セブンイレブンの容器問題から見えた「日本の流通業の堕落」
2024年10月10日のセブン&アイ・ホールディングスの決算発表。
2025年2月までに、中間持ち株会社「ヨーク・ホールディングス」を創設し、セブンイレブン・コーポレーションとする組織改革をするようです。
(最新決算書↓)
https://www.itoyokado.co.jp/company/pdf/2021/balancesheet_2021_01.pdf
イトーヨーカ堂の総資産規模は8,195億円, セブン-イレ ブン・ジャパンのそれは5,460億円であり, 総資産規模では1.5倍で資産価値はある。
さて、この投稿は、買収などについてではなく、セブン&アイHD専務でセブン-イレブン・ジャパン社長の永松文彦氏へのインタービューについてです。
今話題のセブンイレブンの容器問題についての社長の回答です。
「本当にそうなってました? 上げ底になってましたか? 他と比べて本当にセブン-イレブンが上げ底になっているのかって言うのをご覧になりましたか? なってませんでしょう?(笑)」
「電子レンジで温めたりするアレがありますから。多少は(傾斜が)ないとダメなんですよ。じゃあ、スーパーとか他のところ見てご覧なさいよ。どっちが上げ底かと。あれはルールで、何パーセントって決まってるんですよ。だからそんな、アコギなことはできないんですよ」
このインタビューに、セブンイレブンの将来の大きな経営問題を感じました。
トップのこの回答は、明らかに非科学的(数字と論理に基づかない)な回答に終始しています。
まるで、「お客様が間違っている」とでも言いたいようです。
特徴的なのは、「他と比べて・・・」と言うことを強調していることです。
セブンイレブンの立ち位置は、コンビニ業界のトップです。
業界トップとしての自覚が足りない。
消費者が、「何故、このことを問題にしているのか」という本質からずれている。
結論からいえば、社長としては、こういうべきでしょう。
「この上底問題についてのお客さまの意見を、社内外で徹底調査した結果、〇〇〇〇でした。」と言うべきです。
あるいは、「業界はそうした方向だが、お客様の立場に立てば、改善が必要だと真摯に受け止める。」などと回答すべきです。
他社がこうしているから、セブンも例外でないというのは、この社長の経営者としての能力が低いと言わざる負えない。
あるいは、この顧客の”怒り”の根底にあることは、セブンイレブンだけではなく、コンビニ業界、食品スーパー業界への警鐘と受け止めるべきではないのか。
業界トップだからこそ、日本全国のお客様の”問題提起”として、事実・実態を分析・判断し、あるべき形を模索すべきです。
物価上昇の中での、対策としての意味もあることは経営的視点から明らかですが、
「その程度が、どこまで許容されるのか」
「どの程度なら、お客様は納得していただけるのか」
「おいしく見せるには、どうするべきか」
を追求することが、本物の経営者の役割です。
もっと突っ込んで言えば、日本の大衆の暮らしは(年収が変わらず)30年間より良くなってないのです。
だからこそ、日本の流通業への期待は大きくなっているということも、流通業の”王者”なら、真摯に受け止めるべきです。
セブンイレブンの祖業である、総合スーパーは、昭和30年代ぐらいから成長したものがほとんどです。(セブンは、1974年第1号店)
日本の流通業は、例外なく、”人材もいない” ”資金もない”ところから急速に成長してきました。
しかし、企業成長と共に、組織は肥大化し、顧客から離れ、官僚化し、堕落しているのではないか。
お客様のために「より良いものをより安く」という小売業の理念(原点)に立ち戻ることでしか、真の改革と更なる成長はありえない。