【ガストロノミー】大河原弓彦誕生日 記念Short Story:おねだりMy Master
このお話は【ガストロノミー】のある日のサイドストーリー、ヒロイン目線のお話です。
※アプリゲーム内ガチャシナリオをアレンジして再掲載です(アプリは現在サービス終了しています)。
<アプリシナリオ>
おねだりMy Master
その日、弓彦先生はいつもよりもずいぶん遅くに帰ってきた。
大河原弓彦「ただいまー」
あなた「お帰りなさい、弓彦先生。今日の会食はいかがでしたか」
大河原弓彦「それが急な仕事が入って、無しになっちゃって」
あなた「まあ……では、夕飯は」
大河原弓彦「食べてないんだ。でも疲れたし、今日はこのまま寝るよ」
先生はヨロヨロしながら寝室へ向かう。
しかしその瞬間、ぐうう~と大きな音が鳴り響いた。
大河原弓彦「……」
あなた「ふふ。弓彦先生、お腹が空いているんですね。何か夜食を持ってきますわ」
大河原弓彦「ごめんね。ありがとう。思った以上にヘトヘトみたいだ」
情けなさそうに言って、私の頬に柔らかな接吻をする。
・
・
・
・
・
夕飯の残りを温めて食卓に持ってくると、弓彦先生は有り難そうに両手を合わせた。
大河原弓彦「いただきます。今夜はお鍋だったんだね」
あなた「ええ。今お茶を淹れますね」
大河原弓彦「ありがとう。ところで君、その格好……」
あなた「はい?」
先生の視線につられて、私は自分の格好を見下ろす。
普段着の和装の上、白い洋風のエプロンをつけたままだった。
大河原弓彦「メイドさんみたいだね。和装姿の君を見るのも久しぶりだし、何だか新鮮に思うよ」
あなた「変でしょうか」
大河原弓彦「いや、かわいい。しばらくそのままエプロンを外さないで居てもらいたいくらい。……どうかな?」
微笑んでねだられては、少し頬を熱くしながらコクリと頷くしかない。
熱い番茶を持ってくると、弓彦先生はさっそく湯呑をあおろうとする。
あなた「あ……弓彦先生、ちょっと待ってください。少し熱くしすぎたので」
大河原弓彦「え?」
ふーふーと息を吹きかけて冷ましにかかると、先生は目を細めた。
大河原弓彦「ああ、癒される。君の優しさが疲れきった骨身に染みるよ」
あなた「ふふ。こんなことで良かったら、いつでもしますよ」
大河原弓彦「嬉しいな。そうだ、お返ししなきゃ」
含み笑いをして、今度は弓彦先生が息で冷ましてくれたお茶を手渡してくれる。
あなた「ふふ。いただきます」
大河原弓彦「どうぞ。君が淹れてくれたお茶だけどね」
・
・
・
・
・
そして弓彦先生が夜食をたいらげた頃――
大河原弓彦「ごちそうさま」
あなた「では、下げますね」
大河原弓彦「いいよ、後片付けは僕がやるから。そんなことより、こっちへおいで」
あなた「え?」
大河原弓彦「おいで」
蠱惑的な声音と表情にドキリとし、抗えずに弓彦先生の傍に立つと、しげしげと全身を眺められる。
あなた「ゆ、弓彦先生……?」
大河原弓彦「せっかく本物のメイドさんみたいな格好なんだから、先生じゃない方がいいなあ」
あなた「え」
大河原弓彦「ご主人様。……そう呼んでごらん」
あなた「……え……っ」
大河原弓彦「ほら、はやく」
あなた「ご……ご主人様……?」
大河原弓彦「そうそう。じゃあ、ご主人様の命令だよ」
大河原弓彦「僕に、口づけてみて」
あなた「……っ……」
大河原弓彦「ご主人様に、キスしなさい」
あなた(……面白がっているようだわ、弓彦先生……)
それでも、挑発されるように顔を近づけられれば、歯向かうことも出来ず、そっとくちびるを重ねた。
大河原弓彦「……君はいつまで経っても、初々しい反応をするよねえ。そんなところが逆にそそられるんだけど」
あなた「先生、あんまりからかわないでください」
大河原弓彦「からかってなんかいない。本心だよ。あ、そうだ!君さ、ちょっと裾を……」
あなた「先生。これ以上からかうようなら、もう先生には二度とお茶を淹れませんからね?」
大河原弓彦「それはカンベンしてほしいなあ。君が淹れたお茶を飲めなくなるのは、これから死ぬまでお酒が飲めないよりも辛い」
先生は再び情けなさそうに言って、今度は私の額に柔らかな接吻を落としたのだった。
END
シナリオ:NINOYA