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【ガストロノミー】大江静也誕生日 記念Short Story:ご主人様のLove Sick

このお話は【ガストロノミー】のある日のサイドストーリー、ヒロイン目線のお話です。
※アプリゲーム内ガチャシナリオをアレンジして再掲載です(アプリは現在サービス終了しています)。

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<アプリシナリオ>

ご主人様のLove Sick



出勤する静也さんを見送ろうと、ビルのエントランスに降りた時だった。
周りに誰もいないことを確認してから、片頬に口づけをする。

あなた「いってらっしゃいませ、静也さん」

大江静也「ああ。行ってくる」

僅かにはにかむような表情を見せた後、彼は突然こめかみのあたりを押さえた。

あなた「静也さん? 大丈夫ですか?」

大江静也「ちょっと眩暈がしただけだ」

あなた「ちょっと待ってください、静也さん。……失礼します」

背伸びをして、額と額を合わせるように静也さんの熱を計る。

あなた「えっ……すごい熱!」

大江静也「大したことはない。ただの風邪だろう」

あなた「ダメです、静也さん。戻りましょう」

大江静也「お前だけ戻りなさい」

あなた「嫌です。どうしても行くというなら、私も一緒に」

大江静也「うつるかもしれないから、ダメだ」

振り切ろうとする静也さんの腕の力が、ふいに緩んだ。
そのまま力尽きたように、静也さんが倒れ込んでしまう――。

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弓彦先生に診てもらった結果は、風邪だった。
大事は無いけど安静にさせるよう言われ、ベッド上の静也さんを覗き込む。

あなた「雑炊を作りました。食べられそうですか?」

大江静也「……ああ」

あなた「口に運んでも宜しいですか?」

大江静也「……頼む」

私がスプーンを口に運ぶたび、静也さんは黙々と食べてくれる。

あなた「味は大丈夫そうですか?」

大江静也「味覚が麻痺しているから、分からない」

あなた「あ……そうですよね」

大江静也「だが、お前が作ってくれるものなら、美味いに決まっている」

あなた「ふふ。ありがとうございます、静也さん」

大江静也「礼を言うのはこちらの方だ。手間をかける」

あなた「手間なんて、思ってません」

大江静也「……お前」

あなた「タオルをかえましょう」

静也さんの熱っぽい視線に照れてしまって、額のタオルをそっと取った。
踵を返しかけると、腕を掴まれる。

大江静也「あ……悪い。思わず……」

あなた「え?」

大江静也「何でもない」

あなた「……こんな時くらい甘えて下さい。それに、私はどこにも行きませんわ」

大江静也「……お見通しか……なら、手を握っていても構わないか」

あなた「勿論です」

静也さんは安堵したように目を閉じた。
その寝顔を見ているうちにいつしか私もウトウトと──

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

江川亜蘭「静也~!いないのか?」

あなた「亜蘭さん」

まどろみから引き戻されて、私は慌てて静也さんから手をひこうとする。
しかし、どうにも手を離してくれず困っていると、亜蘭さんが姿を見せた。

江川亜蘭「見舞いに来てやったと言うのに、寝ているとは……っと、邪魔だったかな」

あなた「すみません、その……」

つないだ手に言い訳出来ず赤くなっていると、亜蘭さんは鷹揚に微笑む。

江川亜蘭「こいつ、お前の前だとまるで赤子のようだな。お前と出会ってから静也は驚くほど変わった」

あなた「そう、でしょうか」

江川亜蘭「たぶんね。まあこの話は静也の起きている時、嫌がらせ用にとっておくとして。見舞いの品だ。受け取りたまえ」

あなた「これは……わあ、アイスキャンデーですか」

江川亜蘭「ああ。食欲が落ちている時でも食べられるものを、と思ってね。熱が下がる効果もあるが、お腹を壊す恐れもあるから食べ過ぎないように……と、静也に伝えておいてくれ」

あなた「ありがとうございます、亜蘭さん」

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亜蘭さんが去った後、数刻も経たず、静也さんが目を覚ました。

大江静也「……亜蘭が来たのか」

あなた「静也さん。目が覚めたのですか」

大江静也「亜蘭のうるさい声のせいでな」

あなた「アイスをこんなに頂いてしまいました」

大江静也「すまない、水をもらえるか。あとそのアイスも」

あなた「分かりました」

亜蘭さんがくれたのは、ミルク味のアイスキャンデー。
冷たいものを欲していたのか、静也さんはアイスをすぐに食べ終える。

大江静也「もうひとつ、ほしい」

あなた「でも、静也さん。亜蘭さんが食べ過ぎるとお腹を壊すからと」

大江静也「それもそうだな。じゃあ、お前がその分食べなさい」

あなた「いいんですか?」

大江静也「アイスは好物だろ?」

あなた「知っていたのですか」

大江静也「お見通しだ。食べなさい」

柔らかく微笑む静也さんに促されて、私はアイスを口に運ぶ。
バニラ味が口の中に広がり、官能的な甘さに舌が蕩けた。

あなた「とっても、美味しいです」

大江静也「そうか。……下の方、溶けて垂れてる」

あなた「あっ」

慌てて、私はアイスの根元を下から舐めとるようにする。
それを繰り返してると、静也さんがすっと私から棒を奪った。

あなた「静也さん?」

大江静也「俺が食べさせてやろう」

あなた「で……でも」

大江静也「いいから。はやく食べないと溶けるぞ」

彼が私の口の中に、ゆっくりとアイスキャンデーを差し入れ、ぬるぬると何度も出し入れする。

あなた「あ、あの……」

大江静也「そのままアイスを齧らずに、溶かすように食べてみなさい」

あなた「……え?は、はい」

しばらく言われるままに舐めていたけれど、どうにもむず痒い。

あなた「あの、自分で食べてもいいですか?静也さんの手が汚れますし」

大江静也「ここまでしても、分からないとは……その純粋さはある意味、酷だな」

あなた「?」

静也さんは私の耳元にそっとくちびるを近づけると、卑猥な言葉を囁いた。

あなた「し、し、静也さん!何てことを……っ」

大江静也「お前がそんな淫らなアイスの食べ方をするのがいけない。お陰で、熱があがってしまったようだ」

あなた「……っ」

大江静也「お前、責任をとって私を看病しなさい。風邪が治っても」

そう言って、溶けだしたアイスよりも甘く静也さんは微笑んだ――



END

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