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イティハーサのお話

水樹和佳子さんの『イティハーサ』
私を違う世界に誘うストーリー
何度も読むたびに深く私にメッセージをくれる
この素晴らしい作品について何か残したい。
ただそれだけのnoteです。
シンプルにファンレターのようなものかもしれません💌笑
名言集など作ってみましたが
ネタバレを含む部分もあると思うので
真っさらな気持ちで作品を読みたい方は
スルーしてください🙏🏻

〜ざっくりあらすじ〜
舞台は約12000年前。
人が神に接することのできた古代日本には、真言告(まことのり)を操る"目に見えぬ神々"を信奉する部族がいた。しかし、偉大な二つの大陸がちりと消え、世の中が荒れ始める。外国からやってきた"目に見える神々"と彼らに従う戎士達によって部族が襲われるところか物語は始まる。
善を好む亞神・悪を好む威神、各々に従う戎士たちの戦いが繰り広げられる中、目に見えぬ神々を信奉する主人公たちが様々な葛藤の中で真理を追い求めていくストーリー。

※以後ネタバレあります

まず第1巻の冒頭から深すぎる問いが…

"その答えを求め続けると気のふれる問いがある
自分は何故ここにいるのか
何処より来たりて何処へ向かうのか…
実に人はこの問いを忘れる為に人を愛し
この問いから逃れる為に神を求める"

イティハーサ第1巻

7巻まで読み終えたあとまたここに戻りたくなる。

「なぜ生まれてきたのか」

ずっと考えてしまうこの疑問
なんのために生きているのか
なんのために生まれてきたのか
地球を汚染し
同じ種族で傷つけ合う人間とは何なのか

でもどんな占いに出会っても
なんとなく天命のようなものはわかっても
やっぱり気がふれるような
果てしなく遠いどこかに連れてかれるような
答えの出ない問い。

そして答えが出ないからこそ
真理を求めて地球で生きる旅にきた。
"知りたい"という気持ちが人を生かしていると
感じる。

最近様々な口伝が明らかになり
学んできたことも覆すような
新しい歴史を知る機会も増えてきたけれど
きっと100%の正解は知る由もなく
ずっとこの"知りたい"という衝動が
人の原動力になり続けているならば
"知りたい"という状態が続くことが
理想なのかもしれない

7巻で青比古は
"俺には命の価値がわからない
だから助けてしまうんだ…"
魂は永遠であることを知り、
自と他の区別がなく、
そして生へも死へも執着のない青比古は
儚げで在って無いような存在で。
ただ、真理を知りたいという欲望と
桂を愛するという気持ちが、
最後まで彼を生かしてくれる

黄実花が
一狼太を自分の心を手放してまで
救った青比古を見て
"持っている世界が広いほど
"自分"が希薄になっていくのかもしれない"
と言った

そう。
まるで根を張る木のように
人類が根底では繋がっていることを実感していくと
自分という存在がどんどん希薄になるのと同時に
少し自分を大切にすることを忘れるような気がする

でも自分の欲、
誰かを愛したい、知りたいという欲が
自分をこの地に繋ぎ止めてくれるようで
広いこの世界の果てを考え始めるようになったときこそ、地に足をつけて自分も大切にすることを忘れてはいけないなと思う

そして、唯一神の存在
日本では八百万の精神が自然と残っているが、
どこかこの神様が1番と言ってほしいような
絶対的安心を求めてしまうような時もある
この神社が1番古い
この神様が始まりの神だ…など
様々な説があるがやはり答えは
探し求めた人の数の分だけあるのだと思う

答えがひとつしかない世界は息苦しい
多様性という言葉が広がっていったように
幸せの形は人それぞれで
善も悪も人それぞれなんだと

5巻で鬼幽様に仕える首長、月笙のセリフは
とってもお気に入りで。

"大差ない…善も悪も…
善悪が対峙しているように見えるのは
そのどちらかに囚われた者が見る
幻想にすぎぬ
善も甘美 悪も甘美 媚薬の如し"

イティハーサの中では
誰に気持ちを重ねるかで
簡単にキャラクターの善悪が揺れ動いていく。

現実世界でもそのままで
自分の中で積み上げてきた
偏見や固定観念が
見ている現実を捻じ曲げる
捻じ曲げていることにも気づかずに…
事実を事実のまま受け入れることが
どれだけ難しいか…

もう一つお気に入りのフレーズがあって
目に見えぬ神々の御教えとして
"自然は決して調和されることはない
ゆらめきこそが自然だからだ
水は流れて水となり
風は吹いて風となる
そしてまた人はゆらいで人となる"
と青比古が教えてくれる

ゆらぎこそ人であって
矛盾こそ生きることであって
どんな自分も自分として認め
透祜と夭祜が魂を一つにし完全体となったように
自分の中の悪も善も矛盾もまるっと
包みこんで許せたら
透祜のように強く、逞しいひとで
いられるんだと思う

イティハーサは
ヴァガバットギーターとも
似たところがあると私は感じている

ヴァガバットギータも珍しく
戦いが舞台となる聖典で、
霊性進化のために内なる自分の戦いが
表面上様々な登場人物達の中で繰り広げられている

イティハーサも
一見人と人との戦いに見えるものの
一人一人のキャラクターが
自分の中の善や悪、そして矛盾と戦い
自分なりの幸せな形を見出していく
その様が読んでいる側も心動かされ
学びとなり、自分の中に落とし込んでいける…
イティハーサはサンスクリット語で歴史
という意味もあるし
水樹さんはギータを意識したところがあるのだろうか〜って勝手に1人で妄想しております

あとはまとまらないので
名言集みたいに好きなセリフ載せます

"カタチを支配するも
カタチに支配されるな"

イティハーサ

目に見えぬ神々の御教え、難題(笑)
簡単に言うと外見に囚われるなとか…
あとはあくまでも肉体は乗り物らしいので、
この乗り物を乗りこなすも
肉体に、死に、この幻想世界に
惑わされるな、振り回されるな
みたいな意味なんでしょうか…ね!

弥仙様のセリフ

"人の生き死にだけが不器用に美醜の間を漂うておりますのじゃ
実際この自然界に美醜はなくあるのは移ろいばかり…それを美しいと感じるのは人の心の有り様です"

イティハーサ

これもまた深すぎる…
なんて美しい台詞なんでしょう〜

鬼幽様の台詞

"人が神を欲するのは人にあらざる力を欲し
善悪のはざまを揺れ動けばこそ
力を求めず善にも悪にもなびかぬ者に
神は必要ない"

イティハーサ

まさに青比古のような存在についてですね
善にも悪にもなびかない…
鷹野も透祜も青比古もそれぞれの形で
亞神にも威神にもなびかない様子が
またいろいろ考えさせられますね

さらに青比古のこのセリフと描写は
たまりません!

"不幸とは無縁だった…
だが不幸と無縁ということは
幸福とも無縁ということだ…
おれは一切と無縁だった…
幸も不幸も…善も悪も…
愛も憎悪も
そうしなければ正気を保てなかった
天地は限りなく美しく厳しく…
おれはそこにただ在るだけでそれでよかった
だがこうして櫛を作っていると…(桂の姿)
これを手渡せない自分が…
無性に哀しかった…
哀しいとはじめて思った…
哀しい分だけ…
哀しみの深さの分だけおれは幸福なのかもしれないと…思った"


波動が高く、亞神や威神からも恐れられる青比古
善にも悪にもなびかず
自分の運命をただただ受け入れ
生にも死にも執着しない青比古が
桂という愛する存在によって
櫛を渡すために生きたい
また生きて会いたいと
芽生えていく気持ちが
生きる原動力を感じさせてもらって
かなりお気に入りです

透祜の台詞

"あたしの中には幸福と不幸が
いっぱいつまっているの
善も悪もどうしようもないくらいつまっているの
でもね、
透祜だった時よりも夭祜だった時よりも
あたしは天地に近づいた気がする
花はとても綺麗に見えるし 空も風も
陽も星も 以前よりずっと綺麗に見える"

イティハーサ

やっぱりこの世界は
山あり谷ありでこそ面白く
善があるからこそ悪があり
そしてその狭間もあり
不幸があるからこそ幸福があり
その中で成長し学んでいく
そうすると見える世界も景色も変わってきて
今まで気づかなかったような
自然の世界にも目が向けられている気がする
 
鬼幽様

"全てを天音に捧げた人々は
天音なき後自力で生きる力があるであろうか
少なくとも威神の戎士は私が消えても
そのことで自刃することはないであろう
戦うのは神と人ではない
常に人と人です"

「生きる力」
それは善でも悪でも
なんでも求めるというエネルギーは
生きる原動力
天音様に頼りきることは
その存在を見失ったとき
露頭に迷う怖さもある
"生きている"と"生きる"は違う
別物だと思わされます

最後に鬼幽様が透祜に伝え、
透祜の中でも腑に落ちた答え

"人は善神によってのみ救われるのではないのです
それぞれにそれぞれの形で救いの道を求めることができるのです"

正解は人それぞれ
ひとつの正解はやっぱり息苦しい
私たちは自分で自分を幸せにできる
善も悪も二元論ではなく
その間を揺れ動いて
ゆらぎがあるからこそ人として
楽しみがあり地球に命を持っている
意味があるのかもしれない〜
と思います

名言集はこのくらいにして
1番好きなキャラクターを紹介!
というとかなりの難題で…
最初は青比古のエネルギーが
どっと読み終わった後入ってきて
しばらく取り憑かれたように
歩き彷徨ったこともあるんですが笑
鬼幽様のあえて威神として
悪の快楽によってのみ生きられる人たちを導いて
彼らがどうすれば幸せになれるか
答えを追い求めていたところも推せるし
一狼太も読めば読むほど
彼の中の葛藤にのめり込んでしまって
彼の繊細な表情や悟ったような発言に
沸々と湧き上がる感情もあったり。。。
月笙も好きで、数々の名言と
全て分かった上で鬼幽様に仕える様子も
かなり好きです…
もちろん鷹野と透祜と桂は言うまでもなく
好きすぎるので
全く決められません!(笑)
結果イティハーサ箱推し(?)です✨
全キャラだいすき❤️笑
あとこだわった名前も含めて最高です!!

イティハーサを読み出すと
しばらく現実世界には戻れない
この世界観の中からむしろ抜け出したくなくなるような圧倒的な世界観。
深く、強いメッセージのある作品です。
まだ読んでいない方はぜひ
読んでみてほしいです。








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