政治に関心はあるけどなにしたらいいいかわからない人向け~難易度別~
政治に関心はある。でも、なにしたらいいかわからない。
そんな人がするべきことはまず投票にいくことだ。
だが、投票所にいきなり言っても誰に投票すればいいかわからない。
今回は「選挙にはいくつもり」、「政治をよくしたい」と少しでも思う人向けに、具体的な行動を難易度別にいくつか提案してみたい。
・初心者向け~演説を見に行く~
まず、初心者がやることは演説を見に行くことだ。
誰に投票するか知るためには候補者を知らないと話にならない。適当に入れて後悔するのは賢い有権者とはいえない。そこでまずは演説を見に行って候補者を知る必要がある。
最近の候補者は大体SNSをやっていて、演説の予定を告知することもある。演説が近くでやっているときでいいのでぜひ聞きに行ってほしい。
最近は演説の様子をyoutubeやインスタなどSNSにアップしている場合もあるので、それを見てもいい。
衆議院選挙には600億円の費用が掛かっているといわれる。国民一人当たり500円くらいかかっていると思ってほしい。あなたが持っている投票権には500円の価値(場合によってはもっと高い価値)があるのだ。
もしこれが投票権ではなく500円玉だったら、使わないなんてことはありえない。もっとわかりやすい例だと、投票日までが有効期限の500円引きクーポンだと考えてみよう。主婦の皆さんは絶対に無駄にしないはずだ。500円をどう使うか、できるだけいい買い物ができるように試行錯誤するだろう。
同じことを選挙でもやってほしい。
「自分の投票権には500円の価値がある」
そう思うと、これを無駄にしようなんてとんでもない罰当たりに思えてくるから不思議だ。選挙に行かない友人がいたら、この話をしてあげるといい。多少興味を持ってくるかもしれない。
さて、演説の話に戻るが、演説からわかることはたくさんある。
多くの人は候補者が何を言っているかに注目するが、できれば動画ではなく実際に演説している人の話を聞きに行ってほしい。映像は加工されたものであり、実際の演説と違う場合がある。動画の場合は編集済みで言い間違った部分などを削除していることもある。現物を見たらうまくしゃべれていなかったりすることもある。
もう一つ、実際に行った方がいい理由として、動画だと話し手に注目が集まり、聴衆やビラを配っているボランティアの姿までは見えないという問題点がある。
実は選挙で重要なのは候補者ではなくて、候補者を応援するために集まっている人たちの方だ。彼らがどれくらい熱心に応援しているかで、候補者の人間的魅力を図ることができる。
もし候補者が駅前などの人が多い場所で一人で演説してビラを配っていない場合、組織的な動員がかけられないか、人気がないと判断できる(準備不足の可能性もあるし、日時場所の問題もある)。それは編集されている動画よりもはっきりとわかる。
応援している人はビラを配っていることもあるので、その場合はビラを持って帰るといい。
これはあくまでわたしの個人的な経験だが、ビラを配っている人はビラを受け取ってもらえないと結構へこむ。自分が応援している候補ならなおさらで、ビラ配りの人のために応援している候補でなくてもビラをもらっておくといい。配っている方はビラを受け取ってもらうとうれしい気持ちになる。候補者のために頑張っているその人のためにもらってあげるといい。
ビラには連絡先やSNS、政策のまとめ、それらが掲載されたサイトのURLなどがあるかもしれないので、そこから候補者についてもう少し深く知ることができる。
・中級~演説でビラを配っている人に話しかけてみる、SNSの情報収集~
ここからは中級者向けになるが、演説に行ってビラをもらったらビラを配っている人に質問してみるのもいいだろう。
質問することは3つ。
1つ どうしてその候補者を応援しているのか?
2つ 候補者のいいところはどこか?
3つ 応援できないと思うところはどこか?
候補者を応援する理由は重要だ。なんとなく組織に動員されている人ばかりだと、組織票のイメージが強くなる。ボランティアなら応援する理由を熱心に教えてくれるだろう。
候補者のいいところを聞くのは、それが自分が投票を決断する理由になるかもしれないからだ。
最後に、候補者のダメなところを思い切って聞いてみよう。
これらの質疑はできれば1分以内にまとめる。タイミングは演説が始まる前か、終わる直前がいいだろう。ビラ配りをしている人の中には応援している候補者の話を聞きたい人もいるだろうから(何度も演説でビラ配りを経験している人は気にしないと思うが)。
こうして演説にいき、ビラをもらう。そしてできればビラを配っている人に質問をしてみることで候補者に対して立体的な情報を収集することができる。
可能ならこれを全候補者にたいしてやってみるのがいい。衆議院選挙の場合、多くても7人、少ない場合は2,3人なので、実際に聞きに行ってみるのがいい。
演説を実際に聞いてみたらその話をすることも大事だ。自分の印象でいい。
「今度選挙あるでしょ。たまたま??の演説を聞いたんだけどさ~」みたいな導入で反応を探る。笑い話にしてもいいしそこはどうでもいい。
自分が思ったことを家族、友人、知人がどう思うか探る。これは初心者でもできると思うがやや中級者向けだろう。
知り合いに政治の話はしづらいという人の方が多いと思うが、自民党の裏金問題とかはニュースでもやっているだろうから流れで話をすることもできるだろう。可能なら、投票権には500円の価値があるから行った方がいいというわたしがさっきした話でもしてみたらいい。
いろいろな人に演説の話をしているうちに、自分で疑問に思うことも出てくる。そういう場合は候補者についてもらったビラなどから調べてみるといい。
候補者はたった数人なんだから、可能なら全員調べてもいいがそのなかでいいと思う候補者が見つかれば投票所で名前を書こう。
・上級~選挙をちょっと手伝ってみる~
もし選挙区で応援したい候補がいればふたたび演説を聞きに行ってみるといい。今度はちゃんと話をしてみたり、ビラ配りを手伝ってみるのもいい。かなりハードルは高いが、そういうちょっとした応援が励みになる。
あまり負担になるような手伝いはあまりお勧めしない。
「近くに演説していたら、聞いてみて、よかったらちょっと手伝ってやるか」くらいのスタンスが少なくていいだろう。仕事が忙しくてそれどころじゃないという人もいると思うので、あくまでできる範囲でいい。今回は日程が急なので合わせるのも難しい。「少し」「できる範囲」というのが選挙では重要だ。
選挙の応援というと、特定の党に入るとか、選挙事務所に手弁当で入るというステップがあるが、今回は入門編なのであくまで無党派層でできる範囲内のことを提案していく。
あとはSNSなどを使った投票依頼だ。
「??候補はいいと思う」とか発信するのだ。
ただし、公示日から投票日の前日までにしないといけない。投票日に特定の候補者に投票依頼すると公職選挙法違反になるので注意だ。その場合でも「選挙行った?」とか「選挙いこう」は別に問題ない。これを棄権防止活動という。
そして、最後は自分も選挙に行く。できれば家族や知人と一緒に行くといい。一人で投票に行くのもいいが、知り合いといった方が軽い雑談もできる。普段あまり政治の話をしない関係でも投票日くらいはできる。意外な側面を知ることができるかもしれない。
投票日
この記事を投票日に読んだ人へ。残念ながら演説を聞いて判断することは難しい。
何も考えずに投票にいくのではなく、せめて選挙公報を見てみよう。これには候補者が訴えたい政策などが書いてある。そのなかで気になるものがあれば名前を憶えてから選挙に行こう。
演説を聞いて、候補者について多少下調べした人は最終的にだれに投票するかを決めよう。
10月15日から2024年衆議院議員選挙の期日前投票ができる。忘れっぽい人は、早めに投票しておくといいだろう。
まとめ~選挙を通じて関心を高めていくことが大事~
重要なのは他人がどうするかではない。
この入門編はあくまで自分が選挙に関心を持ち、選挙について詳しくなるための最初の一歩をどうすればいいか提案するものでしかない。
まずは自分が重要だ。自分がだれに投票したいか、それをまじめに考える必要がある。500円クーポンで何を買うか悩むのと同程度でいい。最初からがっつりは求めていない。とにかく、選挙に関心を持つ。演説を聞きに行ってみる。話してみる。そして投票所に行って候補者の名前を書く。
選挙に行こうというキャンペーンは
投票に行くこと=選挙
だと誤解させているように思う。投票に行くだけではなく、投票するための下調べも含めての選挙だということを忘れてはいけない。修学旅行の計画を立てずに修学旅行にいくことはないのと同じだ。
どんな商品かわからないものに500円を使う人はいない。それはギャンブルと同じだ。
選挙の時だけ何も考えずにバカになるのだけはやめてほしい。500円の商品を購入するときと同じ程度の慎重さで投票先を決めよう。
自分の望む候補者なんてものは自分の選挙区にはいないかもしれない。それでも、まずは知ることが大事だ。政党という看板だけを見て投票すれば、自民党だからでごみ議員が当選する。野党でもそれは同じことだ。候補者本人を見て知って投票所に向かってほしい。
これを日本の有権者の5%でもまじめにやってくれれば日本の政治は大きく変わる。
今回はまず関心をもって少しでも動いてみることが大切だ。ひょっとしたら次の選挙ではあなたが候補者になったり、応援する裏方に回るかもしれないのだ。
そういう普通の人が増えていくことがこの国に民主主義を取り戻す第一歩になるのだ。
今回の小さな一歩が次に、たとえば来年の夏に参議院選挙、都知事選へとつながっていくことを願っています。