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眠るときも、いつでも

初めてぬいぐるみを買ってもらったのは、覚えている限りでは小さなシナモロールだったと思う。

オリジナルの名前をつけて可愛がり、眠るときはいつでも一緒。ふとんをかけてあげて、息ができるようにちょっと顔を出して寝ていた。

ティーンエイジャーになって、外で友だちと遊ぶ機会が増えて、前ほどぬいぐるみと過ごす時間は減ったものの、いわゆるカワイイものは好きなまま大人になった。

好きが高じて、イラストを描いたりもした。好きなキャラクターやぬいぐるみの絵から始まった。無機物にも目と口を書くと命が芽生える気がして、そんな遊びをしたいりもした。

母もぬいぐるみが好きで、遺伝かしらなんて笑っていたっけ。ちなみに祖母の家にもぬいぐるみがある。きっと曽祖母の家にも愛されたぬいぐるみがあったのだろうなんて思いを馳せる。

今でもぬいぐるみは好きで、一人暮らしの部屋には厳選された2匹だけいる。それ以外は実家で自宅警備してもらっている。

数年前にSNSで、小さなレモンの赤ちゃんというぬいぐるみを見かけて、愛らしさに心奪われたことがある。

カネヒラさんという方が作られていて、他にも穏やかなコーヒー豆や、ぺってされたガムなどなど琴線に触れるものばかりで密かに応援していた。

いつか直接このぬいぐるみたちに会えたらいいなと思っていた。

そんなカネヒラさんが個展を開かれるということで、満を辞してぬいぐるみたちに会いに行くことにした。これまでも開催されていたが都合がつかないなど口惜しんできたので念願であった。

はちみせというお店で開催されており、足を運んだことのない土地にソワソワしながら向かう。夕方ごろに着くと20人ほどの列が。ヨルシカのアルバムの半分くらいを聴いてから入店。

靴を脱いでお店に入ると、ディスプレイされたぬいぐるみたちが!

みんな毛並みがふわふわで、とっても愛らしい。写真では中々見れない横からの姿をみたり。

ぬいぐるみの抽選に応募して、ステッカーとマスキングテープを購入。レジで対応いただいたお店の方々がとっても素敵でほっこり。

多くの人を接客して大忙しなはずなのに、丁寧に会話してレジをしてくださる。寒いなかお待たせしました、階段気をつけておりてくださいね、と一人ひとりに声をかけていてハートフルな気持ちになる。

最後にもう一度ぬいぐるみを眺めてお店を出る。

この子は「たまもの」。由来は「努力の賜物」らしい

陽が落ちるのが早くなり、すっかり街の色はくすんできたのを感じる。けれどカネヒラさんのぬいぐるみや、はちみせさんの空間のお陰で心はぽかぽかになった。

ちょっぴり緊張していたようで、ほどけると空腹に気付く。帰りに五右衛門パスタを思いっきり食べて帰路に着く。

よく眠れそうだ。

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