると言う認識を持っています。ホテルや旅行業者との協議では、「台湾有事」のような場合、観光客は少ないのではという認識も持っているようです。このように交通機関やホテルとの協議の中で協力要請が具体的に進んでいます。ただ、福祉施設や病院などは今後の検討事項です。

 政府は3年間、具体的な計画を練るとのことですが、先島諸島全体の住民に加え、観光客を含め約12万人の避難計画は検討すべき案件が非常に多いと認識しています。これに全面的に協力するため、県と議会で調整を行って参ります。

国防力の強化を

中野 「有事」というのは戦争です。その戦争を避けるために、抑止力を強めなければなりません。一番の障害は憲法です。憲法9条は改正し、日本も「普通の国家」になるべきです。「台湾有事」は即「日本有事」になる。今まで以上に憲法改正の必要性を訴えて参りましょう。

加地 台湾に2万人以上いる日本企業の従業員とその家族を守るために退避計画など事前準備も必要になります。何よりも、中国が台湾統一しないよう抑止することが最も大切です。中国が台湾統一を試みれば、必ず米軍が介入し中国は敗北し、中国共産党も習近平政治も滅びるということを中国に思わせることが最大の抑止力です。まずは防衛力の強化を、政府には望みたい。

原田 「台湾有事」が朝鮮半島に飛び火する可能性も否定できません。この点は10月の九州地方知事会で特別決議が採択、要望されましたが、国にしっかりとした対応を求めます。

 東アジア地域にとってアメリカの力は非常に大きいわけですが、自由・民主主義国家と連携をさらに強め、パワーバランスを保つ努力が必要で、日本も役割を果たすために国防力を強めなければならない。佐賀県も時間を要しましたが、オスプレイを佐賀空港に受け入れるための工事が進んでおります。佐賀県としてもしっかりと役割を果たしていく覚悟です。

(令和6年11月30日インタビュー)


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