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日記 2023.12.1(金)

今日から12月。あっという間という感覚はなかった。おだやかで濃厚な2023年だったなとふと、振り返ってみる。
これまでずっと、流れに身を任せ過ぎてきた日々を過ごしてきた。瞬間、瞬間に判断して動いていくのは楽しいけれど、じっくりと考え、自分でひとつひとつ選んでいく日々はもっと好きだと思った。

内側までしっかりと冷たさが伝わってくる朝。今日は寒いらしい、友だちが言っていた。
野菜ジュース用のバナナを買ってくるのを忘れていた。バナナなしの野菜ジュースを作る。にんじんもない。牛乳の代わりに豆乳で作ってみる。はったい粉があるので最近は野菜ジュースに入れている。なんとも言えない味わいになった。

午前中は今日のコンサートに着ていく服に洋服にアイロンをかける。うっかりスカートのファスナーの部分を気にせずアイロンをかけてしまいできたテカリにホワイトビネガーで作ったスプレーを吹きかけてみた。もう一度アイロンをかけると魔法のようにテカリが消えてびっくりした。おもしろくなってそのままシワ伸ばしとして使ってみた。ややお酢のにおいは残っている気がするものの、ふんわりと仕上がった。ほかの服もたくさんアイロンがけをしてみた。
アイロンがけは無心でできる楽しい家事だ。専用のスペースを設けておいていつでもアイロンがけができるようにしておきたい。アイロン台を出して、アイロンをセットしてという動作がはいるとどうしても面倒になってしまう。
アイロンがけを最大限に楽しめるスペースをわたしの部屋にも用意しておきたいとずっと思っていた。テレビを床に下ろしたことで台の上が空き、最近になってアイロンスペースを確保することができ、すごく嬉しい。

コンサートは19時から。お昼を食べたら出発して、会場の周りを散歩しようとも思ったけれど、疲れてしまうかもと思いやめた。
お昼ご飯はあたたかいうどんにして、余っている餃子の皮をさらに入れてボリューム満点にした。夕飯は軽めに何処かで食べればいいようにと思ったのだった。
お昼ご飯を食べて少し横になる。確かに今日は冷える。足元用ヒーターの前に寝転がり、足先と手を温める。同じポーズでストーブの前にいた猫を思い出す。猫はいつでも一番あたたかい場所を知っている。ストーブの前を堂々と占拠する猫にどいてくれとも言えず撫でると、迷惑そうににゃーとなくのが可愛かったな。いまはお空の上にいるふーちゃんになった気分で背中を丸めて少しの間眠った。

起き上がり絵を描く。寝起きに撮った、クマたちを描くことにした。うちには3匹のクマと1匹の猫がいる。と言ってもぬいぐるみだが。一緒に寝ているはずの彼らの朝の姿がいつも面白い。朝一番にわたしを笑わせてくれる楽しい彼らに毎朝感謝している。

日課も終わり、玄関もさっと履いておいた。お風呂場に着替えとタオルも用意しておいて、帰ったらお風呂に入ってすぐに眠れる。何にも気にせずに楽しむ準備は整ったぞ。

着て行こうとしていた服を着ると、野暮ったくなんだかしっくりこない。もしかすると昨日切り過ぎた前髪のせいかもしれない。ネイビーのコーデュロイのスカートに合わせたコーディネートはやめて、ブルーのシャツとチャコールグレーのニットベスト、黒のスラックスに変更した。ぱつんと短い前髪には少しかっこいい服の方が合うようだ。昨日の夜なぜか思い立って作った、フェルトのシュシュもつけてみた。

干しておいた大根の皮を取り入れて出発。外は少しずつ暗くなってきた。建物は暗く、遠くの空がほんのり色づくこの時間が大好きだけど、外を歩く時は注意しなければいけない時間帯だ。
イヤホンもせず、外の音を聞きながら駅へ向かう。今日も寺尾紗穂を聴かないようにしている。

溜池山王駅へ着いたのが17時50分。18時半の開場まで意外と時間がないことに気づく。入り口の場所を確認しておいて、まだ人が少なかったので写真を撮る。近くのカフェでささっとパンとアメリカーノを買った。18時になるとたくさん人が集まりはじめ、少し焦りながらテラスでパンを2つ食べきった。

サントリーホール 小ホール

会場はサントリーホールの小ホール。整理番号順の入場で自由席だった。わたしは31番で比較的早くに入場できた。前から2番目の席を取ってお手洗いを済ませ、絶対に買うと決めていた楽曲選集2を買った。19時きっかりに始まったコンサート。寺尾紗穂さんはブルーグレーのプリーツの入ったワンピースだった。少し笑みを浮かべながら登場した寺尾さんをみて、安心して涙が止まらなくなってしまった。会えてうれしい、心から思った。かわいい楽曲、風はびゅうびゅうからコンサートは始まる。一部はずっと、涙がとまらないまま聴いていた。寺尾さんのことばひとつひとつ、歌声のひとつひとつに気持ちがのっていてそれがホール全体に届いていた。二部はドローイングとのコラボレーション。それぞれ1時間ずつ、たっぷりとした時間だった。

帰り際に勇気を出して列に並び、楽曲選集2の裏っ側にサインを入れていただいた。震えて何もしゃべれないわたしに、寺尾さんはピアノを弾かれるんですかと聞いてくださった。お話できてうれしくて、余韻でしばらく震えがとまらなかった。
まいちゃんからもらったすてきなすてきな靴下を履いていたおかげか、足は震えずにしっかりと立つことができたので名残惜しさを感じながらも楽曲選集を抱いたまま帰ってきた。空気は冷たく頬はいたい。けれど楽曲選集はわたしの手を、帰り道ずっと温めてくれた。

クリスマスプレゼントのような夜だった。



勇気を出してひとりでもコンサートへ来てよかった。勇気を出して列に並び寺尾さんとお話できてよかった。勇気がわたしにご褒美をくれたのかもしれない。
自由に、自分らしく、勇気を持って進んでいくのだ、楽譜の中からそんな声が聞こえた気がした。




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