300万台保証は伝説!?

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Last updated: 12/30/2020 09:49:00


山内社長はファミコンのカスタムLSIを発注するに当たり300万台を保証するといったといわれる。 しかし、その辺の事情について山内社長はこう語っている。

「三百万台保証だなんて、そんな発注はしていませんよ。雑誌などにはいろいろ書いてあるようだけど、私はリコーさんに、三百万台発注する、なんて言ってません。あれは虚構の産物ですよ。実際には、どうですか、これ(二千円)でやってみてください、といったのに対して、じゃあ、やりましょう、という話だった。三百万台という話はありませんでした。ですが、ご存知のように半導体というのは量産即ちコストダウンですから、リコーさんが、売れる、と判断して決断されたんじゃないですか。何しろ量産しないとコストは下がらないから、むしろ決断はリコーさんのほうにある。それが実際のところです。」

上之郷利昭「任天堂の秘密」現代出版



また、リコーの浅川俊文常務は
「任天堂さんには泣かされました。ゲーム機とはいえ、立派なコンピュータ。その中に収める半導体チップを2,000円以内におさえろと言うんですからね」と語っている。

 半導体メーカーとしては立ち遅れたリコーが最先端の製造能力を持つ半導体専門工場を大阪府池田市に設立したのは、昭和56年4月の事だった。自社用と外販用の両方の生産を目指したものだったが、この年の外販実績はゼロだった。リコーは大口の外販ルートを開拓する必要に迫られていたのである。リコーがチップを破格の値段で供給する事を約束したのはこうしたリコー側の切羽詰った事情が作用しているといえるだろう。 

どうやら「三百万台保障」は、空前のファミコンブームの中で作り上げられた伝説のようである。
 
 2023年1月30日追記:交渉時に300万台くらいはいけるかもという話はあったが、契約書に保証するとは記載されなかったというのが真相のようです。詳しくは拙著「アタリショックと任天堂」を参照してください。

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浅川俊文氏が寄稿されています。

参考文献:
日経パソコン1985年12月30日号
上之郷利昭「任天堂の秘密」現代出版

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