日中カラオケ大会
2024/9/7、何もなければ普通の日なのに、予定を入れていたので特別な日になった。
まぁ、そりゃそうか。
何の予定を入れたかというと、日中カラオケ大会への予選参加だ。
これは日本人が中国の曲を、中国人は日本の曲を歌う大会。
私は歌は好きだが、得意ではない。
そのため、一般のカラオケコンクールには見向きもしない。
ただ、今回は日本中国カラオケコンクールなのだ。
noteで以前書いたかは定かではないが、私は中国に留学していた。
そのため、日中スピーチコンテスト、日中作文コンクール、中国と名がつくものに関しては、縁を感じて参加してきた。
ゴクリ、だがカラオケとなると緊張感が一味違う。
話すでもなく、書くでもなく、歌う。
本番全然声が出なかったらどうしよう、歌うことのハードルは高い。
「せっかくだから出てみれば」、どんなに自分が迷っていても周りは割とあっけらかんとしたものだ。
でもまぁ、その一言で背中が押されるわけだが。
人生経験にもなるし、出ることにした。
そうと決まれば当日のためにできることをするしかない。
まずは曲決めだ。“小苹果”というりんごをテーマにした盛り上がる系の歌にした。
日本の歌で言えば大塚愛さんの「さくらんぼ」といったところかな。
フルーツに引っ張られた気もするが。
普通に歌っても勝ち筋が見えないので、やるのは色物だ。
りんごの被り物を被って、楽しい雰囲気になるように。
いよいよ本番当日!
会場は高田馬場にある中国式カラオケだ。
予選はカラオケの一室でやるようだ。
部屋は暗いし、さほど大きくない。
勝手に明るい普通の部屋で審査員や参加者が並ぶ前で行うと思っていたので、少し安心もした。
ただ、歌うということには変わりはない。
審査室に入室までの時間、私は今しか感じられない時間を味わった。
周りの歌を聞きたくなくて、イヤホンで耳を閉じ、自分の曲を流す。
芸人さんがM1グランプリのとき、他の人の漫才を見る人と見ない人で分かれるみたいな話も聞いたことがある。
見たほうがいいのではと思っていたが、見たくない気持ちがわかった。
「42番の人どうぞ」、忘れもしない、これは私の番号だ。
もう、ウジウジなんかしていられないから、元気よく予選部屋に入る、「お願いします!」
「元気ですね」、審査員から褒められた。
心臓バクバクのいまは、どんな褒め言葉でも嬉しい。
曲がかかった、よしいくぞ。
あれ、なぜかセリフが流れる。嘘でしょ?これ、ミュージックビデオバージョンじゃん!
皆さんもカラオケでGreeeenのキセキを歌った時などに経験があるだろう、歌だけでなくミュージックビデオが流れるやつだ。
これは誤算だ、曲始まるまでに1分くらいある。
どう繋ぐ?天気の話?いや、ここは室内だ。
とりあえず、リズムに乗れ、身体を動かせ。
うん、慣れている感じが出た。
なんか話して繋ごう、そして中国のダジャレみたいなのを言った。すべった。
ようやく曲が始まる、救世主だ。
だが、もう一つトラブル、被り物のりんごが想定外にズレるのだ。
たまに視界が見えなくなることも。
いや、それも面白いか?
ただ、歌詞が見たい、手で押さえて位置を定める。
時間になり、曲が止まる。
歌は練習の成果も出ていた気がする。
この後は審査員のコメントだ、さぁどうだ?
えー、「色物ならもっと振り付けつけたり、色物に全振りしましょう」。
30分後、私はカフェで1番高い飲み物をチューチューストローで吸っていた。
今のこの気持ちは何だろう。
複雑だ。達成感もあるものの、少しショックも受けている。
確かにそうだよな、正直色物半分、ガチ歌唱半分で向かった。
だから、どっちつかずではあったのか。
でも、歌もちゃんと歌いたかったんだもん!
けれど確かに、一人だけ色物だったらどうしようみたいな不安もあったのか?
色々な考えが頭の中を巡る。
いまは心から思う。
のど自慢に出る、色物に全振りする人たちはとてもすごい。
やるならとことんやる、そこの壁を一枚越えられるように、私もなっていきたいな。