”フランス婚”が結婚のかたちを変える 〜事実婚の証としての住民票婚〜
ある女医（私の友人）の話。
彼女は、40代初婚で、50代のバツ１の医師と結婚しました。
彼には、成人した子供が２人います。
彼女は現在籍を入れてません。
それは、彼女の意志によってそうしています。
遺産相続で彼の子供達と争いたくないからだそうです。
つまり、妻として彼に不幸があった時の遺産を放棄しているのです。
明らかに女性の方が長生きすると考えられるのですから、潔く強い（稼げる）女性なのだと思います。
熟年や老年での結婚は、この問題が常について回ります。
もちろん、財産がなければ特段問題はないのですが・・・。
こういった結婚は”フランス婚”と言います。
その意味は”事実婚”のこと。
婚姻届を提出せず、戸籍上の配偶者の関係にはならずに互いを伴侶とする形態の通称。
フランスには下記の通り、3つのカップルの形があります。
(1) 日本のように婚姻関係を結ぶこと。
(2) パックス（PACS：連帯市民協約）という、青年に達した2人の個人間で安定した持続的共同生活を営むために交わされる契約のこと。
(3) ユニオン・リーブルという婚姻関係もパックスも結ばない、法的手続きを踏まないつながりを持つこと。
日本で言われている"フランス婚"とはこれにあたる。
2015年6月にオランド仏大統領が来日した際に、ファースト・レディとして扱いを受けたバレリー・トリルベレールさんは、オランド大統領とユニオン・リーブルの関係であり日本のメディアを賑わせたことがありました。
では、各カップルの割合はどれくらいなのだろうか。
仏国立統計経済研究所の調べでは、
2011年時点で3175万人のカップル（婚姻／パックス／ユニオン・リーブルの関係：調査年では後者2つのみ同性間含む）がおり、その内、
婚姻関係は2320万人（全体の73.1％）、
パックスは138万人（4.3％）、
ユニオン・リーブルは717万人（22.6％）です。
ユニオン・リーブル、つまり”フランス婚”は、日本でも今後増加する傾向にあると考えられます。
ところで、このパックス（PACS：連帯市民協約）は、税控除や財産権など結婚と同じような法的権利を得られるが、なぜ結婚とパックスという2つの制度が併存しているのか。
なぜならパックスは、結婚が認められなかった同性間カップルのために作られたことに端を発するからだ。
フランスは婚姻関係において、先進的な素晴らしい文化と制度があるのです。
もう少し、フランス婚を考えてみます。
ニュースの報道などではよく、「被害女性は内縁の夫と暮らしており……」といった言い方がなされます。
事実、「内縁」と「事実婚（フランス婚）」は、婚姻届を出さずに暮らす夫婦という点では同じです。
ただ、「内縁」には何となく「籍を入れられない事情があるのでは」といった偏見や、ほの暗いイメージがありますから、最近では「事実婚」という言い方のほうが好まれるようです。
「私たち内縁関係なの」と明るく言う人はあまりいませんが、「私たち事実婚なの」と言うカップルは沢山います。
同棲と事実婚の間には大きな違いがある。
「事実婚＝フランス婚」であるためには、2人の間に「私たちは夫婦だ」という認識があり、周りからも「あの人たちは夫婦だよね」と思われていなければなりません。
ただ一緒に暮らしている「同棲」ではダメなのです。
では、どうすれば「事実婚」を公的に証明できるのでしょう。
ひとつには「住民票を一緒にする」という方法があります。
これを「住民票婚」と呼びます。
住民票の「世帯主との続柄」のところに「妻(未届)」と記入すれば、事実婚の証明になるのです。
住民票を一緒にすれば、住宅ローンも共同で組めて、携帯電話の家族割もでき、飛行機のマイレージも共有できて、会社によっては生命保険の受取人にもなれます。
さらに家族と同様、相手のがんの告知なども受けられるといいます。
フランス婚と事実婚は、今後も増加するであろう根拠が法的な結婚とほぼ変わりないからなのです。
結婚を「入籍」と考えなければ、もっと婚活での恋人選びは発展し進化するに違いありません。
追記 最新の情報でないので、法律等の改正があるかも分かりませんが、ご了承下さい。
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