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社交ダンス;ダンスと慣性の活用⑤
「運動理論に基づくダンス上達法」下山 藤樹 著 から抜粋・引用
【 】は私のコメントです。ゴチックにしました。
慣性の強さは、推進力の強さに比例します。強い推進力でボディを推進すれば、強い慣性がボディにつきます。この慣性を活用して、ボディを移動したり、ライズをしたり、そして、回転(方向転換)をしたりしながらダンスを踊ります。
このため、慣性の活用の仕方を体得することが、ダンス上達の必要条件なのです。しかし、アマチュアは、慣性を活用して踊るということは、殆ど念頭にない踊り方をしています。
アマチュアの多くは、膝を突っ張ったり、慣性と無関係に膝や足首を屈伸し、全く、慣性を無視しています。
ダンスでは、ボディを推進したら、その後の動作は、全て、慣性を活用して踊ることが原則です。そして、一つのフィガー(または一小節)を、一回だけの推進で踊り終えることが原則です。
このためには、フィガーのスタート時(踊り始め)に、強い推進力を作り、その推進力を利用して、ボディを推進します。そして、推進した後は、慣性を活用して、ボディを移動したり、回転したりしながら踊ることが大切なのです。
この踊り方を「ワンスウィング」または「ワンフォース」動作と呼んでいます。
この動作で踊ると、ムーブメント(動き)が大きく・スピーディになり、スムーズでリズム感が表現されます。
慣性を活用するためには、その慣性(ボディスピード)に軸足関節の屈伸スピードを同調させ(合わせ)なければなりません。
例えば、ブランコに乗って、ブランコの周期(速さ)を一定にするためには、ブランコの動く速さと、膝を屈伸する速さとを同じ速さにしてブランコを漕ぐことが大切です。
ボディスピードと膝の屈伸スピードが合わなくなるとボディスピードは原則します。ボディスピードと膝・足首の屈伸スピードとを同じ速さで行うことを「同調動作」と言います。
アマチュアの欠点は、同調動作がないため、慣性(ボディスピード)を持続することが出来ません。結果的に、一歩一歩ステップして踊ることになってしまうのです。
このため、ワンスウィング動作で踊ることも出来ませんし、ムーブメントもギクシャクしたものになってしまいます。ダンスは、全て、重力を活用して推進力を作り、(スウィングダンスはロアー動作で、タンゴはタメ動作で)、推進した後は、慣性を活用して、ワンスウィング、または、ワンフォース動作で踊ります。
タンゴは、原則として、ライズ&フォールをしないため、各フィガーのスタート時にタメ動作で推進力をつくり、そして、瞬発しながら、ボディを推進します。
瞬発した後は、慣性を活用して、ムーブメントを持続させながら、ボディ移動・回転などを行ない、フィガーの終わりで「急停止」し、一瞬「間」を置きます。
慣性によるスムーズな動きと、急停止動作による動作との対比で、強いリズム感を表現し、そして、一瞬の「間」をアクセントにして、強いメリハリを表現して踊ります。
【ダンスの推進力は第1歩目で作ります。この一歩は強い推進力を持たなければいけません。ですから、フットワークは<H・T>なのです。そして何回も繰り返しますが、男女に関わらず、前進者がこの推進力を作ります。女性が前進者になったら「連れてって!」ではダメなのです。二人の推進力はこの場合は女性が作るからです】。
【ひとつのフィガー(一小節)に1回の推進力です。後は惰力で動きます。決して欧米人のダンスは1歩1歩歩きません。だから滑らかに大きく動けるのです。脚力で一歩一歩歩いてしまうと盆踊りのようになってしまいます】。
【スウィングダンスはロアーの勢いで推進力をつくり、タンゴはタメ動作で急推進し、急停止して「間」をとる。この繰り返しで踊ります】。
【初心者によくある、一歩一歩を等間隔でステップし同じリズムで動く、イメージではないと思います。そしてムービングフットが床に着いたときリズムが合うとカウントが合っていると思ってしまう】。
【「同調動作」が理解できない人は、自分が乗っているブランコを止めたい時や、走っている状態から減速する動作を思い浮かべれば、理解できると思います】。
以上です。
この投稿はシリーズです。社交ダンスの踊り方は人それぞれで楽しく踊るのが最大の目的です。競技ダンスやデモではないので他人の評価を重要視しません。しかし、ちょっとでも、最小の努力で、最大に綺麗に踊れたら、という社交ダンサーの望みを叶えられたらという気持ちで投稿しています。自分の体力・運動能力にあった踊りで、決して怪我をしないで楽しんでください。