re.心體の営為
誰かの心ない鉤爪にアタシは毟られる
苦渋と涙で震えがとまらず枕に埋まり
毛羽立つコメカミの疼きで齧られた朝
壮大な大宇宙の微塵にも満たない些細
人さまにとってはミソっかすな退屈事
でもアタシには死活問題だったりする
未練にべったり纏わりついたこの拘り
そう易々とは剥がれるもんじゃなくて
朝も夜も電車でもトイレでもずっとだ
けれどやっぱり過去を憶いかえすなら
取るに足らないことばかりなのだろう
そうやってへしぐちで鼻をすするのだ
執着とは確かに自分が塗りつけたもの
だれかが始末してくれるわけじゃない
やっぱり最後は自分で拭うオチなのだ
善因は善果をもたらし
悪因は悪果を招きいれ
自因は自果として掬ぶ
悪いタネだって善いタネだっておなじ
撒いたからこそ芽を吹いて花をひらく
それは白くもあれば黒くもあるけれど
自分の心と體であることに変わりない
こうやって毎日をさまよい迷えたとて
そしてこの心が虐げられ伏すとしても
それでも體は生きる営をやめはしない
こうやって苦渋を舐め焼け争ったとて
そしてこの體が蝕まれ悶えたとしても
それでも心は生きる為をやめはしない
艱難辛苦汝を玉にするというけれども
逆境はひとを賢くするというけれども
アタシにはそれが解らないままなのに
けれどもこの心と體は解ってるようだ
そしていつかアタシがこの心を脱いで
そしていつかアタシがこの體を降りて
今生の世界からサヨナラするその端境
その残りの一秒まで心體の営為は灯る
そんな健気で寛容な心體のことを想う
もう、慈しみと感謝しか見あたらない
これまで蔑ろにしてきたアタシだもの
この心と體はだぶん怒っているだろう
あるいはきっと呆れ果てているのかも
今までホントごめんなさいでしかなく
そしてこれからも変わらぬご寛容の程
いずれ必ず訪れる最期のそのときまで
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