自民、公明、共産は崩壊期に突入した
組織の発展と衰退には共通する傾向がある。
今回はその話をしよう。
わたしが比例の得票数に注目していたのは比例の得票数が組織の状況を確認するのにわかりやすい指標だからだ。
今回、自民党は歴代最小の1461万票。これは民主党に負けて下野していた時期よりも少ない得票数だ。公明党も700万どころか600万を割り込み596万票、さらに党首と副党首も落選する異常事態。共産も候補者を200人以上擁立して、裏金追及などで活躍したにもかかわらず民主党政権が誕生した無風の2009年選挙並みの大敗を喫している。
共通しているのはいわゆる組織票を固めて戦うという選挙の在り方の変化だろう。今の時代、組織活動をまじめにやって地道に増やしていくというやり方では勝てなくなりつつあるのだろう。都知事選を見てもそうだが、新しいやり方が求められているのだ。国民種もSNSなどをうまく使って戦った。だが、共産党も公明党も活動家たちが高齢化し、SNSを使いこなすような選挙に対応できていないという問題点がある。
さて、この辺りまではまあ誰でもできそうな分析なので、もう一歩踏み込んでいこう。
多くの組織は勃興期、発展期、安定期、衰退期、崩壊期のような推移をたどる。
わたしの見立てでは今回の2024年衆議院選挙で、自民、公明、共産は崩壊期に突入したことが確認できた。
自民党の場合、実は2012年衆議院議員選挙から見て、3回連続で増加傾向にあった。安倍政権時代はネットを野党よりもうまく使いこなしており、若者の7割が自民党支持というほどの強さを示した。
けれども、自民党全体でみると、自民党はすでに衰退期に突入していた。それを第二次安倍政権では嘘とごまかしで何とかごまかしてきたが、2022年7月8日、安倍晋三の死によって崩壊期にめでたく突入した。
公明党も、創価学会三代目会長のカリスマ指導者池田大作が昨年死去したことで崩壊は避けられなくなった。
共産党も長年共産党を理論的に引っ張ってきた不破哲三議長が今年1月に中央委員会から退任した。立て直すための方策をいまの指導部はもっていない。崩壊は時間の問題だ。
各政党の時期を見てみよう。
勃興期
自民 1955年~1972年(高度経済成長期~沖縄返還まで)
公明党 1964年~19??(正確な年数はわからない)
共産 1923年~45年(設立~再設立まで)
発展期
自民 1972年(オイルショック)~1993年(バブル崩壊、細川連立政権誕生まで)
公明党 19??年~1999年(自自公連立政権)
共産 1945年(暴力革命路線からの転換)~1970年代(革新自治体まで)
安定期
自民 1955年~1972年
公明党 2000年(自公連立)~2009年(下野まで)
共産 1970年代(革新自治体)~90年(ソ連崩壊直前)
衰退期
自民党 2009年~2022年(安倍晋三死去)
公明党 2009年(野党時代)~2023年(池田大作死去)
共産 1991年(ソ連崩壊)~2023年(不破議長退任)
崩壊期
自民党2022年(安倍晋三死去)~
公明党2023年(池田大作死去)~
共産党2024年(不破議長退任)~
このように、経緯や期間こそ違えど、共通して最後のフェーズ、崩壊期に突入した。
崩壊期最大の特徴は後戻りすることはないということだ。わかりやすくいうと、もう見込みがないということだ。
衰退期でも、最後の花火のように勢力を盛り返すことがある。
自民党なら第二次安倍政権、日本共産党だと民主党政権崩壊後の2013年参議院選挙、野党共闘での存在感など。その後、中興の祖が現れて復活することもまだありえる。
しかし、崩壊期には後戻りがないので、崩壊まで一直線。立て直すのはもう不可能だ。
自民党は総裁選で墓穴を掘り、自らの組織の底の浅さを露呈した。公明党は党創設の目的だった池田大作を守るという目的が消滅した。共産党はパワハラなどで若い世代から敬遠されて、世代的継承に失敗した。
当然ながら、自民、公明、共産が崩壊すれば日本の政治、経済、社会システムは大きな変革を避けられない。
それは早ければ来年、遅くとも3年以内には訪れるだろう。
もし、そのとき大胆な変革をもたらし、文字通り今の老朽化した日本の政治、経済、社会システムを作り直すような野心的な指導者が現れなければ、日本という国自体がバブル崩壊後の長きにわたる衰退過程、失われた30年の先、終わりの10年に突入することは避けられない。
さあ、そう遠くないうちに、日本の終わりを見ることができる。
今回はこれからの日本の未来を暗示する非常に興味深い結果になった。
来年の参議院選挙、この3政党の衰退はますます明らかになる。誰が指導者になろうがもう大した問題ではないのだ。
問題はどうやって、この高齢者政党を安楽死させるかにすでに移っている。残念ながらそのことに気づいているのはたぶん日本で100人いないくらい少数だ。
果たして国民はこの厄介な高齢者政党を退場させることができるだろうか?
結局、自分にそんな重要な決断はできない、そうやって官僚たちと同じように先延ばしするならば、それこそが日本の終わりを招くことになる。
「お前たちはまだ2040年まで日本が持つと思っていないだろうな?」