グリステを咀嚼する② 子どもでいられなかった幼少期
グリステ円盤到着まで、咀嚼できるまで咀嚼しようって思って始めたシリーズ・グリステを咀嚼する
参考文献を手に入れました。
通販って便利
まだ全部読みきれてないんですが、思いが溢れたのでノートを書きました。
今回のポイント
ずっと気になっていたルイーザ(私前のノートも前の前のノートも全然違う人の名前を書いていたらしい。ルイーザさんが正解のはずなんですが、このノートの下書きもがっつり間違ってたので間違ってたらすみません)(ルイーザもイリーザもイリーゼもテレーゼもテレーザも脳内再生ができる致命的な頭)の
『幼い頃母親に絵本を読んでもらえなかった』
っていうセリフ。
本編見る前も見たあとも、本買う前にもネットで調べてたんですが、グリム兄弟と母親の関係は超良好なんですよ
『あれ?読んでもらってたんじゃないの?読んでもらってないの??いい家の子なんだよね?あれ?』
って思ってたのですが、今回この本を読むことで新しいひらめきが出ましたーー。
もう配信終わっちゃったけど(血涙)
円盤の受注も終わっちゃったけど(血涙)
私と同じようにグリステからグリム兄弟沼に入った方や気になってる方いらっしゃったら是非最後まで読んでください…
☆いないと思いますが、グリム兄弟で検索してこのノートを見つけた方へ☆
このノートは舞台『GRIMM』を観劇した方に向けて書いてます。
そのため、グリステ観てない方からしたらぶっちゃけ意味がわからないと思います。
見出しグリム兄弟の幼少期〜子どもでいられなかった子どもたちでは純粋にグリム兄弟の幼少期について整理してますので、よかったらそこだけでもどうぞ…
☆
本題
さて、件のシーンの流れを思い出します。
イリーザ、ヤーコプに旅行の話をする
↓
ヤーコプ、入稿時期が早まったため行けなくなると伝える
↓
イリーザ、仕方ないと諦める
↓
ヤーコプ、『取材旅行』ができなくなって残念がる
↓
イリーザ、怒る。『仕事ばかりじゃなくて、家庭のことを顧みて』
↓
ヤーコプ『俺たち結婚してない』
イリーザ『結婚前で良かった』
↓
イリーザ『悪魔に魂を売ったみたいに文学の研究をしている』
ヤーコプ『弟たちを育てるために研究している』『研究は、気高き誇りのためでもある』『研究のおかげで金が手に入った。あとは時間が作れたら、幸せになれる』
↓
イリーザ『勉学に勤しむようになったのは、幼い頃母親から童話を読み聞かせてもらえなかった反動』
ヤーコプ『違う』
なーんとなくこんな感じだったと思います。
で、私はずっと
イリーザ→研究をしているのは、母親から童話を読んでもらえなかったコンプレックスのため。
ヤーコプ→自分が研究をしているのは、気高き誇りのため。
だと思ってましたし、このシーンにひっかかってここまで読んでくださった方の大半は多分同じだと思います。
ただ、参考文献現を読んだ限り、この『母親から童話を読み聞かせてもらえなかった』
ってあながち間違いじゃないんですよ。
そう、それが今回の副題である
『子どもでいられなかった幼少期』
の事です。
グリム兄弟の幼少期
文献によれば、ヤーコプとヴィルヘルムが幼い頃、グリム一家は比較的裕福な暮らしをしていました。とはいえ、真面目なグリム一家は『誠実に生きよ』を家訓に掲げ、質素倹約を絵に書いたような生活をしていたそうです。
しかし、真面目すぎるのかといえばそうではなく、誕生日はしっかりお祝いをし、当時はまだ主流でなかったクリスマスの風習も家族揃って行うような、仲睦まじい家族だったそう。
(ドイツのクリスマスいいなぁ…行きたい…)
しかし、お仕事に対して滅茶苦茶真面目なお父様。代官のような仕事(土地を収める人。偉い)に着いてらっしゃいましたが、フランス革命や戦争の影響で心労がかさみ、グリム兄弟がまだ少年の時に亡くなってしまいます。(1796年。当時ヤーコプ11才、ヴィルヘルム10才)
ここから、彼らが真の意味で『子どもでいられなくなった幼少期』が始まります。
グリム兄弟たち
ヤーコプとヴィルヘルム、実は下に弟や妹が結構な数居ます。当時の情勢を考えてもわりと頷ける事ですし、グリム兄弟興味ある方はもうご存知だと思うのですが、ここでサッと説明します
子どもたちの前に、まずは両親から
先述した父親、フィリップ・ヴィルヘルム・グリム(1751年生まれ)は法律を勉強し、弁護士、書記官を務めた後、シュタイナウの代官に
母親はドロテア・ツィンマー(1755年生まれ)子どもたちと夫のために甲斐甲斐しく働く、穏やかな母親だったらしい
さて、では兄弟
まずは長男であるヤーコプ…と行きたいところですが、実はヤーコプの上には兄が居ました。産まれて間もなく亡くなってしまった、フリードリッヒ・ヘルマン・ゲオルグ・グリム。1783年12月生まれ
そして、次男(実質的な長男)が我らがヤーコプ・ルートヴィヒ・カール・グリム。1785年1月生まれ
三男がヴィルヘルム・カール・グリム。1786年2月生まれ
四男はカール・フリートリッヒ・グリム。1787年生まれ
血気盛んな性格だったそうです。軍隊に入隊したらしい
五男フェルディナンド・フィリップ・グリム。1788年生まれ
字が滅茶苦茶美しかったらしい。えっ??ってなるけど、他の色々を差し置いて字がきれいって書かれたってことは相当美しかったそうな…
六男ルートヴィッヒ・エーミール・グリム。1790年生まれ
彼はグリム兄弟の童話集に載る挿絵を描いたことでも知られてます。絵描きさん
七男フリートリッヒ・グリム。1791年生まれ。
しかし、彼は一年ほどで他界してしまいます。
そして、八番目にして長女シャルロッテ(ロッテ)・アマーリエ・グリム。1793年生まれ。
グリム兄弟の紅一点。兄たちから溺愛されていたそうな
九番目で八男のゲオルグ・エドゥアート・グリム(1794年生まれ)も、早くに他界してしまいます。
と、某六つ子もびっくりの兄弟数なのですが、先述した通りこの時代では普通です。
今よりもさらに生まれてきた赤ん坊が命の危機に晒されていた時代。衛生管理も今より徹底されていませんし、それになにより赤ん坊を取り巻く病気が非常に多かったそうです。(幼児結核や天然痘など)
ただでさえ大人の寿命が50才そこらだった時代。子どもの数が増えるのは、それなりの理由があったんですね(無理やり締める)
子どもでいられない子どもたち
なんだか社会問題を扱うノートの見出しみたいになってしまいましたが、ここで、お父様が亡くなったタイミングに戻ります。
1796年時点でグリム一家の年齢は
母・ドロテア→41才
ヤーコプ→11才
ヴィルヘルム→10才
カール→9才
フェルディナンド→8才
ルートヴィッヒ→6才
ロッテ→3才
彼らが住んていた家は『仕事のため』住むことを許されていた場所であったため、大黒柱を失ってしまったグリム一家は住むところも無くなり、職もなくなってしまいます。
この時代、兄弟が多いのは当たり前…といえ、文字通り全てを失ってしまったグリム一家。女手一つで6人の子どもたちを育てるのはまず不可能です
というわけで、勉強ができた上の二人は、叔母を頼って母親の元から離れます。
そして、ヤーコプとヴィルヘルムは母親や周りの人の期待を一心に背負い、勉強に励みます。全ては家族のため、収入のため…
絵本を読んでもらえなかった反動
ここで本編を思い出します。
イリーザはヤーコプに対し、
『勉学に勤しむようになったのは、幼い頃母親から童話を読み聞かせてもらえなかった反動』であると言い切り、
『子どもたちを笑顔にする童話を作るグリム兄弟の兄が、自分の家庭を顧みらない人だとは』
みたいなことを言います(うろ覚え)
この意味について、私はずっと文字通り
幼少期に絵本を読み聞かせてもらえなかったような家庭だったから
って読み解いていたのですが、多分イリーザが言いたかったのは
ヤーコプが勉学に勤しんでいるのは気高き誇りのためなんかじゃなくて、幼い頃から下の弟や妹のために父親役を演じて誰かに甘えることができなかった反動。『子どもの読み物』である童話の研究に没頭しているのはそれが理由だから
じゃないかな???って思いました。
それを思うと、ヤーコプと喧嘩別れしたあとにヴィルヘルムに向かって言った
『彼にはあなたのような、柔らかな絹のような言葉が慰めになるわ』
も、(うろ覚え。このセリフ滅茶苦茶好き。というか、このセリフを言っている高崎ヤーコプさんが滅茶苦茶好き。表情も声色も好き。泣く)
ヴィルヘルムが絹のような言葉を発するからじゃなくて
グリム兄弟の一員ではない私じゃなくて、一緒に子どもの読み物である童話を書いていて、同じように父親の役割を買って出ている実の兄弟のヴィルヘルムの言葉なら、ヤーコプの心を慰められる(私には慰められない)
って事なのかな…
イリーザの主張って確かに、ヤーコプと近い距離にいて、恋愛感情を抱いている人なら持ちがちの筋が通った正しい意見だと思うんですよ。
ワタシチョット夢女子ダカラワカル(片言)。ちょっとだけ。しらんけど
父の死をきっかけに、母親に童話を読み聞かせてもらえるような立場にいられなくなった結果→研究(勉強)を始めるようになった
↓
ヤーコプに対して恋愛感情を持っているからこそ、そんなヤーコプを救いたい/癒やしたいって思う。多分
↓
せっかく用意した旅行も、研究のためのものだと認識されていたことが判明
↓
私(イリーザ)と築くはずの家庭を顧みるような思いはヤーコプには無い
これは怒るし出ていくし泣くわ…。イリーザ目線になると凄い辛い。
でもヤーコプは、本来ならば子どもであるはずだった幼少期から
長男であることを強いられ
自主的に兄弟たちの父親で居ようとしている
ように取れます。
(時代的に、本来ならば次男である長男はヤーコプ以外にごまんと居ると思いますが)
確かにイリーザの主張は正しいんですが、ヤーコプも間違ってないんだよね…というか、イリーザもイリーザなりに必死だし、ヤーコプもヤーコプなりに必死…
こう、多分なんですが、イリーザとヤーコプでは育ってきた環境が違いすぎて、そもそも同じ土俵に立ててないんだね…
まとめ
えーーーーーっ!!!!つらい!!!!つらい!!!!!
私正直イリーザに対してあんまりいい感情を抱いてなかったんですが、
好意を寄せてる相手はこっちを見てくれないし
好意を寄せてる相手を慰めることもできない
えっ…イリーザつらすぎません…?
そしてヤーコプもさ、多分無意識というか、必要に迫られて父親代わりとして一家にお金を送るために必死に研究して働いてきたと思うんですが
そりゃ、時代的な問題もあるので当たり前かもしれないのですが
11才の少年が背負っていいものじゃないよ…
だーーーれも、みんな悪くないのがほんとに辛い。父親も母親も時代も兄弟たちもみーーーんな悪くないのが辛い。
これが…これが歴史を学ぶってことが…!!
医療が発達して、社会が整った結果、ヤーコプやヴィルヘルムみたいに『父親代わり』をしないといけない子どもが減ったんだな…
そう思うと、歴史を学んだりするのって大切なんだな…って思う…
今日の発見が未来の子どもたちを救ってるよ…ガチで…。
と、訳のわからない位置に着地したところで、今回は締めます。また読み進めて書きたくなったら新しいノートを書きます
(と言いつつこのノート書くのに滅茶苦茶時間かかったので次はいつになるか…9月中にはあげたいな…)
参考文献について
アマゾンのリンクを貼っておくので、グリム兄弟気になってるけど文献とれがいいんだろ…って方は読んでください…。グリステ見る前に読んでおけばよかった…って思うくらい面白いです。
グリム兄弟の印象が結構変わる。楽しい。
滅茶苦茶興味深いです…
↑私が買ったときは確か3000円とかだったんですが(うろ覚え)、何故か高騰してます。アマゾン以外の通販で買ったほうがいいかも…?というか普通に本屋さんで取り寄せてください。そのほうが早くて安い
本屋さんで取り寄せする時に必要そうな情報
↓
ISBN-10 4894192225
ISBN-13 978-4894192225
出版社 パロル舎 (2000/5/1)
余談
いや…でもほんと…グリム兄弟興味深すぎる…。彼ら本当に実在したんだな…。
もし高校とか大学の1回2回の頃に出会ってたら、確実に卒論はグリム兄弟に関係した事にしてそう…
『グリム童話から読み解くグリム兄弟の関係性について』
みたいな。高校の頃に出会ってたら文学部に行ってたな…
とりあえずコロナ開けて国外旅行気軽にできるようになったらドイツ行きます