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喫茶店
本を読むために、また単にボヤっとしに喫茶店に行くことがよくある。そこが静かであればドトールやルノアールでも構わないのだけども、あまり馴染みのない駅で降りてブラブラしていると、稀にこれは!という出会いがある。
近年色々あるようだけど、ピンクや緑って色のついた飲み物の方が多い店とか、これでもかっ!と、大量のクリームが捻りウンコのように乗せてあるものが売りの店とか、古い家を改装して妙にお洒落な店とか、従業員同士で変な合言葉を怒鳴り合っているような、所謂○○カフェという所ではなく、喫茶店、である。
自分の中での喫茶店とは、買い物の帰りに立ち寄ってコーヒーを啜るお母さん座る隣で、仕事の休憩中か、スーツ姿で大口を開けて寝ちゃっている男がいたり、イヤホンを片耳にスポーツ新聞を見ながら競輪や競艇の結果に一喜一憂しているおっさんがいたり、何処から見ても未成年なのにタバコを横っ咥えにして週刊誌を眺めながらコーラなんか飲んでいる奴とか、、、
そんな30年も40年も時間が止まっているような喫茶店が、稀にある。昔風に作り替えて今風の物を提供する所ではなく、長年現役でやっている喫茶店、コーヒーはブレンド一択、それをホットと呼ぶ。十分である。
先日そんな店のひとつで、ひとりで来た若い女の客がテーブルに立てかけてあるメニューを見ながら、カウンターの向こうでムッツリしている店主の奥さんであろう結構な高齢のウエイトレスに、
「すいません、なにか甘いものはありますか」と。
ウエイトレスはメニューを指しつつ
「このサンデーとかパフェはどうですか」と。そしたらその客は
「サンデーとパフェって何ですか」
ウエイトレスはニコニコと丁寧に説明していたけども、、、
今どきのカフェにはチョコレートパフェとかフルーツサンデーは無いのか?それとも同じものが別の呼び方に変わったのだろうか?
こういった店でひとりでゆっくりコーヒーを啜っていると、何とも落ち着くというか、心が柔らかくなっていくとでもいうか、と、通ってしまう。
しかし、自分は何処へ何度通おうとも、決して“常連客”にはならないのが、数少ない拘りかも知れない。
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