【ガストロノミー】9/29大江静也誕生日 記念Short Story:湯けむり欲情事件
このお話は【ガストロノミー】のある日のサイドストーリー、ヒロイン目線のお話です。
※アプリゲーム内ミニシナリオをアレンジして再掲載です(アプリは現在サービス終了しています)。
<アプリシナリオ>
湯けむり欲情事件
旅館で湯をあびた後、温泉街を静也さんと散歩することになった。
大江静也「寒くはないか」
あなた「はい。むしろひんやりして気持ちいいです。
身体が火照ってしまったので」
大江静也「ずいぶん、ふたりで長湯したからな」
あなた「そ、そうですね」
大江静也「外に出たのは失敗かもしれない」
あなた「湯冷めしますか?」
大江静也「いや、湯上りの浴衣姿というのは予想以上に色気があるものだと思ってな……」
あなた「静也さん?」
大江静也「何でもない。俺から離れるなよ」
静也さんは私の肩を抱いて歩き出す。
けれど、いくらもいかないうちに見慣れた影を見つけた。
大江静也「ん? あれは亜蘭か」
あなた「昼に行った足湯に浸かってるみたいですね。
呼んでみましょうか、亜蘭さ……」
大江静也「しっ」
彼は私の口をやんわりと掌でふさぐ。
あなた「? 声をかけないんですか」
大江静也「怪しいと思わないか?
旅館に立派な温泉があるのに、足湯にだけわざわざ入りにくるとは」
あなた「確かに……あっ、もしかしたら」
大江静也「何だ」
あなた「どなたかと、秘密の待ち合わせなのでは」
大江静也「は?」
あなた「この温泉街には慣れ親しんでいるようですし、
恋仲の方が居るのかも」
彼は即座に首を横に振った。
大江静也「恋人を待ちわびてる顔じゃないだろ。
あれはどちらかというと、苛立っている」
あなた「確かに」
大江静也「何かまた厄介ごとでも抱え込んだんだろう」
あなた「でも、何か困っているのだとしたら、声をおかけした方が」
大江静也「お前は優しすぎる。
亜蘭の厄介ごとに好き好んで巻き込まれてやることはない」
小林常次郎「えっ、旦那さま、また何かやらかしたんですか」
突然の声に驚いて背後を振り向くと──
あなた「小林くん!」
大江静也「小林くん、どうしてここに……」
小林常次郎「旦那さまにお使いを頼まれまして。
まったく、人使いが荒いですよねえ」
江川亜蘭「そんな所にいたのか、小林くん。遅かったじゃないか」
会話が聞こえたのか、亜蘭さんがやってきた。
江川亜蘭「ん? お前たちまでどうしたんだ、こんなところで」
大江静也「お前こそ足湯で何をやってるんだ」
江川亜蘭「小林くんと待ち合わせていただけだ」
大江静也「旅館ではなく、わざわざここでか?」
江川亜蘭「ああ。ここじゃなくてはならない」
大江静也「どういうことだ」
小林常次郎「大江先生、僕は旦那様にコレを届けに来たんですよ」
あなた「コレって……卵……ですか?」
驚く私たちを気にせず、亜蘭さんはホクホクと嬉しそうに卵を受け取る。
江川亜蘭「昼間、お前たちが温泉卵を食べていただろう。
それでどうしても私も食べたくなってしまったんだ」
小林常次郎「というわけで、雑務諸々のついでに僕が卵のおつかいを頼まれたわけです」
江川亜蘭「明日の朝食で出るとは聞いてはいたものの、待ちきれなくてね。
よし、さっそく作るとしよう」
大江静也「明日を待てないって、お前は子どもか?」
小林常次郎「子どもに決まってるじゃないですか。
あ、旦那様、僕の卵はしっかり茹でてください」
江川亜蘭「何を言っているんだ、小林くん。
温泉卵はトロトロじゃなくては」
大江静也「そろそろ戻るぞ」
静也さんは苦い顔で私の腕をつかむ。
江川亜蘭「お前たちの分も茹でてやるぞ。食べていけ」
大江静也「いらん!」
江川亜蘭「ふーん。湯上がり姿がまるで温泉卵みたいだな」
あなた「えっ?」
大江静也「余計なことを言うな」
小林常次郎「旦那様、今の発言は褒めているのか、
けなしているのか分かりませんよ」
江川亜蘭「勿論、褒めている」
あなた「えっと、ありがとうございます?」
大江静也「さっさと行くぞ」
静也さんは急かすように私を連れて歩き出す。
あなた「何か怒っているんですか?」
大江静也「何が温泉卵だ。
まるで『温泉卵みたいに美味しそうだな』とでも言いたいのか」
あなた「?」
大江静也「早く旅館に戻るぞ。
やっぱり湯上りのお前をさらしておくのは危険だ。
……おい、これは別にヤキモチじゃないぞ。
決してヤキモチじゃないからな!」
そう言う彼の顔は少し赤くなっているように見えた──
END
シナリオ:NINOYA
(2016年11月配信イベント”湯けむり欲情事件”エクストラシナリオを改変)
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