シーバスに出会うための近道はありますか?
科学論文を釣り情報へ還元する第36回目の投稿です。
シーバスの釣果を上げるためには、回遊や食事のタイミングって大事な要素ですよね。
一般的には「潮回り」を気にして釣りをすることは(シーバスに限らず)釣りの鉄則になっていますが、これってどういう意味があるのでしょうか?
よく言われるのは、満潮になれば干潮時には干上がる場所までサカナたちが入り込めるようになり、エサとなる色々な小魚の行動範囲も広まります。
その結果、シーバスが小魚と遭遇する機会が増えるようになり、これがシーバスが活性の上昇につながる。また、単純に潮の満ち引きよって流れが活性化されるので、水中に溶け込む酸素量が増えたり、小魚自身のエサとなるプランクトンとの遭遇率も上がりますから小魚たちも活性が上がりますよね。
また、シーバスの回遊のタイミングも潮回りに影響することもよく知られています。
実際にはどんなタイミングでシーバスは「捕食モード」に入ったり、回遊しやすくなるのか、今回はいくつかの科学論文から考えてみたいと思います。
①「やっぱり潮回り」説
大潮など潮回りはサカナを釣る上で重要というだけあって、シーバス釣りではまず確認しておきたいところですよね。
フランスのモンサンミッシェル付近に生息しているヨーロッパシーバスの調査の結果をご紹介しておきます。
モンサンミッシェルは観光地としても有名な修道院ですが、干満差で建物が海に浮かんでいるようにみえたり、周りが干潟になったりするような場所にあります(下の写真)。
ここで育つシーバス幼魚の体内をチェックしたところ、春の満潮時にシーバスたちがモンサンミッシェル周辺に侵入した時には空腹の状態(胃の70%くらいが空)でいますが、満潮から数時間の滞在の間に積極的にエサを食べ、胃の98%以上を満たしてていることがわかっています。
この時のエサの種類と潮汐の関係はなく、とにかく手当たり次第にエサを食べまくっていることがわかりました。
②「水温でだいたい決まっている」説
アメリカではシーバスというと、ブラックシーバスというサカナを指すそうです。このブラックシーバスは日本のシーバスとは違い、ほぼほぼ海水魚です。
ブラックシーバスの場合は初夏から秋までは沿岸域、それ以降は数百メートルより深い場所まで移動して過ごすそうです。
ブラックシーバスの移動のタイミングはかなりハッキリしていて海底付近の水温が10~12℃になった直後から一気に移動してしまうそうです。
飼育したブラックシーバスはエサを10~11℃で付近で食べなくなるそうで、これはヨーロッパシーバスでも同様で10℃を境に急激にエサを食べなくなり、7℃で完全に停止することが知られています。
もちろん場所が違えばその性質も変わることは当然ですが、その場所のシーバスが釣れる最盛期とそうでない時期の水温の差を理解しておくと釣果につながりそうですよね。
③「気象イベントで誘発される」説
水温に関係して気象イベントも重要な要素と言えそうです。
例えば、秋以降の低気圧の通過や寒波の襲来は、浅い場所から深い場所まで海水の混合を促します。こういった気象イベントが大きな水温変化が生み、一時的に高活性になったり、産卵ため荒食いモードに入ったり、回遊しだしたりすることもわかっているそうです。
逆に台風などが通過することで大雨になり、河川の流量がものすごく増加したり、地形が変化すると、これまた圧倒的な活動を示す場合があるそうです。
私が以前何度か訪れた河口付近では、周りは完全にコーヒー牛乳のような流れなのに、あるポイントだけ爆釣するなんてことも経験したことがあります。
これは大雨の結果、シーバスやエサとなる小魚の行動がある程度制限され、例えば、通過できる場所(通路)や大水から逃れられる場所(休憩場)が重なり、結果的にシーバスにとって好都合な現象となったのかな?と思ったりしています。
さて、今回はシーバスを釣るための基礎的な生態情報を少し整理してみました。
結局のところ、通ってみてのその場所やサカナの特徴やを知ることが大事なわけですが、大まかに生態を知っておくと、対策しやすいですよね。
それではまた次回お会いしましょう。
今回の参考論文はこちらでした↓↓