『恋する小惑星』に初夢を見る

導入

2020年が始まった。今年は『ご注文はうさぎですか?』『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』など大人気作品のTVアニメ3期の放送が予定されていたり、『ハイスクール・フリート』『SHIROBAKO』などの放送当時大流行したオリジナルアニメの劇場版が公開されたりと、アニメ界的に大きな期待が寄せられた年でもあり、一個人としても非常に楽しみである。

さて、新年が始まったということは、当然冬アニメが始まることも意味する。中でも1年前の『私に天使が舞い降りた!』、2年前の『スロウスタート』『ゆるキャン△』、3年前の『うらら迷路帖』など、日常系アニメは例年多くのオタクの心を温め、穏やかな一年のスタートを切らせた。

そして今年、冬アニメで先陣を切って殴り込んできた日常系アニメこそ『恋する小惑星』である。

TVアニメ『恋する小惑星』公式サイト
http://koiastv.com

『恋する小惑星』は、まんがタイムきららキャラットにて連載中のQuro氏による漫画『恋する小惑星』を原作とし、監督の平牧大輔氏を中心とした『私に天使が舞い降りた!』(以下「わたてん」と表記)のチームが再集結し製作されたいわゆる「きらら枠」のアニメである。1話冒頭から『わたてん』を彷彿とさせる演出や作画のシーンも多く、何より動画工房の本気を感じる。声優にも『わたてん』キャストの一部が参加し、また1話エンドカードは『わたてん』原作者の椋木ななつ氏が担当するなど、同作のファンを唸らせる作品でもある。また『きららファンタジア』(以下「きらファン」と表記)への参戦が第1話の放送前に決定し、多くのきらファンプレイヤーが3月の参戦を心待ちにしながら1話からアニメを見ることとなった。

で、1話どうだったの?

一言で言えば、めちゃくちゃ良かった。視聴中のコメントを伏せ太を使い書いていたため、まずこちらに目を通していただきたい。なおリンク先はネタバレを含むため、まだ第1話を視聴していない人は先に本編を視聴してから読むことを強く推奨する。

https://fusetter.com/tw/qmgKZtlR

限界オタク特有の妄想も一部含まれているが、ともかくこんな感じになっていた。自分が好きな「きらら枠」のアニメとして『スロウスタート』と『ハナヤマタ』が挙げられるが、これらに匹敵するレベルであった。
そして第1話放送終了の5分後、なぜか泣いていた。

https://twitter.com/ninon_slosta/status/1213108218798305282?s=21

ツイートも迷走して電話猫みたいになっている。見た人ならわかってくれるかもしれないが、感情が追いつかなくなった。このレベルのアニメはそうそう見れるものではない。その出会いに感謝した。

https://fusetter.com/tw/bihlfcVf

これは百合オタクの妄想である。まあ、特に深くは触れないこととする。

しかし……円盤売上に課題ありか

ここで、『恋する小惑星』の今後の課題も挙げておきたい。Blu-ray&DVD、いわゆる円盤の売上についてだ。

Blu-ray&DVD│TVアニメ『恋する小惑星』公式サイト
http://koiastv.com/package.html

全3巻での発売になることに関しては特に問題はない。かの『ゆるキャン△』も全3巻で10000枚を超える大ヒットを飛ばした。
問題なのは、その特典である。『ゆるキャン△』や同じ平牧大輔監督作品の『わたてん』と比較してみよう。

BD&DVD│TVアニメ『ゆるキャン△』公式サイト
https://yurucamp.jp/first/sp/bddvd/
Blu-ray&DVD│TVアニメ『私に天使が舞い降りた!』公式サイト
http://watatentv.com/package.html

ケースやブックレット、イベントチケット優先申込券などはお馴染みの特典であり、3作品に共通して付いている。ここも問題はない。
しかし、『ゆるキャン△』が全巻の、また『わたてん』が3巻の特典としている新作アニメーションは『恋する小惑星』には存在せず、代わりに毎週放送後にYouTubeで公開されるミニアニメが付いている。また『わたてん』の1,2巻の特典となっているキャラクターソングCDも付属していない。『ゆるキャン△』『わたてん』はサウンドトラックが別で出たが、『恋する小惑星』の円盤にサウンドトラックがつくとも考えにくい。
『恋する小惑星』固有の特典として、2巻の星座早見盤と3巻のフィールドノートが挙げられるが、これらは「グッズ」であり、新作アニメーションやキャラソンのようないわゆる「供給」としての面は少ない。

つまるところ、視聴者が円盤を買うまでに至らない可能性が高いのだ。本編を見るだけならTV放送の録画や地上波先行配信されているdアニメストア、安価かつ通販の面でもメリットの多いAmazonプライム等で十分、という視聴者も多く出てくるだろう。ちなみにその値段を考えると、DVDでも82.5ヶ月、Blu-rayなら97.5ヶ月dアニメストアに加入することができる

さらに問題なのは、対抗馬だ。まず今期の「きらら枠」の2枠目として『へやキャン△』が存在する。『ゆるキャン△』1期の円盤が10000枚を超えている以上、きらら界隈の人々が『へやキャン△』の方の円盤を購入し、『恋する小惑星』を見送る可能性も考えられる。

さらに、『へやキャン△』以上に強力な対抗馬が存在する円盤を50000枚売り上げ、Blu-ray BOXも10000枚超え、劇場版は80000枚だの120000枚だのを記録した平成の化物、『魔法少女まどか☆マギカ』の外伝『マギアレコード』である。『へやキャン△』がショートアニメであることを考えれば、『へやキャン△』と『マギアレコード』という組み合わせで買う人も多いだろうし、特典の魅力に欠ける『恋する小惑星』の円盤を買う人は相当限られてくると考えられるのだ。

ただでさえ「配信で十分」になりかねないのに、強力な対抗馬が存在する。1000枚に満たない可能性も十分にある。
その辺りは、今後の広報担当の腕の見せどころか。

終わりに

全ての人が様々な考えや境遇をにいるため、自分一人の立場から「円盤を買え」と言うことはできない。

しかし、「こうして記事を書くくらいには面白い作品であることは確かなので、とりあえず見るだけタダだと思って、1話を見てほしい」ということは言える。

1月6日22時30分からはAbemaTVでの放送が始まる。放送後は1週間無料視聴可能だ。
まずはここから始めてみてはどうだろうか?

この記事を読んで、一人でも多くの人が『恋する小惑星』という作品に触れてくれるのなら本望だ。


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