卒業研究だからできる、自分の「やりたい」と向き合うこと
おはようございます。
こんにちは。
こんばんは。
デザインを学ぶ大学4年生、にぽです!
新生活準備にバタバタしています……🚗💨
そんな私ですが、1年かけて取り組んだ卒業研究が2月の卒業展示会で終えることができました。
今回のnoteでは「卒業研究」を経て何を得られたのか、そもそもどんなことをしたのか、書いていきます📝
デザインを学ぶ大学生ってこんなことやあんなことをしているんだな〜という気持ちで読んでいただけたら!👀
卒業研究って、何?
私の所属する大学では、学部4年生になると1年間「卒業研究」に取り組みます。
特に制限はなく、自分の追求したいものや疑問に思うもの、やりたいことに対してを調査・分析して最終的にはそのアウトプットとして成果物(または論文)を制作します。
つまり、ざっくりいうと「1年かけて、自分が選択したテーマと向き合う」
これが卒業研究。(私的には)
何をテーマにしたの?
そんな私は何と向き合ったかというと・・・
「思考力」
でした。なかなか壮大。
きっかけは1年半勤めた塾講師のアルバイト。
主に中学生を見ていたのですが、定期テストが近づくと多くの子どもたちが「学校の先生が指定したページの問題の正しい答えを暗記しなきゃ!」と、いう気持ちで勉強する姿勢に違和感を感じていました。
確かに、テストでより高い点数を取ることはとても大事なこと。
でも、
「正しい答えだけを暗記すること=勉強」
「間違えることや消しゴムを使うことは恥ずかしい」
こういう考えを持ちながら、いざ考えるべき時・選択しなければいけない時の思考力を身につけずに成長することは、子どもたちにとって良いことではないよね。。。
そんなモヤモヤを抱えていました。
でもそのモヤモヤと同時に自分の中学生の頃を思い出してみると、自分もそう思っていたんです。
このとき、少しでも考える力を身につけていたら、学ぶ姿勢も変えられたのかなと。
こんな着想から、私の卒業研究は「子どもの思考力ってどう身につければいいの?」という疑問から、スタートします。
やっぱり壮大。でも、今だからこそやりたい!向き合える!と思って選びました。
どんな流れで進めたの?
「思考力」とざっくりとしたテーマにおいたのが3年生の2月。
そこからの1年間の流れはこんな感じです。
進め方は教授に助言をいただきながら、ダブルダイヤモンドというフレームワークを使用しながら進めていきました。
(実際にはこんなまっすぐ綺麗に収束は発散と収束はできませんでした・・・その詳細を書いていきます↓)
01 「とりあえず、広げよう!」
思考力というキーワードから出発したはいいものの、何が課題なのか、なおかつ大学生の自分がどこにとっかかりを作れるか、何もわからない状態でした。
なので、とりあえず思いつくもの、関連するもの、あらゆるジャンルへ考えを広げていきます。
「受験」「思考型学習」「デザイン思考」「d.school」「宿題」「問いのデザイン」「P4C」「ワークショップ」「創造的対話」etc…
このときはデザインするときに扱う考え方をどうにか小中学生の教育にも落とし込めないかな?という方向性で進めていました。
【1年間書き留めた研究ノートの抜粋📔】
02 「あれ?まとめられないぞ・・・」
ある程度広げたのちに、さあ、収束させねば!と思いましたが、上手くいきませんでした。
なぜなら、「教育の現場」や「受験制度」は思っている以上に複雑で、国の制度としてもさまざまな要素が絡み合っているものなので、大学生ひとりでは教育とデザインを結びつけて落とし込むことは困難だったのです。
これでは、私が落とし込みたい「大学生の自分がとっかかりを作れる」ところへの収束ができない。
これが2月からリサーチを開始して2ヶ月後くらいのことでした。悶々。
03 「考え方を整理しよう」
そこで一旦立ち止まってみました。(教育、受験など今考えていることから離れてみる)
いろいろな方から意見をいただいたり、そもそも自分がやりたいことを整理したり。そうすることで、
「そもそも、子ども=小中学生に限定しなくてもいいのでは?」
と考えるようになりました。
自分の出発点は小中学生でしたが、考えることはより小さい時期からでもできるのではないか?と。
そこで、子どもっていつから考えるようになるんだろうと調べると質問期と呼ばれる、見たものやことに対してなんでも疑問が飛び交う時期だということがわかりました。一般的には3~6歳くらい。
この時期の親子のコミュニケーション次第で子どもの考える力を養うことができる、ということも文献調査でわかりました。
ただ、どのようにコミュニケーションをとるべきか、どのようなツールを用いればより良いのか、確立した方法があるわけではありませんでした。(私が調べた範囲では)
確立した方法がないということは・・・💡
ここに来て、質問期における親子のコミュニケーションをより活性化できたら、なにかツールをアウトプットできたら、子どもの思考力を養うことにもつながるのでは・・・!?とぼんやり考えていました。
04 「できること、発見!」
質問期に着目してみてそこからさらに発散させました。
親子のコミュニケーションが重要というけど、どのように、というまで明記されていないことが多い。でも私としてもどのようにというところまで提案するって難しいよなあと悶々。
ここで論文や保育に関する書籍をあさってみると「まなざしの共有」という気になる言葉が👀
このまなざしの共有を通して、子どもの認識・言語能力の発達→思考力を培うことにつながる。
これって、なにかヒントになるのでは??
同じ目線で見てそれをきっかけに話す、言葉を覚える、思考を促すというサイクル、いいのでは??ととっかかりを作れそうな予感がしました。
すると、この時期に合わせて課題となるものをひとつ発見。それは
幼児のスマートフォンの長時間利用でした。
だからと言って、スマートフォンに頼らないという選択をするの、親からしたら難しすぎない???と大学生ながら思っていました。でも実際にどうなんだろう・・・
そこで3-5歳のお子さんのママパパさんにスマートフォンについてのインタビュー調査を行いました。
すると
👩 < 子どもをあやすためにはスマートフォンは必要不可欠ですね
🧑 < 子どもが写真や動画を見たがるのでつい見せてしまう
という声を聞くことができました。
このインタビュー調査をしたことで、
・「スマートフォン=頼ってはいけないもの」ということにはしたくない
・必要なものとした上でスマートフォンってもっといい使い方があるよと選択肢を増やせるようにしたい
という思いが芽生えました。
🔍ここまでのリサーチを経て🔍
「幼児の質問期において、スマートフォンを使いながら、まなざしの共有を用いて親子の対話をサポートする仕組みを多くの人に提供する」という具体まで収束しました。
05 「ひたすらエラーエラー」
ここからはひたすらアウトプットと向き合う日々。
親子の対話をサポートする仕組みってより具体的にどんなもの?というところから詰めていきました。
絵本や動画、知育系のおもちゃ・・・・・・いろいろありますが・・・
ここで私が注目したのが、「写真」です。
子どもが撮影した写真を通して親子でまなざしを共有してコミュニケーションをとることで、スマートフォンを活用することもできるのでは?と考えました。
さらに、その会話を録音できたらその後の振り返りができたり、親子の思い出として残るものとしてもいいのでは!と。
ここまで考えてみて、気づきます。
アウトプットは、アプリがいいのでは……??アプリしかないよね……
アプリといっても、私はFigmaでプロトタイプまでしか制作
したことがありません。でも卒業研究ってそんな感じでいいの?実際に実装して試してもらったほうがいいよね…
よし、実装やろう!!!!!!!(この時点で実装のじの字もわかってない)
ということで、リサーチを一通り終えた9月以降はほとんど実装に費やしました。
書籍とYouTubeとChat GPTの力を借りてswiftで実装。
とりあえず最優先で
①カメラ機能をつける
②撮影した写真を選択して画面に表示する
③会話を録音する
この3つの機能を実装したプロトタイプver1がこちら👇
写真表示画面では、より親子の会話の活性化させるために親子に質問を投げかけるキャラクターを登場させました。
けっっっこうズタボロですが、とりあえず実装はできた、ので、よし・・・
検証実験として、5歳の女の子とそのお母さんに実際に使っていただくことに。
🧑🏻🦰 < 写真の拡大と縮小ができたらいい
🧒🏻 < キャラクターの文章のレパートリーを増やしてほしい!
ありがたい生の声・・・🙏
自分では気づくことができなかった、子どもならではの使い方や親子での会話の仕方。
実際に使用シーンを自分の目で見ることができたのはアウトプットを制作する上でとても大きかったです。
その後も検証実験を繰り返して最終的にできたアウトプットがこちら👇
初の実装だったので右も左もわからなかったのですが、何度もエラーと戦いながら、この形まで持っていくことができました。
そして撮影した写真と会話の録音をスマートフォンだけで留めておくのではなく、何年経ってもデータを形として残せるようにと考え、フォトアルバムも制作しました。
さらに親子とのタッチポイントも考えながら、プロモーションムービーやポスターも制作。
9月以降は実装と検証実験を繰り返しながら、たくさんのものを作った期間でした。
これにて、ひとまずアウトプット完成!卒業研究も一区切りつきました。
やってみてどうだった?
約1年間、卒業研究をやってみて感じたことは、自分の「やりたい」に向き合うことの大切さでした。今まではいろいろな方の困っていること、解決したいこと、に関わらせていただきながらデザインしていました。
それもとても楽しかったし、貴重な経験でした。
でも卒業研究って本当になんでもOK、なので第一に自分のやりたい!を念頭に置くことができるんです。
実際、思考力なんて壮大なテーマでも自分のやりたかったところまで収束させて落とし込むことができたので、やりたいを最後まで貫くことができました。
さらに、自分がどういう好奇心を持っているのか、どういうアンテナを張っているのか、が明確になっていきました。
そしてその意志を持っていると、貴重なアドバイスをいただく回数も増えたので、自分のやりたいをさらに加速させることができました💨
やりたい!が念頭にあったので、実装もくじけそうになりながらも頑張ることができました。結果、何にも知らなかった実装のじくらいは理解できるようになりました…🙏
【おまけ】展示って難しい
今年の2月に行われた卒業研究の展示会にて、自分の作品を展示させていただきました。
1年間の研究の過程と成果物を空間に落とし込むことがとても難しかったです。
自分の研究は大学生からみて、少し共感を得にくいテーマではあったので
・アウトプットの世界観をビジュアルで表現
・実際にアウトプットを触ることで理解できるように
この2点に重点を置いて、展示方法を考えました。
当日の展示の様子がこちら👇
私の研究のキーワードでもある、まなざしの共有を視覚的に理解できるように親子の等身大パネルを制作したり、アプリに登場するキャラクターを紙粘土で制作したり。
様々な要素を用いて、アプリ以外の部分でアウトプットの世界観を表現しました。
来場者の方からは、
🧑🏻 < 大学生の自分も将来、子どもができたら使いたいと思う
👨🏻 < 細かいところまで世界観が表現されていてわかりやすい
という嬉しいお言葉をいただきました…泣
他にも、もっとこういう機能があったら、こういう方法でもいいのでは、という貴重な意見もいただくことができて、充実した展示期間でした。
足を運んでいただいた皆さま、ありがとうございました🪐🌟
卒業研究は一区切りついたけど、ここで終わらせずに、自分のやりたいを持ち続けられるように、頑張っていきます。精進あるのみ!
最後まで読んでいただいてありがとうございました。
ではまた!社会人頑張るぞ〜