![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/165683667/rectangle_large_type_2_e24ea128296cf91f499588a6905f2f9d.jpeg?width=1200)
「LGBT理解増進法」で、地域が混乱しないために ―ガイドラインの早期策定を(「日本の息吹」令和5年9月号より)
日本会議地方議員連盟 事務局長
諸井真英 埼玉県議会議員
日本会議地方議員連盟 女性局長
吉田あい 杉並区議会議員
日本会議地方議員連盟 女性局長代理
辻村ともこ 狛江市議会議員
国会で「LGBT理解増進法」が可決されたが、地方自治体は、どのようにこれを受け止めればいいのか。すでに「条例」がある埼玉県の実例から今後の課題を探る
![](https://assets.st-note.com/img/1734054343-VHE9Bvya1lhzG5TgUJd80XCQ.jpg?width=1200)
「埼玉LGBT条例」の現場では
― 国会で「LGBT法案」が成立しましたが、「条例」がある埼玉県の現状をお聞かせ下さい。
諸井 国会より1年早い昨年7月7日、埼玉県では「埼玉県性の多様性を尊重した社会づくり条例」 が成立しました。現場の課題として大きく2つあります。一つは教育現場、もう一つは企業です。
教育では、小学生向けのパンフレットが作成されて、「その人らしさを大切に」「男らしさ、女らしさを勝手に決めつけていませんか」と問いかけたり、「男性か女性ではっきりわかれるものではない」「いろいろな性がある」というような、教育を進める内容になっています。個人的には、小学生 にここまで教えなくてもと思う内容です。
また教職員向けのマニュアルもあり、そこには、教育のガイドラインや具体的な授業実践例も掲載されていて、さらには小学校の低学年から意識して質問にどう答えるか記されています。つまり、低学年から教育することを推奨しているのです。
しかし、現場の先生からするとどう対応したら良いかわからない。そこで、その場合はLGBTQの悩みに関わるNPO法人などの専門家を県が学校に派遣するので、学校で相談会・講演会を開くようにとなっています。さらに学校施設等への配慮・助言も専門家に聞くようにと記載されているのです。
ここで問題なのは、その専門家というのが、一部の偏った思想を持った団体の方が含まれているということです。埼玉では、県がこの専門家の活躍する場をどんどん広げているわけです。
もう一つの企業については、「埼玉県アライチャレンジ企業登録制度」を設けて、LGBTQについて推進する企業を、先進的な企業として県が認定しています。
これらと別の課題としてハード面では、県有施設と県立学校で「性自認」に対応するための、トイレや更衣室の設置・改修工事です。制服がジェンダーレス制服になる可能性もあります。そこには、自ずと利権も絡んでくるわけです。
県職員とも話しますが、たとえ国で法が成立していても、条例を盾に「やれ」と言われると、地方公務員としては県の条例を重視せざるを得ないわけです。
「ガイドライン」の策定を求める
吉田 埼玉県のように、既に進んでしまっている地方の現実を考えると、私達は「LGBT理解増進法」の国会審議を通して改善された点をしっかりと確認して、地方の現状を国会議員にお伝えしながら、ガイドラインの策定を求めていくことが重要だと思います。
先日、女性局では「全ての女性の安心・安全と女子スポーツの公平性等を守る議員連盟」共同代表の山谷えり子参議院議員に、「『LGBT理解増進法』ガイドライン策定のお願い」の要望書を提出しました。要旨は次のとおりです。「LGBT理解増進法について、地方自治体で混乱をきたすことが予見されるため、早期に指針(ガイドライン)の策定をお願いします。また、地方議員との連携および勉強会を積極的に開催していただき、地域での混乱が起きないように求めます」。
私は杉並区で公衆浴場組合の顧問をしていますが、現場の方からすれば、もし「心が女性」という男性が女湯に来られたら、どう対応していいのか大変困るわけです。今回の「理解増進法」の改善点として、「女子トイレや入浴施設を身体の性別によって区別することは、憲法が認める合理的な区別であり、差別には当たらない」と明記されました。ですので、これを踏まえて、公衆浴場など現場の方が困らないように、明確なガイドラインを策定することが必要なのです。
また、「性自認」という文言が使用されなかった点は着目すべきです。なぜなら杉並区では、今年、「パートナーシップ制度」条例が可決されましたが、「性自認」という文言について最後まで折り合いがつかず、賛成多数で可決され、未だに「性自認」について議論がなされている状況があるからです。
また、「民間の団体等の自発的な活動の促進」を講ずるという箇所が削除されたこと、そして、学校教育に関する条文では、「理解増進の教育」では家庭が関与することと修正されました。
これらに着目して、地方や教育現場が混乱しないよう、女性スペースなどが守られるようにガイドラインの策定を求めて参ります。
地方議員で、地域の現状把握を
― 経産省のトランスジェンダー職員が、「職場の女子トイレの使用を制限されているのは不当だ」と国を訴えた裁判で、最高裁は「トイレの使用制限を認めた国の対応は違法だ」と判決しました。
辻村 今回の判決は、だれでも女性と自認すれば、女子トイレに入ることを許した判決ではありません。個別の事情として判断されたものです。注目すべきは、職場の女子トイレを他の職員の理解が無いまま、「自由にトイレの使用を許容すべきかというと、現状でそれを無条件に受け入れるというコンセンサスが社会にあるとはいえない」としている点です。それが世間に伝わっていないことが大きな問題なのです。こういったことが、地方で間違って捉えられ、運用されてないかチェックすることが大事なのです。
吉田 今後、国会議員の先生方とも連携して、勉強会など開いて頂き、私達が地元で地域の皆さんに発信する取り組みが大切ですね。
辻村 欧米では、「LGBT法」の行き過ぎが社会問題となっています。イギリスではスナク首相が、公的施設では男女別トイレの設置を義務付けると発表しています。 それは女性が不利益を被るという理由からです。このような海外の先進事例を学び対応する必要もあると思います。
諸井 既に条例がある自治体、そして、これから作る自治体もあると思います。
国の条文では、「自称」や「成りすまし」女性が、女性用施設を悪意をもって利用することを防ぐため、「性自認」の文言を使用しませんでした。
しかし、埼玉県の 条例には「性自認」が入っています。国の法があっても、条例に逆らえない地方公務員の現実があります。
地方議員の皆様にお願いしたいのは、現場の現状をしっかり把握して、実際にどのような資料が作られ、どのような指導がなされているかなど、事例を集めて下さい。そして問題があれば、国会議員の先生方と情報共有して、地域で混乱が起きないようなガイドラインを求めていきたいと思います。
地域の安心・安全を守るために皆様、力を合わせて参りましょう。