
相談に乗るのって難しい
先日、ある女友達の方と長時間通話することがあった。
そこでは話も盛り上がり色々センシティブな話もあって深い話になった。普段人には話せないような内容の相談をしたりされたり、そのような時間になったのだ。
その友達は最後に「打ち明けたのが初めてだったからこうやって話聞いてくれて嬉しかったありがとう」と言ってくれた。その言葉に自分も少しでも役に立てて良かったなとも思いつつ、脳内では反省会が始まった。
そこで思った自分の後悔と反省を自戒も込めて言語化しておこうと思う。
ちなみにきっと彼女は多分気にしていないだろうし、自分が重く考えているだけなのはわかっている。ただし私は心理学科として大学で少なからず「こころ」について学んできた。一環として「相談」に関することも習った。それを活かしきれなかったことに悔しさを感じる。そして彼女に対して自分の中であるべきものとは違う反応をしてしまったことと戸惑いをさせてしまった(後述)ことへの後悔と、何より自分自身がそのような自分を治していきたいと思うため、言語化していく。
自分語りが多かった
彼女が話してくれた悩みに対して「それってこうじゃない?」「自分はこう思う」という自分語りをしてしまった。
ずっと一人で話していたため、自分がしゃべりすぎてるぞとふと気づいてから「解決?それか話を聞いてほしい感じかどっちだっけ?」と切り出せました。ネットとか巷の意見では「相談」とは解決というよりも話を聞いてほしいというニュアンスであることが多いということを思い出せたので聞くと、彼女も案の定後者でした。その瞬間とても反省しました。自分語りをやめて、彼女の話を聞くことに専念する意識を途中からでも持てたのは良かったけど、最初からできるようにしたい。
自分の意見なんて彼女は究極興味ないし、押し付けになりかねない。強要になりかねない。最初に(解決を求めているのか話を聞いてほしいだけかの)スタンスを確認してから、それに沿った対応をすべきだった。
決めつけをしてしまった
相談してくれたことに対して自分の体験や経験を元に(自分がそうだったから彼女もそうだろうと決めつけて)自分の考えを話してしまった。
その時の彼女の相談内容としては自分の恋愛や性的指向が周りとのギャップを感じるという話だった。自分はセクシュアルマイノリティの自覚があったため(別記事参照)その経験をもとに知識もあったので「こういうマイノリティもあるから大丈夫だよ」という旨を言った。
これは非常に良くなかった(彼女の反応が自分の意図とは違うものと気づいた瞬間、謝ったら大丈夫だよと言ってくれたけど)。私の意図として過去記事でも書いたが自分がラベリングされていたことで「自分だけじゃないんだ」と心が軽くなった経験があったためそれを彼女にも感じてほしかった。ただ彼女としてはそれを知ったときに「こういう名前があるってことはいわば多数派ではなく少数派としての括りである」すなわち「普通じゃないんだ」という想いを抱かせ、戸惑わせてしまった。そこへの配慮がなく、いきなりこうだよと言ったことに反省している。
これの対応策としてもやはり「傾聴する」ということに繋がると思う。一通り聞いていれば彼女の悩みのニュアンスを認識してから対応できたからだ。次からはとにかくそうしたことを意識して相談に乗れたらいいと思う。
心理学を学ぶ上でとても印象に残ったこと、そして今回改めて覚えておきたいと思いだしたのが積極的傾聴(Active Listening)である。米国の心理学者でカウンセリングの大家であるカール・ロジャーズ(Carl Rogers)によって提唱された人間尊重の態度に基づくカウンセリングである。自らがカウンセリングを行った多くの事例(クライエント)を分析し、カウンセリングが有効であった事例に共通していた、聴く側の3要素のことである。
自戒の意味も込めてここに残しておく。
1.共感的理解 (empathy, empathic understanding)
相手の話を、相手の立場に立って、相手の気持ちに共感しながら理解しようとする。
2.無条件の肯定的関心 (unconditional positive regard)
相手の話を善悪の評価、好き嫌いの評価を入れずに聴く。相手の話を否定せず、なぜそのように考えるようになったのか、その背景に肯定的な関心を持って聴く。そのことによって、話し手は安心して話ができる。
3.自己一致 (congruence)
聴き手が相手に対しても、自分に対しても真摯な態度で、話が分かりにくい時は分かりにくいことを伝え、真意を確認する。分からないことをそのままにしておくことは、自己一致に反する。
もう一つアサーションという言葉も改めて意識したい。
アサーションとは、自分も相手も大切にした自己表現やコミュニケーション手法のことです。アサーションでは、自己表現をより深く理解するために、自己表現のタイプを「受け身的」「攻撃的」「アサーティブ」の3つに分けて考えます。
受け身 → 自分自身より他者を優先、自分の気持ちや意見を率直に表現できない
攻撃的 → 他者より自分自身を優先、相手への配慮がない
アサーティブ → は自分も相手も尊重する気持ちが同時に存在、自分の気持ちや考えをその場にふさわしい方法で表現できる
ぜひ、アサーティブなコミュニケーションを心がけたい。
※過去記事はこちら(セクシュアルマイノリティの話)