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日記 2024.10.20(日) 熟した柿があれば。

寒さを覚悟して寝た昨日。今朝はやっぱり空気がひんやりしていた。毛布と布団にぎゅっと巻きつき7時までぐっすり眠った。

目が覚めたらお母さんはいつのまにか起きていて部屋にいなかった。全然気が付かなかった。よく眠っていたということだろう。

今朝はお母さんはあんまり機嫌が良くなかった。昔からこういう朝がある。今日はあんまり突っ込まずそっとしておく。お父さんは多分5時くらいから起きているので朝ご飯の前にうとうとしていた。目覚ましに温かいお茶を淹れてお父さんに渡す。温かいお茶がじんわりしみる季節になってきた。

キャベツとさばの缶詰を炒めたもの、お味噌汁、大根おろしで朝ご飯。いつもよりも少し遅く8時に食べる。お父さんが今日やりたいことを発表してくれる。コンポストの二つ目を埋めるのと、そろそろ干し柿を準備したいと言っていた。一緒にやってみたいと思う。

昨日は雨で洗濯物を家の中に干しっぱなしにしておいたので片付けていく。わたしのパンツのポケットの部分だけまだ乾いていなかった。今日は空気は冷たくても良く晴れているし風があるので洗濯物は乾きそう。外に洗濯物を干していく。やっぱり洗濯物はお日さまにあてて乾かしたい。

コンポストが出来てから生ごみが溜まっていくのが嬉しい。お父さんが作った特大の焼酎のペットボトルを切って作った生ごみ入れを持ってコンポストへ。お母さんもコンポストを楽しみにしているから近づいてきて一緒に見学。まだ動きはないけれど毎日何度でものぞいてみたい。生ごみを入れ、畑の土を入れて少し混ぜておいた。

柿を取りに行く準備を始めたお父さん。わたしは出かける前に洗濯物を片付けてお風呂掃除をしておきたい。ご飯がもうないことに気づいてお米も研いでおく。圧力鍋にお米を入れて火をつけて、台所で栗の処理をしていたお母さんにバトンタッチする。

外に出る。お父さんが昔住んでいた家のそばにある柿の木まで軽トラックで向かう。ここは「下の畑」と呼ばれる場所で斜面に小さな畑が広がる。昔はさつまいもを植えたりしていたようだが今は使っていない。斜面だし、水道もないから畑にするにはなかなか管理が難しそうだが、高い場所にある柿を取るには最高の場所かもしれない。

うちには富有柿、渋柿、あたご柿、三種類の大きな柿の木がある。熟したあたご柿はお母さんが好きな柿、お父さんは富有柿が大好きらしい。それぞれ形や大きさが違うから混ざってもすぐに分かる。柿にこんなに種類があること、うちに三種類の柿の木があること、わたしは知らなかった。

高枝鋏と長い竹の棒を使って高い場所にある柿を取る。高枝鋏は重たいのでわたしには軽い竹の棒の方が使いやすい。竹の棒は柿を取るために先の方が少し割ってある。竹の棒の割れ目の幅は、狭くてもいけないし広すぎてもだめ。ちょうど柿のなる場所付近の枝の太さに合った幅でないといけないらしい。割れ目に枝をしっかりと差し込んでひねって枝を折り収穫する。折るとずしっと柿の重みがのしかかってくる。三つ、四つ、実がついている枝を折るとかなり重たくなった。柿の木はぽきっと折れやすいから木に登って実を取る場合は注意しなければいけない、とお父さんに教えてもらった。

たくさんの柿がなっていてお父さんと二人ではしゃぎながら収穫する。今年は特に、お母さんの好きなあたご柿が大きな実をつけている。これはお母さんの機嫌がなおるぞとお父さん。素直になれずにいつも喧嘩を繰り返しているお父さんとお母さん。二人はわたしには理解できないところでちゃんといつもつながっていて、いまも一緒に暮らし続けている。

お父さんは上を見上げると首が痛くなるのでわたしが枝を折り、お父さんはハサミで枝をカットしていくというように役割分担してやっていく。時々折った枝をどさっと下に落としたりするけれど、だんだんと慣れてはさんだ枝をそのままお父さんに渡すことができるようになった。
きりのいいところで一旦作業をやめて家に帰る。お母さんのために取った大きなあたご柿を見せる。お母さんはすぐに機嫌が戻っていた。

13時すぎ、弟と赤ちゃんがやってきた。奥さんはおでかけということで二人でやってきてくれた。赤ちゃんの声が聞こえるたびにまわりから歓声が上がる。自分の子どもかわいいかわいいと言ってもらえて弟も嬉しいみたいだった。

こんなにじっくりと赤ちゃんの成長を見るのは初めてだとお母さんが言っていた。確かにそうだなとわたしも思う。友だちの子どもには時々しか会わないからあっという間に大きくなってしまうように感じるけれど、毎月のように成長を見せてもらっていると赤ちゃんはじっくりと確実に、少しずつ成長しているんだなということがよく分かる。

お父さんは子どものようになって赤ちゃんとたわむれる。無邪気なお父さん、孫に会えて本当にうれしいという素直な気持ちが伝わってくる。赤ちゃんの前では誰もが素直になる。
赤ちゃんを中心ににぎやかな時間は過ぎ、二時間くらいで弟と赤ちゃんは帰って行った。はいはいまでもう少しというところ。わたしが次に会う時は自分で前に進むようになっているだろう。

自分の子どものことをこんなにかわいいと思うとは思わなかったと弟が言っていたのが印象的だった。いつの間にか弟は結婚して子どもを授かり、しっかりとお父さんになってきている。

まだ1/3しか収穫できていない柿を取りにもう一度「下の畑」へ向かう。楽しいからお母さんも来ればいいのに、とお父さん。たくさんの柿が木になっているのをお母さんにも見せたかったのだと思う。

柿を取ること、畑仕事やいろんなことをお父さんの父であるじいちゃんの姿をみて覚えたというお父さん。じいちゃんがお父さんにああしろ、こうしろと言ったことはなかったらしい。
本当に伝えたいことはことばで伝えるよりもその姿を見せ続けるほうがしっかりと伝わっていくのかもしれない。

夕方お母さんとドライブ。代車が来てからまだあんまり車を運転していないので練習しようということになった。少し走ったら感覚が戻ってきたとお母さん。毎日のように運転しているからわたしよりも感覚を掴むのは早いはずだ。
お父さんが、お母さんも柿を取りに来たらいいのにと言っていたと伝えてみたけど余計なことだったかもしれない。

夕方からしっかり冷えてきた。ここのところ朝晩の冷え込みが強くなってきている。外で干し柿の準備をしていて冷えてしまったお父さんのためにお風呂を沸かす。家中の窓を閉め、ストーブをつける。

今日はみんなお腹いっぱいだったので夕飯はお味噌汁たっぷりのシンプルな夕飯にする。もやしを買っていたのを思い出しナムルにしてみることにした。電子レンジ600wで3分加熱したもやしにすりおろしたニンニク、ごま油、おしょうゆで味付け。海苔が入っていたナムルを見たことあるような気がして入れてみた。これくらいの軽い夕飯がいいのかもしれない。

たくさんの大きな柿を前に満足そうなお母さん。熟したあたご柿がひとつあったので今日のところはテーブルに飾っておいて、きっと明日食べるのだろう。

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