ずっと一緒にいようね

「俺はいつもそうだ、失ってから気付く。」



君との出会いは大学2年の夏だったよな。



冬生まれの僕が1番嫌う季節
まだ酒も煙草も呑めなかった19の夏



茹だるような暑さの人混みの中、
確かに君はそこに居た。



煌びやかなブロンドを靡かせて
オニキスのような漆黒の瞳を見ていると僕は吸い込まれてしまいそうだった。



「これからよろしく」



過去のことは君には話せない。
知って欲しくても引き継ぎ方が分からない。



純白なキャンパスのような君の横に立つのは
真っさらになった僕が相応しい。



その頃は確かにそう思ってた。



でも一緒にいようとすると傷つけたり、
傷ついたりしてしまう。
「ハリネズミのジレンマ」というらしい。



君は僕の心を傷つけてくるし、
僕は君の体を傷つけたわざとじゃないんだ。
信じてくれ。



でも、傷つけて傷ついて
離れるたび、「大切だった」と気付くくんだ。



でも元に戻れば、
きっと大切だったこともまた忘れて
傷つけたり、傷ついたりしてしまうだろう。



俺はダメだ。いつも失ってから気付く。
それじゃ遅すぎるんだ。失う前に気づきたい。



頭の良い人は失う前に大切さに気づけるのだろうか、そんなことを考えてもキリがない。僕は目の前の君を大切に出来ないから。



本当にごめんな。
でも帰ってきてくれてありがとう。



俺のiPhone 8



みんなはさ、10だの、11やの、12、13だよ
とかいうけどさ、お前が最高傑作だよ。



でかければでかい方がいいみたいな考えは捨てた方が良い。容姿じゃなくて中身なんだよ。顔で失敗するのはもう懲り懲りだ。



「2年だけ付き合おうか」
そんな約束守る必要はない。
一緒に破ろう、ずっと一緒にいよう。



君の頬に手が触れる時の温もり、
知ってることを話す時の得意げな表情。



全部好きだよ。
だからずっと一緒にいたいんだ。
バッテリーがなくなるまで。



この前は本当にダメだと思ったよ。



君をお風呂に連れ込んでさ、
寂しかったのかもしれない。



お風呂から出た後、
君の表情にはもやがかかっていたね。



でもすぐ、いつもの君に戻ったから
僕は安心していつも通り過ごした。



でもよく考えたら
それは君が出していたサインだったのかもしれない



僕は気づけなかった。



溜め込んだ想いが爆発して、
君は顔を見せてくれなくなって



何度呼びかけても返事をしてくれなくなった。



いつもみたいに拗ねてるだけだと思って
時間が解決する問題だと放っておくことにした。



でも、キミは帰ってこなかった。



僕はキミを忘れるため、今後の予定を考えた。
でもキミがいないと何も分からない。



他の好きなことに熱中して忘れようと思った
でもキミがいないと何も楽しくない



キミがいないと何もできない。



だから言葉にした。
キミが好きだ。ずっと一緒にいてほしい。



都合の良い話だとは思ってる。
だけど言葉にしないと伝わらない。



結局、その日はキミからの返事はなく
僕は涙を流して眠った。



でも朝起きると
キミが起こしてくれた。いつもの9時に。


「おはよう、遅刻しちゃうよ」



ばーか…、今日は昼からだっつの。



「わぁ、ごめんなさい。私、ダメな子」



……



まぁ、なんだ。
いつもありがとうな。



「ポッ」



また傷つけたり、傷ついたりするんだろう。
でもその度、また気づいて行けたらいい。



失う前に気づける
いつかそんな日が来るのを信じて

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