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ドルの単独切り下げがあれば、日本は金融危機となる 〜プラザ合意の歴史的意味〜

プラザ合意のような、米ドルの単独切り下げが起こるのか。

プラザ合意とは:ドル高を是正するため、1985年9月のG5(先進5カ国蔵相・中央銀行総裁会議)で発表された為替レートの安定化に関する合意のこと。これにより協調して円高・ドル安に誘導されました。開催場所となったニューヨークのプラザホテルにちなんでプラザ合意と呼ばれています。G5は、米、英、西独、仏、日本。

米国の、ドル国債(7兆ドル)を含む対外債務は、基軸通貨のためドル建てです。

ドルを1/2に切り下げると、4500兆円の対外債務は1/2に減価されます。

一方、対外資産22.6兆ドル(3277兆円)は現地通貨建てです。

ドルを円に対して1/2に切り下げると、対外負債は半分の価値になり、対外資産は2倍の価値になります。

日本の例では、米国ファンドがもつ日本株200兆円は円建てで、円国債120兆円も円建てです。

具体的に言えば、対外債務が1/2の価値、対外資産は2倍の価値とは。

対外資産6550兆円-対外負債2250兆円=4300兆円

の対外純資産国になるのです。

一方、日本は、ドル建て対外資産が1249兆円、円建て対外負債が838兆円です。↓

財務省資料

日本は、40年かかって築き上げてきた対外資産が、1/2の、625兆円失います。

日本は、

対外資産625兆円-対外負債838兆円=213兆円

の対外純負債国になるのです。

変動相場制でのドル切り下げは、政府(中央銀行)がドル1/2というレートを決めることは出来ません。

プラザ合意では、日本とドイツの経済力が、最も強かった頃で、G5が協調して手持ちのドル債を売って自国通貨を買うことによって行われました。

日本では、円高介入と言います。

日本は、手持ちのドルを売ってドル債が1/2に向かって下がっても、ドル債も現在の1/10以下で余力がありました。

現在の通貨リセットでは、ドル債をもつ日本、ユーロ、中国、産油国が、協調して手持ちのドル債を売って自国通貨を買うことによって行われます。

現在は状況が違います。日本がもつドル債は1249兆円と大きい。

日本には、プラザ合意のときように、ドルを1/2に下げ、2倍の円高にする余力は全くなく、金融危機になります。

ドイツの事情も同様です。

つまり日本とドイツが、ドル債とドルを売って、円とユーロを買う力はない。

このため協調介入が必要な通貨リセットは、無意味なものに終わります。


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