規則正しいサカナ、シーバス。
科学論文を釣り情報へ還元する第31回目の投稿です。
今回はシーバス(スズキ)の産卵前後の行動をテーマとしています。
シーバスは日本でもお馴染みの釣り対象魚ですよね?
(私のnoteでも、過去にフックの取り外しに関して、シーバスを取り上げています↓↓)
今回の研究ではヨーロッパシーバスという、欧州の広い範囲に生息するシーバスを対象にしています。
Doyle, T. K., Haberlin, D., Clohessy, J., Bennison, A., & Jessopp, M. (2017). Localised residency and inter-annual fidelity to coastal foraging areas may place sea bass at risk to local depletion. Scientific reports, 7(1), 1-9.
日本のシーバスは、11月~2月ころの冬季に産卵し、その後は沿岸域と河川を回遊しながら過ごすと言われていますが、
ヨーロッパシーバスでは冬は温暖な南の方で越冬し、春に産卵、その後は北上して沿岸域を中心に生活するサカナです。
繁殖時期などは多少は違いますが、大まかな生活スタイルはだいたい日本のシーバスと変わらないようです。
今回は、40cm以上のシーバス成魚に発信機を装着し、放流された港を中心に行動範囲を調べ、港を回遊のために脱出した後どのくらい帰ってくるのかを明らかにしています。
その結果、2つのことがわかったそうです。
①夏季はほとんどのシーバスが半径3km程度の範囲で長期間(6ヵ月程度)過ごしている。
②ほとんどのシーバスが回遊後や産卵を終えた次の年の夏に同じ場所へ帰ってくる。
つまり、ヨーロッパシーバスの場合、「ホーミングポジション」が確立されていて、そこを中心に生活していると言えますよね。
では、どのようにホーミングポジションを探しているのでしょうか?
筆者の推測では、「海底地形などの形態的特徴を頼りにしている」説と、「川の流れこみなどによって変化する海水と淡水の化学物質を手がかりにする」説が考えられるそうです。
翌年も同じ場所に戻ってくるというのは大変面白い行動で、これはサケが自分の生まれた川へ帰る習性にも似ているのかもしれません。
もちろん、回遊魚ですので全く移動しないとは言えませんが、ほとんどの場合「居着く」可能性があり、しかも行動範囲自体がそこまで広くないとも言えます。
当然、潮回りなどを気にして釣られる方も多いと思いますが、こういったホーミングポジションを探す釣り方もシーバスには効果的なのかもしれませんね。
例えば、ランカーサイズのシーバスがある場所で釣れたとするならば、その付近で再度その個体が釣れる可能性は大いにありえるということでしょうか・・・。
それではまた次回お会いしましょう。
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