相棒
よう、相棒
初めてあったのはあの店だっけか?
もうそんなことどうでもいいか
正直言うと最初はお前のこと好きじゃなかったよ
お前のシンプルな着こなし、
シンプルis best。ベタがbetter。
って息巻いてるだけの馬鹿にみえてさ
でもあの頃は俺が馬鹿だったんだよ。若かった。
みんながいない方向に行かないとって焦ってた。
人と同じ道じゃ追いつけないって諦めてた。
でも口だけじゃなかった。
お前には深みもあった。
お前と本音で語り合ってそれが分かったよ。
よう、フィナンシェ
お前、すごいな。
淡白な見た目なのにコクがあったよ。
たしかに俺の何かが変わったよ。
あんなのただの厚手の絆創膏だよ
とか言ってごめんな。
実を言うとレジ前の洋菓子売り場にあったから分かってたんだよ。でも自分が否定されるような気がして気付かないふりをした。
そこでだ、フィナンシェ。
今日はお前に話があってさ、
お前、美味しいじゃん、
悔しいけど洋菓子の中では1番だと思ってるよ
でも小さすぎるよな。
尖ってるのか?
冗談だよ。
お前は角ばってるように見えても丸みがあるし、
頬張ると柔らかい、優しい匂いが広がる
なによりシンプルな着こなしなお前に尖りはない
それなら自信がないのか?
たしかにお前はボソボソするよ。
喉が渇くのからお茶菓子というカテゴリでしか生きられないかもしれない。
でも頼っていいんだ。お茶にも俺にも。
それでもお前が頑張ってるのみんな知ってるから
大きくなれよ。
今のお前正直物足りないよ。
俺も大きくなるからさ、
もし、失敗した時は俺も一緒だ。
溺れる時は一緒に溺れるさ。
なぁ、フィナンシェ。
俺が大きくなるまで一緒にいような。
俺も大きくなるまでずっと一緒にいるからさ。
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