中小企業に理解されていない”M&A” 〜経営環境の大変革期の重要な戦略〜
M&Aの仲介業者について、毎日新聞の記事です。
『M&A仲介業者の営業姿勢について印象を聞いたところ、「非常に良い」とした人はおらず、「どちらかと言えば良い」が約25%。「悪い」の評価は、「非常に」(約24%)と「どちらかと言えば」(約52%)を合わせて、4人中3人を占めた。
「悪い」と感じた人に、どのような点が気になったのか尋ねると(複数回答)、「(回答者の)事業や経営について事前に何も調べていない」(56%)▽「手数料目当てであることが明らか」(54%)▽「M&Aを進める上でのリスク、問題点についての説明がない」(44%)▽「実績がないのにスキルがあるように見せかけてくる」(34%)――との回答が多かった。』
「悪い印象」は70%超である。
この記事は、「仲介業者」としている。
仲介業者というのは、業界では、売り手と買い手から手数料を取るということです。
どちらからも手数料を取るのだから、「いい加減」であることが前提です。
一方、どちらかの立場に立ち、交渉を進めるのが「アドバイザリー」という分類です。
つまり、仲介とアドバイザリーは、根本的に構造が違うが、この記事がそれを区別しているかというと、いささか疑問です。
あるいは、現在、M&A業界の主流が「仲介」であることも問題です。
M&Aという言葉は、誰でも知っている言葉となったが、この記事のように世間の知識は希薄なのです。
また、群馬銀行系シンクタンクの群馬経済研究所(前橋市)の調査で、後継者不足の企業で、80%以上がM&Aを「検討したことがない」という回答だった。
経営者にとって、ハードルが高いからだそうです。
ハードルが高いというのは、
・M&Aの知識がない
・会社が小さすぎる
という結果です。
こうした傾向から、日本でのM&A知識というのは、まだまだ中小企業に浸透していない。
M&Aは、「大企業が行うこと」という印象もあるからでしょう。
悪い印象の「仲介業者」は、どちらかと言うと、買い手側の立場に立ちやすい。
例えば、仲介会社にとって双方からの合計手数料がもらえるなら、仲介会社にとって、カネを出す”買い手側”の立場に立つ方が、”売り手側”の立場よりも有利(儲かる)になりがちです。
こうした悪習を改革しない限り、中小企業にとって、強者に飲み込まれる弱者の論理から抜け出せません。
先日実際にあった悪質「仲介業者」の事例では。
売却したい企業の情報を、無断で業界・地域に広め、その企業が窮地に陥るということもあった。
特に、長年地方で経営している企業にとって、企業売却というのは、様々な”憶測”が生みやすいものです。
M&Aでは、「秘密保持契約」を結ぶことが最初の手順です。
また、取引先の金融機関との関係も注意が必要です。
銀行だから、安心ではありません。
銀行なども、評判の悪い仲介会社と組んでいることも普通にあります。
この真因は、予想される金融業界の大再編により、地方銀行の生き残りが、中小企業への貸付だけではなく、M&A事業へ重点を変え始めているからです。
先日も、ある中堅企業経営者が、銀行経由でのM&Aで、業界常識の3倍の手数料を獲られたと述懐しておりました。
最後に、弊社は、M&A分野では、中小企業のためのコンサルティングを専門としております。
もちろん、仲介ではありません。
弊社にとって、M&Aは「経営者の企業理念の承継」が本質と考えます。