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【ガストロノミー】10/29大河原弓彦誕生日 記念Short Story:サンタクロースの誘惑

このお話は【ガストロノミー】のある日のサイドストーリー、ヒロイン目線のお話です。
※アプリゲーム内ミニシナリオをアレンジして再掲載です(アプリは現在サービス終了しています)。

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<アプリシナリオ>


サンタクロースの誘惑


※このお話は大河原弓彦目線のミニストーリーとなります。

クリスマスイブの夜。
電車の人身事故に巻き込まれ、彼女との待ち合わせに遅刻した僕は、かなり焦っていた。

大河原弓彦(あ~~、怒ってるだろうな。
よりにもよって、クリスマスの夜、こんな寒い中ひとりで待たせるなんて)

ようやく待ち合わせ場所に到着し、辺りを見回す。群衆の中、彼女を見つけてホッとしたのも束の間、頭ひとつ抜き出た大男が目に入る。

大河原弓彦(あれは……中村くん!?)

珍しい組み合わせに首を傾げつつ近付くと、彼女が動揺したようによろけるところだった。

大河原弓彦「まさか中村くんがこの子にちょっかいをかけるとは……思わぬ伏兵が居たもんだ」

僕は中村くんより先に彼女を抱き留めることに成功した。

中村大志「大河原先生っ!?」

大河原弓彦(中村くん、鬼瓦面が険しくていつも以上に怖いなあ……)

「ゆ、弓彦先生……」

彼女が震える声で名前を呼ぶ。

大河原弓彦「ごめんね、遅刻してしまって。
ところで、顔が真っ青だ。大丈夫?」

「先生!」

わーっと彼女が泣き崩れる。

大河原弓彦「どうしたの!?」

中村大志「えっと、そのお……」

中村くんが気まずそうに頭をかく。

大河原弓彦「説明しなさい。これはどういうことなんだろう?」





大河原弓彦「なんて人騒がせな誤報だ」

中村大志「申し訳ありません。先生が電車の事故に巻き込まれて
線路に落ちてしまったと聞いたもんで、それを伝えちまったんです」

大河原弓彦「落ちたんじゃなくて、降りたんだよ。
医者としての人命救助」

中村大志「俺も焦ってしまって、本当にすみません」

大河原弓彦「勝手に殺さないでほしいな。でも、ふたりともこんなに酷い顔色で、心配してくれたってことでありがたいよ」

すると、彼女の瞳に、みるみる溢れるものがある。

「……本当に、良かった……」

泣き笑いみたいな表情を向けられて、うっかりこちらが泣きそうになってしまう。

大河原弓彦「ごめんね、心配かけて」

僕は震える彼女の肩を強く抱きしめた――。





帰宅後、僕は理性をふり絞り、彼女にひとりで早めに寝てもらった。
あんな寒空の中待たせたのだから、風邪でもひきかねないから。

大河原弓彦(なのに……クリスマスプレゼント置きにきただけでどうしてこうなるかな)

彼女の枕元にプレゼントを置いた瞬間、
彼女は僕の裾を寝惚けて握りしめ、いつまでも離さずに居た。

大河原弓彦(かれこれ小半時くらい経つかな。これって据え膳だよねえ)

「……先生……」

大河原弓彦「あっ、起こしちゃった?」

「……すー……」

大河原弓彦(寝言……)

眠りながらも尚、誘惑してくる彼女に深いため息を吐く。

大河原弓彦(はあ。全く……本当にこの子は。
いい加減にしないと、寝ている間に悪戯しちゃうよ……?)

ふっくらとした頬を、つんとつっつくと、彼女が拒むように眉を寄せ、
顔を背ける。その仕草が赤ちゃんのように可愛らしくて、小さく笑ってしまった。

大河原弓彦(分かった、分かった。ちゃんと、君が起きてる時に愛するよ。
それにしても、プレゼントを置いた相手が起きてくれるのを枕元で待つなんて、僕はサンタクロース失格だろうなあ)

そうして、彼女が目を覚ますのを、今や遅しと待ちわびるのだった――。



END

シナリオ:NINOYA
(2016年12月配信イベント”サンタクロースの誘惑”エクストラシナリオより)


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