ライセンスビジネスの利益率
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Last updated: 05/24/2008 08:48:38
長銀総合研究所によると任天堂がSFC用の希望小売価格1万円の標準的なソフトの委託生産料として徴収している金額は3,000円だという。
そしてカートリッジの原価が2,000円ということであるから、ライセンシーには5,000円で売っているということになる。
とすると任天堂のライセンスビジネスの粗利益率は60%(\3,000/\5,000)ということになる。
この数字は日経ビジネス96年2月19日号に掲載されたものである。(*1)
任天堂は部門別の売上総利益は公開していないので、任天堂が96年3月期で公開しているトータルの売上総利益からその真偽を問う。まず、任天堂の有価証券報告書から基本的なデータを抽出する。
売上総利益合計 :\116,375,000,000・・・(A)
ソフト受注高(全額ライセンシーからの受注とする):\117,692,000,000・・・(B)
であるから、ソフト受注高に上記60%を掛けてライセンスビジネスの売上総利益を算出する。ソフト受注高(ライセンシーに対する売上げ)の売上総利益: \70,615,200,000・・・(C=B*0.6)となると売上総利益の総額から(C)を除いた額が任天堂自社ブランド製品の売上総利益となる。任天堂ブランド製品の売上総利益 : \45,759,800,000・・・(D=A-C)
そして
任天堂ブランド製品の売上が :\182,789,000,000・・・(E)
なので
任天堂ブランド製品の売上総利益率は :約25%・・・(F=D/E*100)
ということになる。一方、任天堂ソフト・ソフト受注高以外(ハード類・トランプなど)の売上総利益は
売上総利益総額から自社ソフトの売上総利益を控除すれば求まるから、まず任天堂自社ソフトの売上総利益を求める。
まず、任天堂ソフトの売上総利益率をライセンシーと同じ60%と推定すると、
任天堂ソフト売上高が: \78,710,000,000・・・(G)
なので
任天堂ソフトの売上総利益は : \47,226,000,000・・・(H=G*0.6)
と任天堂ブランド製品全部の売上総利益\45,759,800,000(D)を超えてしまう。ということはハードなどは赤字で売っていることになる。
ハードを赤字で売っていたということがありうるだろうか?
96年3月期なら、SFC発売から数年がたち、もうハードでもかなりの利益が出ていてもおかしくないはずである。
長銀総研の数字はその信憑性を疑わざるを得ない。自社ソフトの売上高総利益率をもっと低く見積もれば話は別だが、長銀総研の矢田真里氏は自社ソフトのほうがライセンシー向け販売よりも利益率が高いと書いているのだが。(*2)
参考文献
(*1)逸見啓・大西勝明「日本のビッグ・ビジネス 任天堂 セガ」大月書店
(*2)矢田真里「ゲーム立国の未来像」日経BP社p68
任天堂96年3月期有価証券報告書
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