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雨森小夜のハロウィンボイスを聞いて思ったワンシチュエーションモノの面白さと、ボイスドラマ特有の表現方法の話
雨森ー!配信してくれー!もうどうにかなっちまいそうだーッ!!!!!
などと発狂しながら深まる秋を過ごしております二岡せきぬです。皆様はいかがお過ごしでしょうか。
雨森ファンの皆様、発狂されておりますか?(笑)
まあ現実的に考えると配信するもしないも雨森さん次第でございますし、プライベートがお忙しいんでしょうからファンがいちいち口出す事でもございません。石の上にも三年。黙って来る日を待つのみです。
一方で雨森さん、ボイスの方は毎月出しておりまして、お前もはやバーチャルボイサーじゃねえかって感じなんですけど(笑)とはいえ声が聴けるのは嬉しいので買ってしまうわけですよ。
でこないだもボイスの感想をnoteに書かせてもらったんですが、まあ本来こういうのを毎回書くもんじゃないのかなとも思っとるんですよ。感想は人それぞれですし、そもそも「今回も良かった」って書くだけなら電脳書簡に送ればいいだけの話でございますし。
ただそれでも書かせていただいたのは、今回のボイスの内容がちょっと面白いなと。
もう販売期間は終わってますし好きな方はとっくに買って聴き終えていると思うので、思いきりネタバレをしつつ書いていこうかなと思っております。
あらすじをご紹介します。ハロウィンの日、学校の体育倉庫に閉じ込められた雨森さんと"あなた"。暗闇の中で雨森さんは自分の仮装を「リアルめのゾンビ」と言ったりしていつもの調子なんですが、扉が開き、光が差し込むとそこには魔女っ娘姿の雨森さんが――。
10分にも満たないので内容はこれくらいなんですが、この中で個人的に「面白いな」と感じる点が2つほどあったんですよね。
まず1点目。
・ボイスドラマの特性を生かしている
ボイスドラマって、表現するには地味に一番面倒くさいと思ってるんですよ。
まず第一に映像がない。ゲームみたく立ち絵も出せなければ小説のように文章で伝える事もできない。BGMをかけるにしても却って邪魔になる可能性がある。
伝える手段が声しかないんですよね。
だから雨森さんも今まで苦労されてきたと思うんですよ。ワードが先行してしまうようなギャグを入れたりしてたのもやっぱり声しか使えない中でどうにか面白くしようとした結果だと思うんですよね。前回は恐れながらそこらへんを批判させていただいたのですが、気持ちとしては十分に理解できます。
ただ今回はボイスドラマというものを逆に利用していまして。
例えば暗闇の中でお互いの体が触れ合うシーンがありましたよね。そこで雨森さんが「どこ触ってるんですか!そこは私の…」から一呼吸溜めて「腕です」と言うシーンがあると。まあギャグシーンですよね(笑)
こういうのってアニメとかにもわりとありそうですけど、ただこれを映像でやるとなると逆に難しいと思うんですよ。
言ってしまうとこのシーンって"あなた"が雨森さんの胸かどこかを触っていると想起させるシーンじゃないですか。でも実際は腕だったんですが、さすがに胸と腕なんか間違えないじゃないですか(笑)これを映像でやるとなると「体に触れているかもしれないシーン」を描いてから「雨森さんの腕を掴んでいるシーン」を描かないといけない。
それを見ると「いや、普通間違えないだろ」ってツッコミ入れちゃうと思うんですよ(笑)
一方でこれを声だけしかないボイスドラマでやれば、自分の台詞だけでどうとでも誤魔化せるんですよね。これ小説でいうところの叙述トリックなんです。
叙述トリックというのは、小説であえて書かない部分を作ることで読み手をミスリードする手法ですね。小説をたくさんお読みになっている雨森さんですから、ボイスドラマを作っているうちにこのやり方を思い付いたんでしょうね。
さっきあらすじでも触れましたが、自分の仮装を「リアルめのゾンビ」だと偽った雨森さんが終わりに魔女っ娘姿を"あなた"の前に見せる。これも叙述トリック的ですよね。これも映像でやると暗闇のシーンを見せないといけなくてオチの気付きが早くなるんですよ。それに隠している意図がわかってしまってオチの良さが削がれてしまう。
逆に映像なら可愛い魔女っ娘姿の雨森さんを描くことができるわけですが、個人的にはボイスドラマの方が頭の中で想像できるので良いと思います。
何から目線で申し訳ないですが、これって雨森さんの成長というか、技術の進化だと思うんですよね。そういうのも感じられて凄く良かったです。
そしてもうひとつ。
・ワンシチュエーションモノ
個人的な話なんですが、僕ワンシチュエーションモノ大好きなんですよ(笑)
ワンシチュエーションモノというのは、要するに部屋の中だけとか、一つの空間の中でストーリーを展開させている作品の事ですね。
有名な映画ですと『12人の怒れる男』とか。
12人の怒れる男
裁判員になった12人の男達が、犯人を死刑にするかどうか話し合うという映画です。僕はリメイク版を観た事があるんですが本当に面白い。
最初はほとんどの人が死刑に賛成だったのですが、一人の男が冤罪を主張した事で議論が紛糾していく。それぞれ違う思惑を持った中で意見が対立したり翻ったりを生々しく描いていて、ただ男達がずっと話し合ってるだけなのに緊張するんですよ。是非ご覧ください。
あと21世紀以降の作品で言えばこれもワンシチュエーションモノと言えます。
SAW
足枷を付けられた二人の男と一人の男の死体。ジグソウと名乗る仮面の男が二人にそれぞれ脱出に関するメッセージを送り、疑心暗鬼の中で恐怖の脱出ゲームが始まる…という、まあ怖い映画でして(笑)
これも部屋の中だけで展開していくんですが、最初から最後まで緊張感が半端ないですし、オチとか「うわ~…」って感じで絶望しかない(笑)
何よりこの作品が全世界的にヒットしたおかげでここからしばらく脱出モノの映画が作られまくったんですよね。しかし『SAW』を超える作品は知る限り出てこなかったので、この作品の偉大さがわかります。
少し話が逸れましたが、ワンシチュエーションモノとはどういうものであるかをわかっていただけたかと思います。
雨森さんの今回のハロウィンボイスってまさにこのワンシチュエーションモノなんですよ。しかも言ってみれば脱出モノであって、雨森さんこういうものも作るんだと少し意外に感じました。
2時間くらいあるのが当たり前な映画とか30分のアニメとかだとワンシチュエーションで成立させるのは結構難しいのですが、10分未満のボイスドラマでしかも登場人物が二人だけ、喋ってるのは一人だけの作品ならむしろワンシチュエーションの方が合ってるように思います。
他の方のは買った事がないのでよくわからないですが、少なくともこの点に於いて雨森さんのボイスドラマは凝ったものであると言えます。
今回もですから非常に良かったですし、買った甲斐があるというものでした!
強いて言えば冒頭の説明文がマジで説明文すぎて笑っちゃったってくらいですが(笑)とはいえ声しか表現方法がないので、世界観を伝えるにはあれが一番良いのかなと思いますし僕でも同じ事をしそうなので気持ちは理解できます(笑)
以上で今回の感想を終わります。雨森さんがいつ配信されるかわかりませんし、配信がなくても平気だと言えば絶対嘘になるのですが、それでもこうしてボイスドラマを出してくれるだけでもありがたいですし、たまにツイートしてくれたら嬉しいですし、なんならRTでも嬉しい。
推しは生きているだけで尊い。
最近はそれを噛み締めている次第であります(笑)
最後までお読みくださりありがとうございました。雨森さんも、ファンの方々も、これから寒くなっていきますからくれぐれもお風邪などを引かれぬよう日々をお過ごしくださいませ。
それではまた。